【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

蒼い悪夢7

「彼女も将来の話をするとまんざらでもなさそうですし、待ってくれてると思うんですよねー」

 婚約指輪はどこの宝飾店がいいかなー、プロポーズはおっしゃれなレストランか。
 いやいやロマンチックな横浜の海岸かな、やっぱり。

 ブツブツ呟いている蒼人を皆、ぬるい目で見守っていた。

「ハマのナンパ師が本命に会うと、こうも変わるんだな……」

 誰かがボソっと呟いた言葉に、残りのメンツはうんうんとうなずいていた。

 灯里の手の中で携帯が震えた。
 送信してきた相手の名前を見て、表情が緩む。

 が、文面を読んでいくうちに彼女の顔は曇って行った。

『出航する前に会いたい』

 いよいよ彼は海に戻るのだ。

 彼の憎たらしい兄、櫂斗からの要求をどう返すべきか、未だに答えは出ていない。

 けれど、大好きな彼と会わないと言う選択は灯里にはなかった。

 上長にシフトを調整してもらう。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品