社長は身代わり婚約者を溺愛する
第32章 慰謝料②
「何だって?芹香ちゃんの?代わりに見合いに行っただけだろ?」
「それが、信一郎さんは芹香と付き合っていると思っていて。芹香のお父さんにも、そう言ってたのよ。」
「訳が分からねえ。」
私とお父さんの会話に、芹香のお父さんが入ってくる。
「訳が分からないのは、私も一緒です。ですから話を。」
お父さんは、私と顔を合わせると、家に芹香のお父さんを招いた。
「それで?信一郎君と芹香ちゃんが、何だって?」
お父さんは、座った途端に、質問し始めた。
「結婚を考えている仲だったんです。」
芹香のお父さんは、はっきりそう言った。
「なのに、横からそちらのお嬢さんがですね。」
「横取りしたって言うのか。」
「その通りです。」
お父さんは、ちらっと私の方を見た。
お父さん、ややこしい話で、ごめんなさい。
「大体、芹香ちゃんは信一郎君との見合いに、行ってないよ。」
「はあ?どういう事ですか?」
するとお父さんは、私の背中をドンと叩いた。
私に話をしろと言うらしい。
「あの……芹香から、代わりに見合いを断って欲しいと言われまして。」
「見合いを……断ってくれ 」
ああ、芹香のお父さん。
本当に、何も分からないんだなぁ。
「そして私が代わりに、お見合いに行きまして……」
ああ、ここから話すのが恥ずかしい。
親の前で恋の話とか、勘弁してほしい。
「そこで、信一郎さんを好きになってしまったんです。」
「ふん。」
私の話に、芹香のお父さんは、鼻で笑った。
「確かに信一郎君のような男を見たら、誰でも好きになるな。」
信一郎さんに対しての、すごい自信。
余程、信一郎さんの事、気に入ってたのかな。
「そこで、二人で付き合いましょうって話になりまして。」
「君と?信一郎君が?」
悪かったわね。
そりゃあ、お宅の娘さんと比べれば、私なんかへでもないですけど。
「ですが、信一郎さんは私の事を、芹香だと思っていまして。」
「そりゃあそうだ。代わりだなんて、思ってないからな。」
「それで、信一郎さんは芹香さんとお付き合いしていると、勘違いしていたようです。」
話が終わり、こんな事だったら、最初から芹香さんじゃありませんって、言っておけばよかったって思った。
そして、芹香のお父さんを見て、ハッとした。
絶対、怒ってる。
「よくも、ウチの家を掻きまわしてくれたな。」
「ええー!」
「おまえが芹香の代わりにならなかったら、こんな事にはならなかった!」
「それは、そうですけど……」
でも、私は芹香に言われて、行ったんですけど!
「元々黒崎家との結婚は、政略結婚だった。資金調達にお互い納得していた。」
ー この結婚は、政略結婚なんだ -
信一郎さんも、そう言ってた。
「なのに、この結婚を破断にしやがって!慰謝料を請求する!」
「慰謝料 」
私とお父さんは、大声を出して驚いた。
「いくら請求するつもりだ。」
「結婚が決まれば、1億の融資が受けられるはずだった。」
「1億 」
そんなお金なんて、一生かかっても払いきれない。
まして、工場だって信一郎さんの融資を受けたばかりなのに。
そんなお金、どこからも出ないよ。
「と言っても、払いきれないのは目に見えてるからな。」
「じゃあ、少なくしてくれるのか。」
「5,000万にしてやる。」
半分でも5,000万。
そんなお金、ないんだってばあ!
「どうした?政略結婚が破断になるというのは、こういう事だぞ。」
芹香のお父さんは、ニヤニヤしている。
結婚は破断になって、1億の融資はなくなったけれど、ウチから5,000万取れるって、本気で思ってるんだ。
「芹香のお父さん。」
「なんだ?」
「最初に、芹香がこのお見合いを断って欲しいと言っている時点で、この政略結婚は不成立です。」
そうだよ。
芹香だって、望んでいなかった。
芹香は、親の決めた結婚なんて、嫌がっていたから。
「その後、信一郎君からぜひお嬢さんと交際させてくださいって、電話があったんだよ。」
うっ!信一郎さん、そんな電話してたの?
「まあ、中身は君だったようだが?普通に、芹香と付き合うと思うよな。」
それに関しては、何も言えない。
「当然、こちらとしては、政略結婚を進める訳だ。」
芹香のお父さんが言う事は、当たっている。
「何度も言う。この政略結婚を破断にしたのは、君だ。」
断定されても、答えられない。
「慰謝料は払って貰うよ。」
芹香のお父さんはそう言うと、立ち上がって家を出て行った。
私達は、「待ってください。」も言えずに、家で呆然としていた。
「慰謝料……」
お父さん、あまりに金額が多すぎてぼーっとしている。
「ごめん、お父さん。」
「いや、いいんだ。ただ……」
「ただ?」
「本当に払わなければいけないお金なのかね。」
そうだ。弁護士に相談すれば、何とかしてくれるかもしれない。
「弁護士に、相談しよう。」
私は、直ぐに信一郎さんに電話をした。
『どうした?礼奈。』
「信一郎さん、いい弁護士を紹介して。」
『ええ?どうしたんだ?急に。』
私は、できるだけ冷静に、信一郎さんに伝えようとした。
「今日、芹香と信一郎さんの結婚が破断になったからって、沢井家から慰謝料を請求されたの。」
『いくら?』
「5,000万。」
信一郎さんも、電話の向こうで唖然としていた。
「それが、信一郎さんは芹香と付き合っていると思っていて。芹香のお父さんにも、そう言ってたのよ。」
「訳が分からねえ。」
私とお父さんの会話に、芹香のお父さんが入ってくる。
「訳が分からないのは、私も一緒です。ですから話を。」
お父さんは、私と顔を合わせると、家に芹香のお父さんを招いた。
「それで?信一郎君と芹香ちゃんが、何だって?」
お父さんは、座った途端に、質問し始めた。
「結婚を考えている仲だったんです。」
芹香のお父さんは、はっきりそう言った。
「なのに、横からそちらのお嬢さんがですね。」
「横取りしたって言うのか。」
「その通りです。」
お父さんは、ちらっと私の方を見た。
お父さん、ややこしい話で、ごめんなさい。
「大体、芹香ちゃんは信一郎君との見合いに、行ってないよ。」
「はあ?どういう事ですか?」
するとお父さんは、私の背中をドンと叩いた。
私に話をしろと言うらしい。
「あの……芹香から、代わりに見合いを断って欲しいと言われまして。」
「見合いを……断ってくれ 」
ああ、芹香のお父さん。
本当に、何も分からないんだなぁ。
「そして私が代わりに、お見合いに行きまして……」
ああ、ここから話すのが恥ずかしい。
親の前で恋の話とか、勘弁してほしい。
「そこで、信一郎さんを好きになってしまったんです。」
「ふん。」
私の話に、芹香のお父さんは、鼻で笑った。
「確かに信一郎君のような男を見たら、誰でも好きになるな。」
信一郎さんに対しての、すごい自信。
余程、信一郎さんの事、気に入ってたのかな。
「そこで、二人で付き合いましょうって話になりまして。」
「君と?信一郎君が?」
悪かったわね。
そりゃあ、お宅の娘さんと比べれば、私なんかへでもないですけど。
「ですが、信一郎さんは私の事を、芹香だと思っていまして。」
「そりゃあそうだ。代わりだなんて、思ってないからな。」
「それで、信一郎さんは芹香さんとお付き合いしていると、勘違いしていたようです。」
話が終わり、こんな事だったら、最初から芹香さんじゃありませんって、言っておけばよかったって思った。
そして、芹香のお父さんを見て、ハッとした。
絶対、怒ってる。
「よくも、ウチの家を掻きまわしてくれたな。」
「ええー!」
「おまえが芹香の代わりにならなかったら、こんな事にはならなかった!」
「それは、そうですけど……」
でも、私は芹香に言われて、行ったんですけど!
「元々黒崎家との結婚は、政略結婚だった。資金調達にお互い納得していた。」
ー この結婚は、政略結婚なんだ -
信一郎さんも、そう言ってた。
「なのに、この結婚を破断にしやがって!慰謝料を請求する!」
「慰謝料 」
私とお父さんは、大声を出して驚いた。
「いくら請求するつもりだ。」
「結婚が決まれば、1億の融資が受けられるはずだった。」
「1億 」
そんなお金なんて、一生かかっても払いきれない。
まして、工場だって信一郎さんの融資を受けたばかりなのに。
そんなお金、どこからも出ないよ。
「と言っても、払いきれないのは目に見えてるからな。」
「じゃあ、少なくしてくれるのか。」
「5,000万にしてやる。」
半分でも5,000万。
そんなお金、ないんだってばあ!
「どうした?政略結婚が破断になるというのは、こういう事だぞ。」
芹香のお父さんは、ニヤニヤしている。
結婚は破断になって、1億の融資はなくなったけれど、ウチから5,000万取れるって、本気で思ってるんだ。
「芹香のお父さん。」
「なんだ?」
「最初に、芹香がこのお見合いを断って欲しいと言っている時点で、この政略結婚は不成立です。」
そうだよ。
芹香だって、望んでいなかった。
芹香は、親の決めた結婚なんて、嫌がっていたから。
「その後、信一郎君からぜひお嬢さんと交際させてくださいって、電話があったんだよ。」
うっ!信一郎さん、そんな電話してたの?
「まあ、中身は君だったようだが?普通に、芹香と付き合うと思うよな。」
それに関しては、何も言えない。
「当然、こちらとしては、政略結婚を進める訳だ。」
芹香のお父さんが言う事は、当たっている。
「何度も言う。この政略結婚を破断にしたのは、君だ。」
断定されても、答えられない。
「慰謝料は払って貰うよ。」
芹香のお父さんはそう言うと、立ち上がって家を出て行った。
私達は、「待ってください。」も言えずに、家で呆然としていた。
「慰謝料……」
お父さん、あまりに金額が多すぎてぼーっとしている。
「ごめん、お父さん。」
「いや、いいんだ。ただ……」
「ただ?」
「本当に払わなければいけないお金なのかね。」
そうだ。弁護士に相談すれば、何とかしてくれるかもしれない。
「弁護士に、相談しよう。」
私は、直ぐに信一郎さんに電話をした。
『どうした?礼奈。』
「信一郎さん、いい弁護士を紹介して。」
『ええ?どうしたんだ?急に。』
私は、できるだけ冷静に、信一郎さんに伝えようとした。
「今日、芹香と信一郎さんの結婚が破断になったからって、沢井家から慰謝料を請求されたの。」
『いくら?』
「5,000万。」
信一郎さんも、電話の向こうで唖然としていた。
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