魔力ゼロの転生少女は異世界で魔王になる

29話 服との決別

 昨日の夜、初めて外出した時に気付いた事がある。

「ここって、街の中心に建ってるお城よね?」

 クロエが捕まっているここは、この巨大な街の中心にある一番大きなお城だった。

(このお城に住んでいるララ様やクライス様って何者?まさか王族とかじゃないよね?)

 ララが外出したので、クロエが暇そうにそんな事を考えていると、ルイが部屋に入って来た。

「これから冒険者ギルドへ向かいます、ついて来なさい」

 ルイに言われて、クロエは立ち上がるが、自分の格好を見て、立ち止まった。

(冒険者ギルドって街中にあるのよね?流石にこの格好じゃ行けないよね)

 クロエは、変態露出狂のエロ猫の格好のままであり、このまま行けば、露出狂として捕まってしまうと考えた。

「あ、あの、服は何処ですかニャン?」

「はぁ?服?」

 クロエがルイに質問すると、怪訝な顔でクロエを睨む。

(流石に真昼間からこんな格好で街中を歩くなんて嫌よ!)

「ララ様からはそのままの格好で奉仕させる様にと仰せつかっています!」

「はい?このままで行けって事ですかニャン!?」

「そうです!さっさとついて来なさい」

 ルイは面倒くさそうにクロエを見る。

「い、嫌です!服を下さいニャン!こんな格好では仕事をする前に捕まってしまいますニャン!」

 ララがいないからか、クロエは、久しぶりに反抗的な態度を取る事ができた。

「捕まる心配は有りません!つべこべ言わずについて来なさい!」

 ルイは珍しく命令に従わないクロエに苛立ちを覚えて怒鳴った。

(捕まらないってなんで言い切れるのよ!?私、どうしたら良いの?)

「ルイの言う通りにしろ!」

 そこで、クリスが割って入ってきた。

「で、でも、冒険者ギルドに行くなら服くらい着させて欲しいニャン!」

(せっかく冒険者ギルドで異世界っぽい事が出来そうなのに、こんな格好じゃ様にならないじゃない!)

 クロエは冒険者ギルドの仕事を楽しみにしていた分、不満も大きかった。

「いい加減にしろ!そろそろ変態露出狂としての自覚を持てよ!」

(変態露出狂の自覚って何よ!?そもそも私、変態露出狂じゃないし!)

「アッ、やっ、やめて!逝く!」

 クロエは、唐突に栗をシコられながら、子宮を痙攣させられて、クリスにイカされてしまう。

「ひ、卑怯だニャン!」

 クロエは、涙目になりながらクリスに抗議する。

「あのなぁ、そもそも俺がお前に二度と服なんか着させるわけが無いだろ!」

「はぁ!?」

(二度と服を着れないですって!?)

「クロエは変態露出狂として、一生全裸で生きていくんだから、今から慣れとくんだな!」

「そ、そんにゃあー」

(一生裸で生きていくなんてやだぁ、オシャレしたり可愛い格好もしたいのに!)

「次、反抗したら電気ショックな!」

 クリスに脅されたクロエは、諦めて頭を下げた。

「では、行きますよ!これ以上手間をかけさせないで下さいね!」

「は、はいニャン」

 完全に諦めたクロエは、ルイとクリスの指示に従って歩き始めた。

「お前は、昨日から変態露出狂のエロ猫として、デビューしたんだ!今後はプロとしてちゃんと振る舞えよ!」

 頭の中でクリスに説教をされて、クロエは更に落ち込んだ。

「はい、師匠」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品