【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

見合い相手は誰?4

 別人かと思うほど、キリリとした姿。
 そういう格好をしていると若き実業家にしか見えない。

 見慣れない彼の艶姿と相まって、ぱあ、っと自分の顔が明るくなるのがわかる。

「蒼人っ?」

 どんなミラクルだろう。
 まるで恋愛ドラマのような展開ではないか。
 ケアハウスの人が連絡してくれたにしても、蒼人と灯里の関係を知っている人がいるわけが……いる。

 蒼人の『祖母』だ。

 蒼人の祖母は、きっとあのケアハウスの住人だ。
 灯里が嫌がってることを知って、断るための助っ人として急ぎ蒼人に連絡してくれたのだろう。
 
 自分にとっては、蒼人こそが本物の恋人だ。

 感動が灯里の胸にわきあがってきた。

 やっぱり彼と自分は運命の相手なんだ。
 絶対に離れない
 一生、一緒にいたい。

 こんなことを強く思ったのは、今まで蒼人しかいない。

 陽子さんに投げられた問いの答えを、灯里は見つけたと思った。

 今度、蒼人の休みに合わせて『祖母』に挨拶させてもらおう。

 助けてくれた隊員にも感謝だ。 
 彼が助けてくれたから、蒼人に会えたのだ。

 ――勇気を出して、蒼人に事故の現場や日時を伝えよう。あの時の隊員にお礼をいってもらおう。

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