『原作小説』美形王子が苦手な破天荒モブ令嬢は自分らしく生きていきたい!
21『どうしてこうなった?』
「わぁ、リシャーナ様! 見てください。 狐がおりますわ! 可愛い!」
馬車の外を眺めながら、無邪気にはしゃぐクリスティーナ様が狐より激可愛いです。
箱馬車の硝子窓から射し込む柔らかな日差しがキラキラと金色の髪に反射して煌めいてます。
今日も絶好調で天使な悪役令嬢様の笑顔に癒されます。 これで室内に美形野郎二人が乗ってさえ居なければ楽園なのに。
邪魔!
箱馬車には大変不本意ながらこの国の第三王子ルーベンス殿下とカイザール・クラリアス伯爵子息殿、クリスティーナ・スラープ伯爵令嬢と私ことリシャーナ・ダスティアが同乗しております。
クリスティーナ様とルーベンス殿下を同じ馬車に乗せたくなかったのに、クリスティーナ様が穢れたらどうしてくれる。
本来ならルーベンス殿下が国の宝物を自分の想い人に貢いだことでの左遷的な意味合いがあったはずのドラクロア訪問だったはずなんですけど。
カイザール殿は強制的に巻き込んだので一緒に流刑と言う名前の島流しですが、クリスティーナ様はルーベンス殿下の暴走断罪イベントの被害者ですので本来なら平和な学院生活を送っていただくはずでした。
なのに、なぜ彼女が一緒に馬車に乗っているのかと言いますと、王城から実家を経由して学院に戻り、寮の自室でドラクロアへの仕度を一通り済ませ、小休憩をしていたところにクリスティーナ様が駆け込んで来られました。
「りっ、リシャーナ様! 学院をきゅっ、休学されて殿方とかっ、駆け落ちするってほっ、本当ですか!?」
「ぶっ~! ゲホッ! ゴホッ!」
「だっ、大丈夫ですかリシャーナ様!?」
カップに注ぎっぱなしですっかり冷めてしまった紅茶は、予想の斜め上を行ったクリスティーナ様の言葉に、思い切り噴き出したあげく残りが喉でつっかえ嚥下されることなく盛大に噎せこみました。
優しく背中を摩ってくれているクリスティーナ様ありがとうございます。
「げほっ。 はい、もう大丈夫ですわ。 ありがとうごさいました。 でも駆け落ちって、そんな話一体どこから聞いて来たのですか?」
第一駆け落ちどころか、婚約者すらいませんけどね。 いったいどこから噂になるような殿方がでてきたのかすら検討がつきませんよ。
「先程、馬車乗り場で殿方と抱き合っておられたのを、何人かが見ていたらしく学院で大騒ぎですわ」
あちゃー、あれを見られてたのね。 そりゃぁ騒ぎにもなるか、ソレイユ兄様も美形の分類だし。
「あー、あれうちの兄様ですわ。 愛情表現が激しい性質で困ってます」
嘘は言ってない、極度のシスコンだけど、スキンシップ過多だけど。
ソレイユ兄様にはクリスティーナ様は勿体無いかなぁ。 くっつけるなら歳は離れてしまうけどソルティス兄様かなぁ。
でもなぁ、スペック高いはずなのに二十八歳になっても浮いたひとつ聞こえてこないんだけどなんで?
「まぁ、リシャーナ様は御家族と仲睦まじいのですね、うらやましいです」
「ありがとうございます。 クリスティーナ様、学院では変わりありませんでしたか? 一緒に居れずにすみません」
「大丈夫でしたわ。 ところで駆け落ちでないのであればもしかしてご旅行ですか?」
クリスティーナ様の視線の先にはドラクロアに持っていく予定の着替えやら荷物か積まれている。
あらかた準備は整っているのであとは全てのトランクを侍女に馬車まで運んでもらうだけ。
備え付けの家具はそのままだけど本来ならあるはずの小物類は全て収納済み。
「えぇ、暫く学院を離れることになりましたの」
そりゃぁ疑問にも思いますか、こんな大荷物まとめてたら。
「ちなみに暫くって三日ですか? 一週間?」
「さぁ、陛下の命での休学ですから、なんとも……」
本音を言えば行きたくないんだけども。
「私も一緒に行きます!」
「はい?」
「私もご旅行に同行させて下さるように陛下に直談判させていただいてきますから!」
えっ、ちょっと待って! 旅行じゃなくて流刑ですから!
「クリスティーナ様!?」
「リシャーナ様、それでは後程~!」
ブンブンと手を振りながら止めるまもなく去って行ってしまいました。
「ぁぁぁーなんか更に厄介な展開になってない?」
毒を食らわば皿までって言うし、まっ、いっか。
「寝よう……」
考えるのを放棄した翌日ほくほく顔のクリスティーナ様がスキップをしながら部屋まで迎えに来てくれました。
「陛下に許可を頂いて来ました! 楽しんでおいでって」
陛下……いくらクリスティーナ様に負い目があるとは言え、それはないでしょうに。
「クリスティーナ様、ルーベンス殿下とご一緒なの聞きましたか?」
流刑なのを聞きましたかとは聞けない。 断じて聞けない。
自分の婚約者が流刑とか痛すぎる。
「はい! リシャーナ様と一緒なら大丈夫です! それとも私が一緒ではお嫌ですか……?」
大きなアメジストのような瞳を潤ませて仔犬のように小首を傾げて見上げてくる。
うわぁ、なにこれ! 破壊力半端ないんですけど。
同性相手でこの威力、悪役令嬢って案外伊達じゃないのかも。
中身はどうであれヒロインと張り合えるだけの器があるからこそ任される大役だもんね、そう言えば。
「い、嫌じゃないですよ?」
面と向かってノーとは言えないこの習性、絶対に前世の私の悪癖だわ。
「良かった〜楽しい旅行にしましょうね!」
きゃぁ~! と可愛い悲鳴をあげながら抱き付いてきたクリスティーナ様の豊満な胸に顔が埋まります。
クリスティーナ様、実は私よか身長頭一つくらい高いんです。
今日の靴はヒールも高いようで胸元に顔がジャストヒット。
ポヨンポヨンしてます! 服の上からでもわかるお胸様、何を食べたらこんな胸になるんですかって聞いてもいいですか?
「あはは、ソウデスネ。 ところでそろそろ放して下さい」
「あっ、申し訳ありません」
焦ったように離れる巨乳。 危なく圧死するところだった。
晴れて国王陛下のお許しを頂いてきたクリスティーナ様の仕度を手伝いながら、っと言ってもほとんど侍女さんがやってくれた訳ですが、全ての仕度を整えて寮を出ました。
城までの道中に最近出来たお菓子のお店で道中食べながら行けそうなクッキーやラスクを購入。
あーでもない、こーでもないとクッキーを吟味しながら乙女トークに華を咲かせながら馬車に揺られるとあら不思議、あっという間に目的地周辺です。 お疲れ様でした。
さて、出発は明日の明け方の予定なので今日は陛下が準備してくださった城内のお部屋で一泊です。
「今日は一緒に寝ましょうね!」
こんなに部屋がたくさんあるのになぜ同室!?
馬車の外を眺めながら、無邪気にはしゃぐクリスティーナ様が狐より激可愛いです。
箱馬車の硝子窓から射し込む柔らかな日差しがキラキラと金色の髪に反射して煌めいてます。
今日も絶好調で天使な悪役令嬢様の笑顔に癒されます。 これで室内に美形野郎二人が乗ってさえ居なければ楽園なのに。
邪魔!
箱馬車には大変不本意ながらこの国の第三王子ルーベンス殿下とカイザール・クラリアス伯爵子息殿、クリスティーナ・スラープ伯爵令嬢と私ことリシャーナ・ダスティアが同乗しております。
クリスティーナ様とルーベンス殿下を同じ馬車に乗せたくなかったのに、クリスティーナ様が穢れたらどうしてくれる。
本来ならルーベンス殿下が国の宝物を自分の想い人に貢いだことでの左遷的な意味合いがあったはずのドラクロア訪問だったはずなんですけど。
カイザール殿は強制的に巻き込んだので一緒に流刑と言う名前の島流しですが、クリスティーナ様はルーベンス殿下の暴走断罪イベントの被害者ですので本来なら平和な学院生活を送っていただくはずでした。
なのに、なぜ彼女が一緒に馬車に乗っているのかと言いますと、王城から実家を経由して学院に戻り、寮の自室でドラクロアへの仕度を一通り済ませ、小休憩をしていたところにクリスティーナ様が駆け込んで来られました。
「りっ、リシャーナ様! 学院をきゅっ、休学されて殿方とかっ、駆け落ちするってほっ、本当ですか!?」
「ぶっ~! ゲホッ! ゴホッ!」
「だっ、大丈夫ですかリシャーナ様!?」
カップに注ぎっぱなしですっかり冷めてしまった紅茶は、予想の斜め上を行ったクリスティーナ様の言葉に、思い切り噴き出したあげく残りが喉でつっかえ嚥下されることなく盛大に噎せこみました。
優しく背中を摩ってくれているクリスティーナ様ありがとうございます。
「げほっ。 はい、もう大丈夫ですわ。 ありがとうごさいました。 でも駆け落ちって、そんな話一体どこから聞いて来たのですか?」
第一駆け落ちどころか、婚約者すらいませんけどね。 いったいどこから噂になるような殿方がでてきたのかすら検討がつきませんよ。
「先程、馬車乗り場で殿方と抱き合っておられたのを、何人かが見ていたらしく学院で大騒ぎですわ」
あちゃー、あれを見られてたのね。 そりゃぁ騒ぎにもなるか、ソレイユ兄様も美形の分類だし。
「あー、あれうちの兄様ですわ。 愛情表現が激しい性質で困ってます」
嘘は言ってない、極度のシスコンだけど、スキンシップ過多だけど。
ソレイユ兄様にはクリスティーナ様は勿体無いかなぁ。 くっつけるなら歳は離れてしまうけどソルティス兄様かなぁ。
でもなぁ、スペック高いはずなのに二十八歳になっても浮いたひとつ聞こえてこないんだけどなんで?
「まぁ、リシャーナ様は御家族と仲睦まじいのですね、うらやましいです」
「ありがとうございます。 クリスティーナ様、学院では変わりありませんでしたか? 一緒に居れずにすみません」
「大丈夫でしたわ。 ところで駆け落ちでないのであればもしかしてご旅行ですか?」
クリスティーナ様の視線の先にはドラクロアに持っていく予定の着替えやら荷物か積まれている。
あらかた準備は整っているのであとは全てのトランクを侍女に馬車まで運んでもらうだけ。
備え付けの家具はそのままだけど本来ならあるはずの小物類は全て収納済み。
「えぇ、暫く学院を離れることになりましたの」
そりゃぁ疑問にも思いますか、こんな大荷物まとめてたら。
「ちなみに暫くって三日ですか? 一週間?」
「さぁ、陛下の命での休学ですから、なんとも……」
本音を言えば行きたくないんだけども。
「私も一緒に行きます!」
「はい?」
「私もご旅行に同行させて下さるように陛下に直談判させていただいてきますから!」
えっ、ちょっと待って! 旅行じゃなくて流刑ですから!
「クリスティーナ様!?」
「リシャーナ様、それでは後程~!」
ブンブンと手を振りながら止めるまもなく去って行ってしまいました。
「ぁぁぁーなんか更に厄介な展開になってない?」
毒を食らわば皿までって言うし、まっ、いっか。
「寝よう……」
考えるのを放棄した翌日ほくほく顔のクリスティーナ様がスキップをしながら部屋まで迎えに来てくれました。
「陛下に許可を頂いて来ました! 楽しんでおいでって」
陛下……いくらクリスティーナ様に負い目があるとは言え、それはないでしょうに。
「クリスティーナ様、ルーベンス殿下とご一緒なの聞きましたか?」
流刑なのを聞きましたかとは聞けない。 断じて聞けない。
自分の婚約者が流刑とか痛すぎる。
「はい! リシャーナ様と一緒なら大丈夫です! それとも私が一緒ではお嫌ですか……?」
大きなアメジストのような瞳を潤ませて仔犬のように小首を傾げて見上げてくる。
うわぁ、なにこれ! 破壊力半端ないんですけど。
同性相手でこの威力、悪役令嬢って案外伊達じゃないのかも。
中身はどうであれヒロインと張り合えるだけの器があるからこそ任される大役だもんね、そう言えば。
「い、嫌じゃないですよ?」
面と向かってノーとは言えないこの習性、絶対に前世の私の悪癖だわ。
「良かった〜楽しい旅行にしましょうね!」
きゃぁ~! と可愛い悲鳴をあげながら抱き付いてきたクリスティーナ様の豊満な胸に顔が埋まります。
クリスティーナ様、実は私よか身長頭一つくらい高いんです。
今日の靴はヒールも高いようで胸元に顔がジャストヒット。
ポヨンポヨンしてます! 服の上からでもわかるお胸様、何を食べたらこんな胸になるんですかって聞いてもいいですか?
「あはは、ソウデスネ。 ところでそろそろ放して下さい」
「あっ、申し訳ありません」
焦ったように離れる巨乳。 危なく圧死するところだった。
晴れて国王陛下のお許しを頂いてきたクリスティーナ様の仕度を手伝いながら、っと言ってもほとんど侍女さんがやってくれた訳ですが、全ての仕度を整えて寮を出ました。
城までの道中に最近出来たお菓子のお店で道中食べながら行けそうなクッキーやラスクを購入。
あーでもない、こーでもないとクッキーを吟味しながら乙女トークに華を咲かせながら馬車に揺られるとあら不思議、あっという間に目的地周辺です。 お疲れ様でした。
さて、出発は明日の明け方の予定なので今日は陛下が準備してくださった城内のお部屋で一泊です。
「今日は一緒に寝ましょうね!」
こんなに部屋がたくさんあるのになぜ同室!?
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