【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

俺のことを考えて7

 店を出てから灯里はこっそり聞いてみた。

「なんか、顔出しNGとかって服務規定があるの?」

 海保のポスターはマスコット以外にも男性女性合わせて保安官が顔出ししていた記憶がある。

「広報とかはね、顔がいいやつが選ばれたりはするけど」

 官公庁といえど現代では『え』を気にせずにはいられないらしい。

「だったら、なおさら」

 蒼人はひっぱりだこだったのではないだろうか?

「俺は保安官だから」

 彼の言葉にハッとなった。

「船のたち入り検査や、稀にだけど湾内で行われる違法取引とかで囮捜査もある。顔は知られない方がいいんだよ」

 うつむいてしまった灯里の頭のてっぺんに蒼人は口づけした。

「俺のかっこいいのは灯里だけわかってくれてればいいよ」

 そして顔をよせると、携帯を握りしめている灯里の手を上にあげた。
 写真を撮るよう促す。

「あとで二人で写ってるやつ、俺にも送って」

 雑貨屋に行って、蒼人の茶碗やカップを買う。
 それとなぜか、灯里の茶碗やカップも。

「これは俺の家に灯里がきた時用」

 蒼人がイタズラっぽく笑った。

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