『原作小説』美形王子が苦手な破天荒モブ令嬢は自分らしく生きていきたい!
第十話『目覚めれば』
翌朝、テーブルではなく、ベッドの上で目が覚めた。
一体いつの間に移動したのかわからないが頭の下に温かな逞しい腕の感触がして思わずすり寄る。
この腕の感触も香りも旅行の間にすっかり馴染んでしまい、なくてはならない抱きまくらと化してしまった。
「……ん……? あぁ起きたのか? おはようリシャ」
まだ眠そうな様子で私の額に唇を寄せながら微笑まれ、カァっと顔が熱くなる。
結婚してから気がついた事だが、カイは朝に弱い。
目が覚めてからしばらくの間半覚醒状態で、しかもなぜかお砂糖が八割増で色気がダダ漏れ。
うん、あかん。 基本的に恋愛事には不慣れな私としましては、この歩く生物災害王太子は世の恋愛に慣れない乙女にとって致死レベルの破壊力を有しているのでぜひとも隔離して欲しい。
すっかり石像のように固まってしまった私の反応に気を良くしたのかセクハラを激化させていく旦那様の手を正気に戻って抵抗を試みる。
「ちょっ、朝だから!」
確かに事実上正真正銘の夫婦関係になったとはいえ、暗いところですら恥ずかしいのに朝っぱらからぷにぷにな贅肉を見られるのは勘弁してほしい!
「ん〜そうだねぇ、いっそのこと体調不良と言うことにして仕事なんて放棄しようか」
全く気にした様子がなくそんな事を言い始めたカイの頭上に手刀を落とす。
「仕事しろ王太子」
照れ隠しを余分に含んだ手刀はしっかりカイの頭上に決まった。
「うっ……妻が冷たい、新婚旅行なのに?」
悲しげな声で告げられうろたえる。 そっ、それは確かに新婚だし……昨日はガブリエラ王女にカイを取られたみたいでちょっとだけ……ちょっとだけ寂しかったけど……
「もっ、もう! 少しだけだからね?」
自分からカイに抱きつきに行けばしっかりと抱きとめてくれ、腰に回わされたカイの両腕に強く抱き締められる。
「リシャ……」
色気を多分に含んだ低い声に耳元で囁かれゾクリと背中が、泡立つ。
ゆっくりと近づいてくるカイの唇を受け止めるため目を瞑る。
「おはようございます。 両殿下お目覚めになっておられますでしょうか?」
扉を二回叩く音にハッと目を見開きそちらをみる。
フォルファーの声に小さく舌打ちするとカイは前髪を書き上げてため息を吐き口を開く。
「……あぁ……起きている。 どうした?」
やや遅れて不機嫌そうにカイが問い掛ければ、困惑気味に返答が返ってきた。
「それが……レオル王太子殿下とガブリエラ王女殿下が朝食をご一緒に……と」
えっ!? 朝食? 全くないわけでは無いけれど、ほとんどは昼食や茶会、晩餐のため、朝食は予想外だ。
「どうする?」
どうやら私に任せる事にしたらしい。
確かに珍しいけれど、友好と親善に来ているし、相手はレイナス王国の王族だ。
今後の両国の関係を考えれば受けたほうが良い。
コクリと頷いてカイを見つめれば、しっかりと私の意思が伝わったようで、なぜか苦笑いされた。
「わかった、朝食をご一緒にと先方へお伝えしてくれ、それからクラリーサを呼んできてくれ」
「御意」
簡潔な返答が聞こえたあと、遠ざかった気配にささやかな胸を撫で下ろす。
「リシャ……」
名前を呼ばれたと思えばすばやく私の顎をクイッと持ち上げ、抵抗する間もなく唇を奪われる。
まるで独占欲を誇示するような激しい口づけに翻弄され、カイの気が済むまで貪られる。
「まぁ、今はこれくらいで勘弁してやるか」
ニヤリと笑うカイにかぁっと顔が熱くなる。
「馬鹿カイ!」
羞恥に耐えかねて私は枕を投げつけた。
一体いつの間に移動したのかわからないが頭の下に温かな逞しい腕の感触がして思わずすり寄る。
この腕の感触も香りも旅行の間にすっかり馴染んでしまい、なくてはならない抱きまくらと化してしまった。
「……ん……? あぁ起きたのか? おはようリシャ」
まだ眠そうな様子で私の額に唇を寄せながら微笑まれ、カァっと顔が熱くなる。
結婚してから気がついた事だが、カイは朝に弱い。
目が覚めてからしばらくの間半覚醒状態で、しかもなぜかお砂糖が八割増で色気がダダ漏れ。
うん、あかん。 基本的に恋愛事には不慣れな私としましては、この歩く生物災害王太子は世の恋愛に慣れない乙女にとって致死レベルの破壊力を有しているのでぜひとも隔離して欲しい。
すっかり石像のように固まってしまった私の反応に気を良くしたのかセクハラを激化させていく旦那様の手を正気に戻って抵抗を試みる。
「ちょっ、朝だから!」
確かに事実上正真正銘の夫婦関係になったとはいえ、暗いところですら恥ずかしいのに朝っぱらからぷにぷにな贅肉を見られるのは勘弁してほしい!
「ん〜そうだねぇ、いっそのこと体調不良と言うことにして仕事なんて放棄しようか」
全く気にした様子がなくそんな事を言い始めたカイの頭上に手刀を落とす。
「仕事しろ王太子」
照れ隠しを余分に含んだ手刀はしっかりカイの頭上に決まった。
「うっ……妻が冷たい、新婚旅行なのに?」
悲しげな声で告げられうろたえる。 そっ、それは確かに新婚だし……昨日はガブリエラ王女にカイを取られたみたいでちょっとだけ……ちょっとだけ寂しかったけど……
「もっ、もう! 少しだけだからね?」
自分からカイに抱きつきに行けばしっかりと抱きとめてくれ、腰に回わされたカイの両腕に強く抱き締められる。
「リシャ……」
色気を多分に含んだ低い声に耳元で囁かれゾクリと背中が、泡立つ。
ゆっくりと近づいてくるカイの唇を受け止めるため目を瞑る。
「おはようございます。 両殿下お目覚めになっておられますでしょうか?」
扉を二回叩く音にハッと目を見開きそちらをみる。
フォルファーの声に小さく舌打ちするとカイは前髪を書き上げてため息を吐き口を開く。
「……あぁ……起きている。 どうした?」
やや遅れて不機嫌そうにカイが問い掛ければ、困惑気味に返答が返ってきた。
「それが……レオル王太子殿下とガブリエラ王女殿下が朝食をご一緒に……と」
えっ!? 朝食? 全くないわけでは無いけれど、ほとんどは昼食や茶会、晩餐のため、朝食は予想外だ。
「どうする?」
どうやら私に任せる事にしたらしい。
確かに珍しいけれど、友好と親善に来ているし、相手はレイナス王国の王族だ。
今後の両国の関係を考えれば受けたほうが良い。
コクリと頷いてカイを見つめれば、しっかりと私の意思が伝わったようで、なぜか苦笑いされた。
「わかった、朝食をご一緒にと先方へお伝えしてくれ、それからクラリーサを呼んできてくれ」
「御意」
簡潔な返答が聞こえたあと、遠ざかった気配にささやかな胸を撫で下ろす。
「リシャ……」
名前を呼ばれたと思えばすばやく私の顎をクイッと持ち上げ、抵抗する間もなく唇を奪われる。
まるで独占欲を誇示するような激しい口づけに翻弄され、カイの気が済むまで貪られる。
「まぁ、今はこれくらいで勘弁してやるか」
ニヤリと笑うカイにかぁっと顔が熱くなる。
「馬鹿カイ!」
羞恥に耐えかねて私は枕を投げつけた。
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