『原作小説』美形王子が苦手な破天荒モブ令嬢は自分らしく生きていきたい!
第三話『目の毒や』
「リ……シャ……リシャ起きて?」
夢現から私を引き戻す聞き慣れた美声にゆっくりと目を開ける。
サラサラの漆黒の髪が私の顔に掛かり擽ったい。
いつの間に座席に横になって居たのか、私の頭はカイの筋肉質な太腿を枕にして寝こけていたらしい。
こちらを覗き込むカイの美しいサファイアの様な瞳が愛しげに細められる。
えっ、寝顔見られた!? よだれ出てない!?
ぐわっと目を見開き、羞恥による焦りから勢い良く起き上がったせいでカイの額に頭突きをかましてしまった。
「痛っ……」
「うわっ、ごめんなさい!」
額に手を当てたカイの顔を慌てて覗き込むと、微かに口の端が上がっているのに気がついた。
どうやら私の慌てっぷりが彼の笑いのツボを刺激したようです。
「ひどい! こっちはどれだけ心配したと」
「悪い悪い、リシャがあんまり可愛い反応をするからついな」
むぅ、と頬を膨らませてむくれた私の頬を人差し指でぷにぷにと優しくつつく。
「今晩の宿に着いたから、起こそうと思ったんだ」
カイは少し乱れた私の姿を手早く整えると、二度馬車の扉を握り締めた手で、コンコンと叩く。
ガチャリと音を立てて開かれた扉から先に地面に降り立ったカイが私に手を差し伸べてくれたので馬車から降りようと手を伸ばす。
ちょっとまって……私今寝間着のままじゃない!
自分のみっともない姿を思い出して、咄嗟に馬車の中へと逃げ込む。
そんな私の様子に、ニヤッと意地の悪い笑みを口元に浮かべて力強く馬車の外に引き出したものだから、普通に降りようとしていた私はバランスを崩して外に飛び出した。
「ぎゃっ!?」
「ふふっ、捕まえた」
重力に逆らえず落下しかけた身体をカイは軽々と抱きとめ膝の下に腕を差し入れて抱きとめる。
うん、軽くなったな私……一昔前のぽっちゃり体型のままなら無理だったろうな。
「危ないじゃない!」
つい文句を言えば、ギラついた瞳で見上げられドキリと心臓が高鳴った。
「捕まえておかないと怖気づいて逃げるだろ?」
耳元で色気を多大に含んだ声に囁かれゾクリと背筋が泡立つ。
まるで飢えた猛獣を前にしているような感覚に本能が逃げろと告げているけど、この逞しい腕に拘束された状態でどうやって逃げればいいの?
「にっ、逃げないわよ!」
強がって言い返せばそれはそれは惚れ惚れする笑顔を向けてきた。
「それならこのまま抱いていても全く問題ないな、フォルファー」
宿の中へと進み階段に足をかけてカイは後ろに控えていたフォルファーに声をかける。
「はい」
「移動は人目につかないよう夜に行う。 ソレイユ殿が追ってきたら面倒だからな、それまで皆に交代で休むように伝えろ、それから部屋には近づくな……いいな?」
念を押したカイにフォルファーが頭を垂れる。
「御意」
「さて、やるかぁ」
「なにを!?」
「何って……初」
「うわぁ〜!? 言うなぁ!」
問答無用で宿の部屋へと引きずり込まれました。
夢現から私を引き戻す聞き慣れた美声にゆっくりと目を開ける。
サラサラの漆黒の髪が私の顔に掛かり擽ったい。
いつの間に座席に横になって居たのか、私の頭はカイの筋肉質な太腿を枕にして寝こけていたらしい。
こちらを覗き込むカイの美しいサファイアの様な瞳が愛しげに細められる。
えっ、寝顔見られた!? よだれ出てない!?
ぐわっと目を見開き、羞恥による焦りから勢い良く起き上がったせいでカイの額に頭突きをかましてしまった。
「痛っ……」
「うわっ、ごめんなさい!」
額に手を当てたカイの顔を慌てて覗き込むと、微かに口の端が上がっているのに気がついた。
どうやら私の慌てっぷりが彼の笑いのツボを刺激したようです。
「ひどい! こっちはどれだけ心配したと」
「悪い悪い、リシャがあんまり可愛い反応をするからついな」
むぅ、と頬を膨らませてむくれた私の頬を人差し指でぷにぷにと優しくつつく。
「今晩の宿に着いたから、起こそうと思ったんだ」
カイは少し乱れた私の姿を手早く整えると、二度馬車の扉を握り締めた手で、コンコンと叩く。
ガチャリと音を立てて開かれた扉から先に地面に降り立ったカイが私に手を差し伸べてくれたので馬車から降りようと手を伸ばす。
ちょっとまって……私今寝間着のままじゃない!
自分のみっともない姿を思い出して、咄嗟に馬車の中へと逃げ込む。
そんな私の様子に、ニヤッと意地の悪い笑みを口元に浮かべて力強く馬車の外に引き出したものだから、普通に降りようとしていた私はバランスを崩して外に飛び出した。
「ぎゃっ!?」
「ふふっ、捕まえた」
重力に逆らえず落下しかけた身体をカイは軽々と抱きとめ膝の下に腕を差し入れて抱きとめる。
うん、軽くなったな私……一昔前のぽっちゃり体型のままなら無理だったろうな。
「危ないじゃない!」
つい文句を言えば、ギラついた瞳で見上げられドキリと心臓が高鳴った。
「捕まえておかないと怖気づいて逃げるだろ?」
耳元で色気を多大に含んだ声に囁かれゾクリと背筋が泡立つ。
まるで飢えた猛獣を前にしているような感覚に本能が逃げろと告げているけど、この逞しい腕に拘束された状態でどうやって逃げればいいの?
「にっ、逃げないわよ!」
強がって言い返せばそれはそれは惚れ惚れする笑顔を向けてきた。
「それならこのまま抱いていても全く問題ないな、フォルファー」
宿の中へと進み階段に足をかけてカイは後ろに控えていたフォルファーに声をかける。
「はい」
「移動は人目につかないよう夜に行う。 ソレイユ殿が追ってきたら面倒だからな、それまで皆に交代で休むように伝えろ、それから部屋には近づくな……いいな?」
念を押したカイにフォルファーが頭を垂れる。
「御意」
「さて、やるかぁ」
「なにを!?」
「何って……初」
「うわぁ〜!? 言うなぁ!」
問答無用で宿の部屋へと引きずり込まれました。
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