【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

俺のことを考えて12

「お言葉に甘えます」

 その代わり、蒼人の誕生日には奮発しようと灯里は心に誓った。

 ピアス、イアリングは可愛いけれど、パス。
 職場でイヤホンを装着するからだ。
 コールセンターのメンバーの中には平気な人もいるようだが、灯里は気になる。

 指輪、は意味深すぎる。まだ、互いに手探り状態なので彼も自分も追い詰めたくない。

 ――いずれは、とは思うけどね。
 灯里はこっそり思う。
 今ではない。

 それよりも『今』、蒼人に買ってもらうアクセサリーだ。

 ペンダントよりは、ブレスレットがいい。
 腕にはめているから、すぐ目に入る。

「どれがいいかなー……。蒼人、ブレスレットがいいの。選んでくれる?」

 蒼人を振り向けば、どれ、とのぞき込んできた。

「うーん、どれがいいかな。ゴツくなくて」 

 蒼人が選んでくれたのは繊細な金のチェーンに石が五個連なっているものだった。
 石はクオーツで目立ちすぎず、かといって地味すぎずに職場に着けて行くのに持ってこいだ。

「ありがとう」

 灯里は蒼人に礼をいった。

「今、つけてくれる?」

 男の熱っぽい瞳に、灯里はうんと明るく返事をした。
 二人は手を繋ぎながら店を出た。

「あと、三つか」

 スタンプラリーのマップを見ながら蒼人がつぶやく。

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