社長は身代わり婚約者を溺愛する
第41話 彼女に会わないで①
芹香は、言いたいことを言うと、あっさりと帰って行った。
「芹香と、デートするの?」
信一郎さんは、ふぅーっとため息をついた。
「あそこまで、俺にこだわっているとは。」
さすがの信一郎さんも、疲れるよね。
人と話をしていて、一番疲れるのは、相手が自分の話を聞いていない時だ。
芹香は、なぜ私達の話を、聞かないのだろう。
「もしかして……」
「何?」
「芹香は、自分に言い聞かせているんじゃないのかな。」
「何だって?」
「これが自分の道だって。」
私は信一郎さんと、顔を合わせて頷いた。
「芹香さんだって、本当は知っているんだ。この結婚は間違っているって。」
「そうだよ。」
私はだんだん腑に落ちてきた。
「でも、お母さんの為に仕方なく、結婚しようとしているんだよ。」
信一郎さんも、大きく頷く。
「だとしたら、芹香さんがお母さんの為に、犠牲にならないような事を考えなければ。」
「そうだね。」
その事を付き止めないと。
「そうなると、何度か芹香さんに会った方がいいな。」
「えっ……」
すると信一郎さんは、クスッと笑った。
「なんだ、礼奈。嫉妬しているのか。」
「そんなんじゃないよ。」
「そうか?顔に書いてあるぞ。」
私は頬に手を当てた。
「あははは。」
信一郎さんは、それを見て笑っている。
「大丈夫だよ。俺は、芹香さんの事を好きにはならない。」
「本当?」
「礼奈がいるのに、どうして好きになるんだよ。」
私は苦笑いをした。
どことなく、感じていた。
信一郎さんは、お嬢様を求めているのだと。
それは、私が貧乏な家の娘だって分かっても、求めてくれている事で違うと分かったけれど。
もし、芹香が本気で信一郎さんを、口説いたら?
相手はちゃんとしたお嬢様だし。
家柄も人柄も、申し分ないはず。
そんな状態で、上手くいかない事なんて、あるのだろうか。
「礼奈。」
信一郎さんは、私を抱き寄せてくれた。
「俺の事、信じて。」
「うん。」
今は、信一郎さんの事を信頼するしかない。
芹香を救えるのは、信一郎さんしかいないのだから。
「信一郎さん、これ。」
私はスマホの中にある、芹香の連絡先を信一郎さんに見せた。
「これは……」
「信一郎さんを信じて、見せるんだからね。」
「ああ。」
信一郎さんは、早速芹香の連絡先を、スマホに登録した。
「繋がるかな。」
信一郎さんが芹香に電話を架けてみると、あっさりと出た。
「黒崎です。ええ、先ほどはお構いもできなくて。」
信一郎さんは、ずっと私の隣にいてくれる。
「ええ。今度、芹香さんとお会いしたくて。」
しばらく話して、信一郎さんは私にOKサインを出した。
「では、その時に。」
電話を切った後、信一郎さんはニコッと笑った。
「今度の週末、芹香さんと二人で会う事になったよ。」
「週末……」
週末はいつも、私と会っていたのに。
「心配するなって。礼奈は、平日でも会えるだろう。」
「えっ……」
信一郎さんはおもむろに、キーホルダーから一つの鍵を取り出した。
「俺の家の鍵。」
「……合い鍵って事?」
「そう。」
私の手の平に入る小さな鍵。
それが、信一郎さんとの、大きな未来を握っている。
「平日はこれを使って、俺の家においで。」
「うん。」
私は、信一郎さんに抱き着いた。
「ありがとう、信一郎さん。」
この合い鍵のおかげで、元気が出た。
私は信一郎さんを信じているし、信一郎さんも私を愛してくれている。
それに嘘はなくて。
きっと、信一郎さんなら、芹香が納得する諦め方を、探してきてくれると思う。
「上手くいくといいね。」
「ああ。」
私は信一郎さんの温かさに、酔いしれていた。
そして、週末。
そうは言っても、どうしても心配で仕方がない。
私は二人に内緒で、デートについて行く事にした。
また芹香の家に張り付いて、彼女が出てくるのを待った。
もうこうなったら、探偵みたいなものだ。
そして、芹香が家から出て来た。
白いワンピース。清楚系のお嬢様に見える。
もしかして、信一郎さんは清楚系の私を気に入ってくれたって、私が話したから?
信一郎さんに、気に入られようとしている?
案の定、沢井家の車に乗った。
私も手配していたタクシーに乗って、その車を追いかけた。
車は中心街に向かって行く。
結構、お金持ちが集まるお店が多い場所だ。
こんなところ、信一郎さんが場所を決めたのかな。
だとしたら、ちょっと傷つく。
私の時には、こんな場所、来た事ないのに。
そして車は、あるお店の前に停まった。
中から芹香が出て来て、お店の中に入った。
私も後から、気づかれないようにお店の中に入って行く。
「芹香さん。」
「黒崎さんっ!」
「芹香と、デートするの?」
信一郎さんは、ふぅーっとため息をついた。
「あそこまで、俺にこだわっているとは。」
さすがの信一郎さんも、疲れるよね。
人と話をしていて、一番疲れるのは、相手が自分の話を聞いていない時だ。
芹香は、なぜ私達の話を、聞かないのだろう。
「もしかして……」
「何?」
「芹香は、自分に言い聞かせているんじゃないのかな。」
「何だって?」
「これが自分の道だって。」
私は信一郎さんと、顔を合わせて頷いた。
「芹香さんだって、本当は知っているんだ。この結婚は間違っているって。」
「そうだよ。」
私はだんだん腑に落ちてきた。
「でも、お母さんの為に仕方なく、結婚しようとしているんだよ。」
信一郎さんも、大きく頷く。
「だとしたら、芹香さんがお母さんの為に、犠牲にならないような事を考えなければ。」
「そうだね。」
その事を付き止めないと。
「そうなると、何度か芹香さんに会った方がいいな。」
「えっ……」
すると信一郎さんは、クスッと笑った。
「なんだ、礼奈。嫉妬しているのか。」
「そんなんじゃないよ。」
「そうか?顔に書いてあるぞ。」
私は頬に手を当てた。
「あははは。」
信一郎さんは、それを見て笑っている。
「大丈夫だよ。俺は、芹香さんの事を好きにはならない。」
「本当?」
「礼奈がいるのに、どうして好きになるんだよ。」
私は苦笑いをした。
どことなく、感じていた。
信一郎さんは、お嬢様を求めているのだと。
それは、私が貧乏な家の娘だって分かっても、求めてくれている事で違うと分かったけれど。
もし、芹香が本気で信一郎さんを、口説いたら?
相手はちゃんとしたお嬢様だし。
家柄も人柄も、申し分ないはず。
そんな状態で、上手くいかない事なんて、あるのだろうか。
「礼奈。」
信一郎さんは、私を抱き寄せてくれた。
「俺の事、信じて。」
「うん。」
今は、信一郎さんの事を信頼するしかない。
芹香を救えるのは、信一郎さんしかいないのだから。
「信一郎さん、これ。」
私はスマホの中にある、芹香の連絡先を信一郎さんに見せた。
「これは……」
「信一郎さんを信じて、見せるんだからね。」
「ああ。」
信一郎さんは、早速芹香の連絡先を、スマホに登録した。
「繋がるかな。」
信一郎さんが芹香に電話を架けてみると、あっさりと出た。
「黒崎です。ええ、先ほどはお構いもできなくて。」
信一郎さんは、ずっと私の隣にいてくれる。
「ええ。今度、芹香さんとお会いしたくて。」
しばらく話して、信一郎さんは私にOKサインを出した。
「では、その時に。」
電話を切った後、信一郎さんはニコッと笑った。
「今度の週末、芹香さんと二人で会う事になったよ。」
「週末……」
週末はいつも、私と会っていたのに。
「心配するなって。礼奈は、平日でも会えるだろう。」
「えっ……」
信一郎さんはおもむろに、キーホルダーから一つの鍵を取り出した。
「俺の家の鍵。」
「……合い鍵って事?」
「そう。」
私の手の平に入る小さな鍵。
それが、信一郎さんとの、大きな未来を握っている。
「平日はこれを使って、俺の家においで。」
「うん。」
私は、信一郎さんに抱き着いた。
「ありがとう、信一郎さん。」
この合い鍵のおかげで、元気が出た。
私は信一郎さんを信じているし、信一郎さんも私を愛してくれている。
それに嘘はなくて。
きっと、信一郎さんなら、芹香が納得する諦め方を、探してきてくれると思う。
「上手くいくといいね。」
「ああ。」
私は信一郎さんの温かさに、酔いしれていた。
そして、週末。
そうは言っても、どうしても心配で仕方がない。
私は二人に内緒で、デートについて行く事にした。
また芹香の家に張り付いて、彼女が出てくるのを待った。
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そして、芹香が家から出て来た。
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もしかして、信一郎さんは清楚系の私を気に入ってくれたって、私が話したから?
信一郎さんに、気に入られようとしている?
案の定、沢井家の車に乗った。
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こんなところ、信一郎さんが場所を決めたのかな。
だとしたら、ちょっと傷つく。
私の時には、こんな場所、来た事ないのに。
そして車は、あるお店の前に停まった。
中から芹香が出て来て、お店の中に入った。
私も後から、気づかれないようにお店の中に入って行く。
「芹香さん。」
「黒崎さんっ!」
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