【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

出会いはケアハウス5

『いい男は世界共通の財産なの、かぎりある資源は大切になの。枯渇させるわけにはいかない貴重〜なレッドデータ種人間、それがいい男なのよ』

 滔々とうとうと説教されてしまう。
 納得できる部分が大いにあるので、ぐうの音も出ない。

『わかったかしら。レア人種を美咲ちゃんにあてがう、ってのは一大プロジェクトなんだからね? 僕を納得させるプレゼンできないのなら、承認しないわ』

 上司からジロリとにらまれ、……仕方なく合コンの一番の目的を話した。

 彼女は以前、スキューバダイビングをしていて海難事故に遭った。
 灯里は合コンの参加者に、彼女を救出してくれた隊員の消息を訊ねてみたいのだ。

  知ってどうするかといえば、お礼がしたい。

『あの時、貴方が救ってくれたから私は今元気に暮らせています』
 そして
『約束通り、貴方のお婆さまへメイクをしに行ってますよ』と。

【六次の隔たり】ではないが、巡り巡って自分が感謝していることが伝わるといい。

 あの時の隊員に伝わらずとも、彼の職場の人に謝意を伝えられるだけでも目的は果たせたといえるかもしれない。

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