『原作小説』美形王子が苦手な破天荒モブ令嬢は自分らしく生きていきたい!
11『駄犬王子』
ルーベンス殿下の自分の主張を全面に押し出した釈明に、時々客観的な補足を加えてはジト目で睨まれましたが気にしません。
「はぁ、話はわかった。 理由はどうあれ実行した時点でお咎め無しとはいかない」
「……はい」
しゅーん、と項垂れて返事をする姿に、ついつい垂れた犬耳が見えたような錯覚が。
マリアンヌ様に纏わり付いている姿を思い出して見ると、ヤバイ尻尾をブンブン振ってるように補整されてきた。
この王子、犬属性だったの!? もしかして。
「リシャーナ嬢に感謝するんだな、そうでなければ学友もろとも処罰しなければならなかった」
「父、陛下! 学友には!」
「はぁ、わかっておる。 だがな、暫くの間会うことは禁じさせてもらう」
「陛下!」
真っ青になって首を横に振ってますけど、そんなに嫌なもんかね?
「勿論刑罰も受けてもらう。 いくら王子といえど国の宝は国民の血税、国民のものでもある。 話を聞くかぎり、お前が持ち出したのはピンクダイヤモンドのみのようだし、リシャーナ嬢のおかげで未遂に済んだ」
「はい……覚悟はできております」
うわー、バカ王子が殊勝になった! 外、雨降ってない!?
「リシャーナ落ち着きなさい、槍は降らないから。 精々殿下の頭上に陛下の雷が墜ちるだけだ」
父様、それフォローになってません。
「国王陛下、宰相閣下」
コンコンと響いたノック音に父様が扉を開けると、近衛騎士団長様が束になった羊皮紙とがっつり肥えた初老の男性を伴ってやって来た。
たしかこの頭頂部のツルツル具合は宝物庫の警備担当責任者を代々担っている人だったはず。
たしか、う~んと……
ヤバイ名前出てこない、ハゲ子爵って覚えてたからだなこりゃ。
完全に社交をサボった付けです、う~ん、ルーベンス殿下の事ばかり責められないかも。
「ブラッシュ子爵、宝物庫の警備状況と宝物の所在の報告を」
 そっ、そうそう、ブラッシュ子爵!
父様が声を掛けると、ブラッシュ子爵は滝のように流れる脂汗を白いハンカチで拭いながら陛下の御前までドスドスとやって来ました。
「へっ、陛下に於かれましてはーー」
「挨拶はいらない。 報告を」
口上をぶった斬って父様が促すと、恨めしそうに父様へ視線を送った。
「御問い合わせの宝物庫の確認ですが、国宝の所在については確認がとれております」
国宝にはとりあえず被害が無かったようで良かった良かった。
「ただ細々とした宝物に関しましては現在調査中ですが、御問い合わせの有りましたピンクダイヤモンドの首飾りの紛失の確認が取れました」
まぁ、真っ先に調べるわな、だって陛下の手中にあるし。
「当日の警備はどうなっていた?」
穏やかかつ不穏なオーラを発する父様の言葉にブラッシュ子爵は視線をそらすと、陛下の前に勢い良く膝をつくと、床に額を擦り付けんばかりに頭を下げた。
「も、申し訳ありません。 宝物庫の警備は必ず扉の前に二人、周辺の見廻りに一人の計三人で行っておりましたが、その日は急遽当直者が欠員となったらしく、連絡不備で二人での当直となっておりました」
「なぜ欠員を補充しなかった」
うんうん。 補充しなきゃ駄目でしょ。
「あの~、えぇと」
「なんだ、ハッキリしろ!」
「はっ、はいぃ! この度同隊の兵が結婚することになりまして、その祝いで皆出払っておりました!」
えー、飲み会ですか、警備よりも飲み会が優先……腐っとる。
「当日の警備担当者は?」
「一人から話を聞けましたが、もう一人は当直後から隊務を欠席しており連絡がついておりません。 現在生家に兵を出しておりますのでしばし御待ちを」
はぁ、なんか厄介なことになって来たわぁ。 これはとんずらした方がいいんじゃない?
「父様、お忙しそうですから私はこれで下がらせていただきます」
「わかった。 気を付けて学院まで帰るんだぞ?」
いまだに話を続けている陛下に聞こえないように小声で傍らの父様に声を掛けると、これ幸いと逃げる協力をしてくれた。
「はい、では失礼しました」
  優雅に、礼をして回れ右して後は学院へ帰るだけん。 やったねぇ! お役御免じゃーい。 ヒャッホー!
とりあえず、陛下がルーベンス殿下を刑に処すと発言しているし。 平和な学院ライフ再びじゃー!
これ以上の厄介事はマジ勘弁、ここは逃げる一択でしょう。
「あれ? リシャーナ嬢何処へいくつもりかな? まだ帰って貰ってはこまるなぁ?」
ちっ、見付かった。 そうそう簡単に逃がしてはくれないか。
「いえいえ、私のような小娘に出来ることはございませんわ」
「いやいや、乗り掛かった船だ。 きっちり乗って行きなさい」
 誰がそんな沈むの確定した泥舟に乗るってのよ。
「ルーベンス、無期限の謹慎処分を命ずる。 許可が出るまで学院への立ち入り及び学友との連絡も禁止とする」
「はい……」
なんでこの状況で処分の通達よ、しかも甘いし。
「リシャーナ嬢、勅命をもって命ずる。 ルーベンスの謹慎処分に伴い指導者としての監督不行き届きとして更正まできっちり付き添いルーベンスの指導を徹底するように」
はい!? 監督不行き届きなら解任でしょうが!?
「私には荷が重いかと思われます」
やりたくないー、やりたくないー。 にげろにげろ! 逃げるんじゃー。
「一人では荷が重いと言うなら、補助を付けよう。 勅命をもって任命しよう推薦したい者はいるか?」
うー、一人でこのイケメン駄犬王子の相手をすることを考えれば道連れは考えようによっては陛下の譲歩。 しかも王命だから拒否権なし。
元々生け贄の許可は貰うつもりだったし、前向きに考えなきゃやってらんない。良し!
「クラリアス伯爵子息、カイザール様を推薦致します!」
赤信号、じゃなくて。
泥舟や、皆で乗れば、怖くない。 リシャーナ心の俳句……
「はぁ、話はわかった。 理由はどうあれ実行した時点でお咎め無しとはいかない」
「……はい」
しゅーん、と項垂れて返事をする姿に、ついつい垂れた犬耳が見えたような錯覚が。
マリアンヌ様に纏わり付いている姿を思い出して見ると、ヤバイ尻尾をブンブン振ってるように補整されてきた。
この王子、犬属性だったの!? もしかして。
「リシャーナ嬢に感謝するんだな、そうでなければ学友もろとも処罰しなければならなかった」
「父、陛下! 学友には!」
「はぁ、わかっておる。 だがな、暫くの間会うことは禁じさせてもらう」
「陛下!」
真っ青になって首を横に振ってますけど、そんなに嫌なもんかね?
「勿論刑罰も受けてもらう。 いくら王子といえど国の宝は国民の血税、国民のものでもある。 話を聞くかぎり、お前が持ち出したのはピンクダイヤモンドのみのようだし、リシャーナ嬢のおかげで未遂に済んだ」
「はい……覚悟はできております」
うわー、バカ王子が殊勝になった! 外、雨降ってない!?
「リシャーナ落ち着きなさい、槍は降らないから。 精々殿下の頭上に陛下の雷が墜ちるだけだ」
父様、それフォローになってません。
「国王陛下、宰相閣下」
コンコンと響いたノック音に父様が扉を開けると、近衛騎士団長様が束になった羊皮紙とがっつり肥えた初老の男性を伴ってやって来た。
たしかこの頭頂部のツルツル具合は宝物庫の警備担当責任者を代々担っている人だったはず。
たしか、う~んと……
ヤバイ名前出てこない、ハゲ子爵って覚えてたからだなこりゃ。
完全に社交をサボった付けです、う~ん、ルーベンス殿下の事ばかり責められないかも。
「ブラッシュ子爵、宝物庫の警備状況と宝物の所在の報告を」
 そっ、そうそう、ブラッシュ子爵!
父様が声を掛けると、ブラッシュ子爵は滝のように流れる脂汗を白いハンカチで拭いながら陛下の御前までドスドスとやって来ました。
「へっ、陛下に於かれましてはーー」
「挨拶はいらない。 報告を」
口上をぶった斬って父様が促すと、恨めしそうに父様へ視線を送った。
「御問い合わせの宝物庫の確認ですが、国宝の所在については確認がとれております」
国宝にはとりあえず被害が無かったようで良かった良かった。
「ただ細々とした宝物に関しましては現在調査中ですが、御問い合わせの有りましたピンクダイヤモンドの首飾りの紛失の確認が取れました」
まぁ、真っ先に調べるわな、だって陛下の手中にあるし。
「当日の警備はどうなっていた?」
穏やかかつ不穏なオーラを発する父様の言葉にブラッシュ子爵は視線をそらすと、陛下の前に勢い良く膝をつくと、床に額を擦り付けんばかりに頭を下げた。
「も、申し訳ありません。 宝物庫の警備は必ず扉の前に二人、周辺の見廻りに一人の計三人で行っておりましたが、その日は急遽当直者が欠員となったらしく、連絡不備で二人での当直となっておりました」
「なぜ欠員を補充しなかった」
うんうん。 補充しなきゃ駄目でしょ。
「あの~、えぇと」
「なんだ、ハッキリしろ!」
「はっ、はいぃ! この度同隊の兵が結婚することになりまして、その祝いで皆出払っておりました!」
えー、飲み会ですか、警備よりも飲み会が優先……腐っとる。
「当日の警備担当者は?」
「一人から話を聞けましたが、もう一人は当直後から隊務を欠席しており連絡がついておりません。 現在生家に兵を出しておりますのでしばし御待ちを」
はぁ、なんか厄介なことになって来たわぁ。 これはとんずらした方がいいんじゃない?
「父様、お忙しそうですから私はこれで下がらせていただきます」
「わかった。 気を付けて学院まで帰るんだぞ?」
いまだに話を続けている陛下に聞こえないように小声で傍らの父様に声を掛けると、これ幸いと逃げる協力をしてくれた。
「はい、では失礼しました」
  優雅に、礼をして回れ右して後は学院へ帰るだけん。 やったねぇ! お役御免じゃーい。 ヒャッホー!
とりあえず、陛下がルーベンス殿下を刑に処すと発言しているし。 平和な学院ライフ再びじゃー!
これ以上の厄介事はマジ勘弁、ここは逃げる一択でしょう。
「あれ? リシャーナ嬢何処へいくつもりかな? まだ帰って貰ってはこまるなぁ?」
ちっ、見付かった。 そうそう簡単に逃がしてはくれないか。
「いえいえ、私のような小娘に出来ることはございませんわ」
「いやいや、乗り掛かった船だ。 きっちり乗って行きなさい」
 誰がそんな沈むの確定した泥舟に乗るってのよ。
「ルーベンス、無期限の謹慎処分を命ずる。 許可が出るまで学院への立ち入り及び学友との連絡も禁止とする」
「はい……」
なんでこの状況で処分の通達よ、しかも甘いし。
「リシャーナ嬢、勅命をもって命ずる。 ルーベンスの謹慎処分に伴い指導者としての監督不行き届きとして更正まできっちり付き添いルーベンスの指導を徹底するように」
はい!? 監督不行き届きなら解任でしょうが!?
「私には荷が重いかと思われます」
やりたくないー、やりたくないー。 にげろにげろ! 逃げるんじゃー。
「一人では荷が重いと言うなら、補助を付けよう。 勅命をもって任命しよう推薦したい者はいるか?」
うー、一人でこのイケメン駄犬王子の相手をすることを考えれば道連れは考えようによっては陛下の譲歩。 しかも王命だから拒否権なし。
元々生け贄の許可は貰うつもりだったし、前向きに考えなきゃやってらんない。良し!
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