【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

プロローグ

 ラブホテルの一室で、ベッドに仰向けになっている男に灯里は男性にのしかかっていた。

 彼とはほんの数十分前に、ボランティア先のケアハウスで出会った。

 エントランスにいた彼に駅まで乗せていって欲しいと頼まれた。車椅子に乗っている彼に、 灯里あかりは了承した。

 一目惚れしたわけでもない、車のなかでなにかを彼とわかち合ったわけでもない。
 
 気づいたらラブホテルにいて、灯里は自分から男性にキスをしかけていた。
 戸惑う彼を押し倒した。

 ……違う。

『俺、骨盤骨折して動けないんだ』

 灯里のキスによって、欲情を掻き立てられた瞳が彼女を見つめる。無精髭を生やした口がささやく。

『だから、君が動いてくれ。口と指でイカしてあげるよ』

 彼が私を組み敷いていたんだ。

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