【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

蒼い悪夢4

 とりあえず、二人の破滅の危機は脱したかのように見えた。

 灯里は『自分のピュアな下心を勘違いした!』とおかんむりだったが、蒼人がひたすら謝りまくった結果である。

 何せ、物欲が少ない灯里なのでプレゼント攻勢では靡かない。

 服もアクセサリーもおしゃれなデートスポットも喜ぶ癖に、嬉しがる癖に。

「気遣いしないで?」

 逆に気遣われてしまう始末である。

「俺があげたいんだ、俺がプレゼントしてくれた物を身につけてくれる灯里が見たいんだよ」

 彼女を抱きしめて、口説く日々だ。

 小学校からモテ街道をひたすらに歩んできて、女の子とデートするのに苦労したことはない。

 今までは父の会社絡みであったり、ナンパしたりされたりで簡単に応じる自己肯定感の強い女性とばかり付き合ってきた。

「灯里は拗ねて可愛くてエロくて。ほんと、海の神様が俺にくれた宝物だよ」

 ……案外、そんな日々を蒼人は楽しんでいる。

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