【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

蒼人一色の日々12

 バスルームから部屋に戻ってくれば、携帯がチカチカと光っている。
 灯里は飛びついた。

『やっぱり? 俺もだよ。幸せなやつは飲み物おごれとか、幸せな奴は宿直しろとか圧がすごかった』

 灯里はメッセージを読んでクスリ、と笑った。
 双方に隠し事のない交際であるのが嬉しい。

 だが。
 灯里は時計を見た。

 今は夜の十時半だ。
 冗談ぽく書かれていたけれど、これから宿直なのだろうか。

 だとすると蒼人は眠らずに、夜の海の安全を見守るのだろう。
 双方、起きているからと言って、一方は仕事中だ。

 万が一、自分の送ったメールで緊急通報を取りこぼしたら。

「蒼人が頑張ってるのにごめんね。おやすみなさい」

 灯里はメールを送った。

 ベッドの中でずっと待っていたけれど、その日は蒼人からの返事はなかった。

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