【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

俺のことを考えて2

 元々灯里は社会人になるまで制服以外はジーンズしか履いてこなかった。
 学生の頃は、ストッキングが好きではなかった。

 けれど、社会人になってから俄然ワンピースの楽ちんさに目覚めてしまった。
 なんせ、頭からかぶって上着を着れば完了である。コーディネイトも必要ない。

 美容部員の時はメイクを楽しみたかったからワンピースはフェミニンなもの、セクシーなもの、スポーティなものとタイプ別に購入していた。
 ワンピースの型が決まっていて好きなカラーを集めれば、アクセサリーも靴も自然と決まっていく。 

 スキューバが趣味になってのめり込んだ結果、ミニマリストになった彼女はジーンズとTシャツのほかは数枚のワンピースで年間を着通している。

 ……ダイビングをやめた今は、そんなことをする必要がないのだけれど。

『ほんっと、美咲ちゃんはやれば出来る子なのに。合理的と言えば聞こえがいいけど、単に中身がズボラ』と清水から、母親のようなコメントをもらってしまう所以である。

 今日のワンピースはフェミニンなタイプである。
 コールセンターのスタッフに見られれば普段はしない装いだから、からかわれそうだ。

「みんなに見つからないかな……」

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