【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

連れ出したくて、付き合いたかった9

 灯里が目をまん丸くしたまま固まっていると、海野が彼女のあごを指で支えて持ち上げてきた。

 彼の瞳が照れているような、それでいて一大決心をしているような真剣な瞳だった。

 とても綺麗な彼女への熱がこもっていた。

「非常に不謹慎だと思うんだけど、エッチなことをしちゃってから美咲さんのことばっかり考えてる」

 同じだ。

「美咲さんのあんないやらしいところ、ほかの男に見せたくない。俺だけが何度もみたいし」

 NOは聞きたくないとばかりに、二人の唇の距離が数センチもなくなる。

「一週間前まではね、救出してくれた隊員さんといつか会えるかなって思ってた」

 灯里のささやきに、近づいてこようとしていた海野の唇が止まる。

「海野さんに会っちゃってから……、上司がせっかく私のためにこの合コンをセッティングしてくれたのに行きたくなくなっちゃった」

 海野が灯里を見つめた。
 彼の瞳の中には、海野を見つめている灯里が映り込んでいる。
 海野が吐息のような声で問う。

「それは、なんで?」

 もう、まつ毛が触れ合う。
 唇を撫でているのが相手の息なのか、唇なのかわからない。

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