乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

146話 あなた達に足りないもの

「ぐっ……。くそっ、くそっ!! 俺達の努力は何だったんだ!」

「わたくし達は、来る日も来る日も魔法の鍛錬に明け暮れてきましたのに……。わたくし達に何が足りないというのです……?」

 四席と五席の生徒が悔しげに歯噛みする。
 彼らは、イザベラとオスカーを追い抜くことを目標に、血の滲むような努力を重ねてきたのだ。
 しかし、いざ蓋を開けてみれば、二人は彼らを置いてどんどん先に進んでしまう。
 特に、イザベラの伸び方は異常だった。
 まるで、これまでは手を抜いていただけと言わんばかりに、めきめきとその成績を伸ばしているのだ。
 彼らの精神的ショックは計り知れない。
 他の一般生徒は、まだ幸福だっただろう。
 イザベラをドラゴンとすれば、彼ら一般生徒はアリだ。
 その実力差すら、まともに把握できやしない。
 それに対して、四席と五席はネズミくらいの実力はある。
 ドラゴンの圧倒的実力を前に、格の差を思い知り絶望したのだ。

「ふふふ。あなた達に何が足りないか……。よろしければ、教えて差し上げましょうか?」

 意気消沈する二人に、イザベラは声をかけた。

「あ、ああ! 教えてくれ!!」

「いったいどこで、これほどの差が生じてしまったのですか!?」

 二人の切羽詰まった様子に、イザベラは笑みを深める。
 そして、ゆっくりと口を開いた。

「あなた達に足りないもの……それは才能ですわ」

「……は?」

「……え?」

「聞こえませんでした? あなた方の耳は飾り物なのかしら? それとも、脳ミソが腐っているのかしら? まぁ、どちらにせよ、答えは同じですけれど」

 イザベラは冷たく言い放つと、言うべきことは終わったと言わんばかりに踵を返した。
 そして、オスカーと一緒にその場を離れる。
 残された四席と五席は、ただ絶望した表情でその場にうずくまっているのだった。

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