乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

130話 闇魔法の激突

 フレッドとアリシアさんが闇魔法の詠唱を進めている。
 闇魔法は、単純な物理的破壊力に加え、精神混乱や精神汚染などの追加効果も持っている。
 こんな秋祭りのど真ん中でぶつかり合えば、一般人にも被害が出る可能性がある。
 いや、一般人はいつの間にか避難しているからまだいい。
 問題は、この広場内にいる者達。
 私、アリシアさん、フレッド。
 それに、少し離れたところに倒れているエドワード殿下、カイン、オスカーだ。

「イザベラさんは黙ってみていてください! この異常な同性愛者の魔の手から、イザベラさんを守るのは僕の役目です!!」

「イザベラ様はわたしが守る! たとえ死んでも、お前なんかにイザベラ様を傷つけさせたりしない!!」

「僕たちの愛を邪魔する奴は、誰であろうと許さないぞ!!」

「わたしたちの間に割り込もうとする奴は、みんなみんな消えてしまええぇっ!!」

 私の言葉は全く聞き入れてもらえなかった。
 二人はお互いに睨み合いながら、闇魔法を練り上げていく。
 その光景には、思わず息を飲んでしまう。

「いくぜ! これが僕の闇魔法……」

「わたしの闇の力を思い知りなさい!」

 二人が両手をそれぞれ相手に向ける。

「闇よ、全てを薙ぎ払え! 【ダークネス・デストラクション】!!」

「闇よ、全てを飲み込め! 【ブラックホール】!!」

 二人の魔法が炸裂した。
 真っ黒な波動と、黒い渦がぶつかり合って、周囲を巻き込み大爆発を引き起こす。
 それは周囲に凄まじい衝撃を発生させた。

「きゃああっ!?」

 私は咄嵯に防御魔法を展開する。
 少し離れたところにいるエドワード殿下、カイン、オスカーは……。
 もう防御魔法を発動する余力すらなさそうだ。
 物理的なダメージは届いていないけれど、二人から溢れ出た闇の瘴気が……。

「…………」

 辺り一帯に土煙が立ち込める。
 やがて視界が晴れると、そこには倒れ伏すフレッドとアリシアの姿があった。

「アリシアさん! フレッド!!」

 私は慌てて駆け寄ろうとする。
 でも――

「「来ないでください!!」」

 二人が声を合わせて叫ぶ。

「……どうして?」

 私は足を止める。
 すると、二人はよろめきながらも立ち上がったのだった。

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