【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

蒼人一色の日々10

 ずいっと清水が前のめりになった。心なしか、ほかのメンツも身を乗り出している。

「で? あんた達、どこまでシちゃったわけ! 手は繋いだ? ハグくらいはした? は、もしかしてチュウまでいってしまったの?」

 きゃあああ、いやああんとメンツからピンク色の声が飛んできた。

「ははは」

 灯里がどうやって誤魔化そうかと後頭部に手をあてながら考える。

 清水がギラギラな目で見つめてきた。メガネのブリッジをくい、とあげる。
 女性達もワクワクな顔で灯里をみる。

「なんせ、途中でいなくなったあんた達の合コン会費、私と友達が払ってあげたんだからね。美咲ちゃんには答える義務があるのよ!」

「こ、個人情報……っ」

 食べ放題の三十分、清水の猛攻をかわしきった自分を褒めてやりたい。

「……バレてそうだけど」

 化粧室で歯を磨きながら思う。

 そこは恋愛巧者な四人――焼肉を食べながら聞いたら、清水以外は既婚者二名。
 恋人ありしかも同棲中おまけに婚約秒読み一名。
 完全に『灯里にオトコを見つけてあげよう会』だった――なので武士の情けを発動してくれたのだろう。

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