【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

連れ出したくて、付き合いたかった3

 高い位置にある部屋の選択ボタンには手が届かないのだ。

 ラブホの部屋を選ぶシステムは値段が高い部屋は電光掲示板の上部に位置し、安くなるとだんだん下がっていく。

 先週も今週も『安い部屋をあてがわれるのは、ほいほいと男についていく安い女だと見られているからか』と僻んでしまったが、灯里は卑屈な思いを改めた。

 エレベーターの中は二人とも無言だった。

 海野が取った部屋がある階でエレベーターが止まる。
 部屋番号の記したライトがここだよ、と瞬いている。足音を吸収するカーペットが敷かれているせいか、車椅子は進みにくいようだ。ハンドルを握って後ろから押した。

 海野は黙ったまま、二人のための部屋のドアを開けた。

 間接照明があり、部屋の真ん中にはこれみよがしにキングサイズのベッドが置かれてる。
 奥にはバスルーム。
 壁の一方にベッドから観れるように大きな画面のTV。
 下の冷蔵庫二つは本物と大人のグッズの自動販売機だろう。

 反対側の壁にはヘッドボードがついているベッド。
 入り口近くにラブソファがある。

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