悪役令嬢にはブラック企業で働いてもらいます
出勤は諦めてもらいます
この山、一日で登り切ることは出来るみたいだけれど。
「やっh」
 
「そんな事してる暇ないのよ。ほら行くわよ」
「ヤッホーさせて!!」
山を降りるのは日が落ちないと絶対無理よね。
頂上から見えたあの景色は、忘れられない。影を落とした黒い雲と対比するように、夕焼けが辺りを橙色に照らし、真ん中にはぽっかり浮かぶ朱い夕日。
「綺麗...」
思わず理沙が声を漏らし、八木杉が何故か涙を流すくらい綺麗だったわ。
「オレ...こんなに綺麗な夕日見たの初めてだよ...なんか感動した」
「良かったですね」
「夕暮れに照らされるイケメン二人。最高」
理沙は今心のシャッターを切っているわ。
確かに。
城の中にいたら、一生見れなかったでしょうね。こんな景色は。
しかも──。
私は理沙、八木杉、そして総司を見る。
誰かとこんな景色を見るなんて、城にいたら絶対、無理だったわね。
疲労が吹っ飛ぶくらい、それは夢のような忘れられない景色だった。
「さて、もう日が暮れるわ。さっさと山を降りるわよ」
ヤッホーしたがってる八木杉をひっ捕らえて景色を見たのは約2分程。
すぐに山を降りないと明日出勤は無理ね。
「ちょ、ちょっとお客さん方」
突然背後に現れたお爺さんに話しかけられた。
「はい?」
「これから、まさか山を降りられるおつもりかね?」
「え、えぇ」
「正気かい?やめときなさい。これから雨が降る。山を降りるには最悪の環境化だよ。死ぬよあんたら」
「雨ぇ?」
黒い雲が轟々とこちらを見下ろしていた。
「嵐になるかもしれん雨だ」
「でも明日出勤しないといけないのよ」
「何を...訳の分からない事を言っているのかね」
「私も分からないわよ!」
ポツリ。
嫌な予感がした。
肩に空から雫が降っていた。
「雨...」
理沙が空を見て呟いた。
絶望の雨だった。
「やっぱりだ!こっちに!」
お爺さんは、私達を手招きした。
頂上の少し離れたところに山小屋がありお爺さんはそこで暮らしているらしい。
お爺さんは写真家で、このけわし山の頂上の景色に惚れ込み、頂上の山小屋の経営者になったらしい。
お爺さんは山小屋で頂上に登ったお客さんに写真を撮ってあげたり、山小屋での宿泊代やお土産代、山の景色の写真集を出したり写真コンテストでの賞金で生計を立てていると自慢げに語っていた。
外は土砂降り。
ザァザァと雨の音がうるさい。
「はぁ、こりゃ明日の出勤はダメね」
お爺さんの話を現実逃避として聞いていたけど、私も理沙も頭を抱えて俯いていた。
「会社を休むなんて...どんな恐ろしいことがあるか」
理沙はカタカタと震えていた。
「でも仕方ないよこんな天気だと...明日晴れた時に山を降りて皆で仕事に穴を開けて迷惑をかけた先輩方に謝ろう」
八木杉は、ポジティブな事を言いながらも顔は引きつって貧乏ゆすりがドスドスドスドステーブルがぐらぐら揺れるくらいとんでもなかった。
「皆さん、もう立派な社畜ですね」
総司が、目を細めてお爺さんから淹れてもらったココアを飲んだ。
「やっh」
 
「そんな事してる暇ないのよ。ほら行くわよ」
「ヤッホーさせて!!」
山を降りるのは日が落ちないと絶対無理よね。
頂上から見えたあの景色は、忘れられない。影を落とした黒い雲と対比するように、夕焼けが辺りを橙色に照らし、真ん中にはぽっかり浮かぶ朱い夕日。
「綺麗...」
思わず理沙が声を漏らし、八木杉が何故か涙を流すくらい綺麗だったわ。
「オレ...こんなに綺麗な夕日見たの初めてだよ...なんか感動した」
「良かったですね」
「夕暮れに照らされるイケメン二人。最高」
理沙は今心のシャッターを切っているわ。
確かに。
城の中にいたら、一生見れなかったでしょうね。こんな景色は。
しかも──。
私は理沙、八木杉、そして総司を見る。
誰かとこんな景色を見るなんて、城にいたら絶対、無理だったわね。
疲労が吹っ飛ぶくらい、それは夢のような忘れられない景色だった。
「さて、もう日が暮れるわ。さっさと山を降りるわよ」
ヤッホーしたがってる八木杉をひっ捕らえて景色を見たのは約2分程。
すぐに山を降りないと明日出勤は無理ね。
「ちょ、ちょっとお客さん方」
突然背後に現れたお爺さんに話しかけられた。
「はい?」
「これから、まさか山を降りられるおつもりかね?」
「え、えぇ」
「正気かい?やめときなさい。これから雨が降る。山を降りるには最悪の環境化だよ。死ぬよあんたら」
「雨ぇ?」
黒い雲が轟々とこちらを見下ろしていた。
「嵐になるかもしれん雨だ」
「でも明日出勤しないといけないのよ」
「何を...訳の分からない事を言っているのかね」
「私も分からないわよ!」
ポツリ。
嫌な予感がした。
肩に空から雫が降っていた。
「雨...」
理沙が空を見て呟いた。
絶望の雨だった。
「やっぱりだ!こっちに!」
お爺さんは、私達を手招きした。
頂上の少し離れたところに山小屋がありお爺さんはそこで暮らしているらしい。
お爺さんは写真家で、このけわし山の頂上の景色に惚れ込み、頂上の山小屋の経営者になったらしい。
お爺さんは山小屋で頂上に登ったお客さんに写真を撮ってあげたり、山小屋での宿泊代やお土産代、山の景色の写真集を出したり写真コンテストでの賞金で生計を立てていると自慢げに語っていた。
外は土砂降り。
ザァザァと雨の音がうるさい。
「はぁ、こりゃ明日の出勤はダメね」
お爺さんの話を現実逃避として聞いていたけど、私も理沙も頭を抱えて俯いていた。
「会社を休むなんて...どんな恐ろしいことがあるか」
理沙はカタカタと震えていた。
「でも仕方ないよこんな天気だと...明日晴れた時に山を降りて皆で仕事に穴を開けて迷惑をかけた先輩方に謝ろう」
八木杉は、ポジティブな事を言いながらも顔は引きつって貧乏ゆすりがドスドスドスドステーブルがぐらぐら揺れるくらいとんでもなかった。
「皆さん、もう立派な社畜ですね」
総司が、目を細めてお爺さんから淹れてもらったココアを飲んだ。
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