【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

蒼人一色の日々8

 普段の彼らは各科に分かれて船を運行するための業務を担当している。
 救助や警備業務が発生すると、都度処理にあたる班を編成するのだという。 

 灯里を助けてくれた男性も、普段は船の運用に従事しているのだろう。

 ――それじゃ、見つからないかな。

 多分、海保に自分の救出された海域や日時を言えばわかるのかもしれないが、口に出す勇気はない。

「特殊海難って? 海難事故に特殊も普通もあるの」
「あるみたい、だね」

 タンカーとか、大型船の事故のことかもしれないが、あまり詳しく聞きたくはなかった。

 今の蒼人は交通事故のあと、通報が入る運用指令センターに勤務しているのだと教えてくれた。

 どんな部署なのかと聞いたら、三百六十五日二十四時間、海において発生する事件や事故を見守っている。
 通報を受けて事故や事件への出動を巡視船や航空機へ指示する部署だと教えてくれた。 

 警察や消防の通信指令センターにあたるらしい。

 運用指令センターは本庁及びそれぞれの管区の本部に設定されていて、発信地を管轄する管区の本部に受電させるらしい。

 一瞬、女性達が真剣な表情になる。

「え、じゃあ美咲ちゃんてば、そんな大事な部署にイタ電」

「間違い電話だってば」

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