【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

御曹司との見合い11

『悪いけど、見れない時は見れない。逆説的になるけど、だからこそ灯里が送りたい時にいつでもメールや電話してもらって大丈夫だよ。ていうか、仕事の合間に灯里からのメッセージあったら、メチャクチャ頑張れる』

 そう言われると、寂しい時おもしろいことがあった時、メッセージをおくっても良いかな、と思えてしまう。

 とはいえ、もし大事故の救助の真っ最中の時にたまたま着信音が啼ってしまったら。

 一瞬の注意が命取りになることを、灯里はスキューバをしている時に叩き込まれた。

「蒼人……」

 灯里は携帯を握りしめてささやいた。

 そのまま、ウトウト……としかけてガバリと起き上がった。

「見合いのことを話していない」

 どうしよう。
 あとから知ったら気を悪くするのではないだろうか。

 でも、普通は言うものなのだろうか。
 ドラマとかでそんなシチュエーションがあった時、灯里は『やきもちを焼かせる作戦? 嫌な女だなー』と思った記憶がある。
 断るのだし、黙っていればいいような気がする。

 よくはない。
 これは社命とはいえ、恋人への裏切り行為だ。
 多分、自分が苦しくなる。
 灯里は確実に自白してしまうのだから、せむて事前に言うべきだ。

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