乙女ゲームの当て馬悪役令嬢は、王太子殿下の幸せを願います!
第23話 ヴァールブルク侯爵令息の調書②
「どうして、あんな事を……」
そう問いかけるアリスの表情に怒りの色はない。エメラルドの瞳が、ただ悲しみだけを湛えている。
「どうしてですって?決まってるわ、貴女が目障りだったからよ」
アリスの視線の先、王宮の騎士達に拘束されたひとりの令嬢は忌々しげに言い放った。
縦ロールに巻いた金髪を振り乱して抵抗するが、それぞれ取り押さえられた両の腕はびくともしない。
〈魔術〉の教本に細工してアリスを傷付けようとした咎が暴かれ騎士達に捕らえられても尚、彼女はアリスを睨み、叩き付ける様に吠えた。
「貴女なんて嫌い、大嫌いよ!平民の癖に、わたくしが欲しいものを全部持ってる。〈魔術〉の才能もあって、王太子殿下からも、ヴァールブルク様からも贔屓されて……貴女なんて消えてしまえばと何時も思ってたわ!」
縦ロール令嬢は「大嫌いよ!!」と喚き散らしながら騎士達に連行されて行く。
「………彼女はどうなってしまうのですか?」
令嬢の姿を見送って、アリスは隣に立つウィルフリードに尋ねた。
縦ロール令嬢が犯人だと判明したのはウィルフリードの調査の結果だ。
「〈魔術〉を使って悪事を働くなど、あってはならない事です。最低でも爵位は剥奪、この王都に足を踏み入れる事は二度と無いでしょう」
「そんな……!」
ウィルフリードの言葉を聞いたアリスの瞳が哀しみに滲み、涙がほろりと零れ落ちた。
「貴女を傷付けた者の為にまで涙を流すのですか。……貴女は優しすぎます。貴女の能力は貴女の努力の結果です。あの様な僻みや嫉みで塗り固められた悪態など、聞き流してしまってもいいのに」
アリスを気遣わしげに見つめるウィルフリードに
「ちょっとそれは言い過ぎなのではないの!?努力したって出来ない人も居るのよぉっ!」
思わず叫んで、我に返った。
「な、何ですか、いきなり……」
〈魔術〉の準備室、応接卓子の向かい側で、会議の為に今回の出来事の概要を文書に纏めていたウィルフリードは、突然叫び出したわたくしにペンを走らせる手を止め、顔を上げて困惑した表情でわたくしを見た。
……しまった。
目の前にウィルフリード本人が居たので、つい。
『エバラバ』のワンシーンを思い出していたら、悪役令嬢の方に感情移入しすぎて現実を見失ってしまっていたわ。
『エバラバ』では声のみで一枚絵がチラッと出てきただけだったというのに何なのあの臨場感は。わたくしの想像力、凄すぎ…?
「あ。……あらごめんなさい?少し考え事を…ほほほ」
「しっかりして下さいよ」
ウィルフリードは呆れた様子で溜息をひとつ吐いて、榛色の瞳を再び卓上の書類へと戻す。
やがて作業を終えたらしいウィルフリードは、わたくしの発言記録も含め、書類を丸めて紐で結んで卓子の脇に寄せ、外套の内衣嚢から出した懐中時計に目をやってから、紅茶のカップを口に運んだ。
「貴女とギルバート殿にアリス嬢を医務室へと運んで貰っている間、プライセル嬢からもお話を伺ったのですが」
「縦ロールから?」
会議までまだ時間があったのだろうかウィルフリードが、カップをソーサーに戻して話し始める。
「たて……?プライセル嬢は『何も知らない』の一点張りでした。…ただ酷く狼狽えていて、少なくとも自分の魔力で〈魔術〉が発現した事には気付いていた様に思えます」
何やってるのよ縦ロール!
隠した所でどうせバレるのだから洗いざらい吐いてしまった方がいいのに、動揺し過ぎて余計に疑われているじゃあないの!
それとも『エバラバ』通り、本当に縦ロールが犯人なのだろうか。
歓迎会のダンスの練習以来、アリスに対して相変わらずツンツンはしているけれど「意地悪」から「ツンデレ」へと徐々に形態変化してきていると感じていたのに。
だからこそ、わたくしはこのイベントは起こらないのではないかと思っていた。
アリスの教本が炎を上げた時に演習場に居たのは、わたくしとアリスとウィルフリード、そしてアドルフ伯爵と、〈魔術〉の実演の為にアドルフ伯爵と共に居た縦ロールだ。
アドルフ伯爵は〈闇〉の適性があり〈火〉の魔術は使えないので、あの場で教本の〈魔術〉を発現させる事が出来たのはわたくしと同じ〈火〉の適性を持つ縦ロールしか居ない。
縦ロールの内なる悪役令嬢が暴れ出してしまったのだろうか……。
思えば主人公に直接危害を加えるだなんて、嫌味を言うばかりの『エリザベータ』なんかよりも縦ロールの方がずっと悪役令嬢しているのよね。
それなのにエンドロールのクレジットでは「令嬢A」「令嬢B」「令嬢C」の「令嬢A」だなんて不公平だわ。
ふと気付くと、ウィルフリードは呆れた様な咎める様な、微妙な表情でわたくしを見ていた。
「………何?」
「エリザベータ嬢。プライセル嬢の事を『縦ロール』などと呼んでいるのですか?」
「はっ!ついうっかり!」
脳内での「縦ロール」呼びが声に出てしまっていた様だ。
ウィルフリードは慌てるわたくしに「呆れてものも言えません……」と溜息を吐いた。
「あまり巫山戯た真似ばかりしていると恨まれますよ。次に燃えるのは貴女の教本なのかもしれないのですからね」
「まだ、たっ……プライセル様が犯人と決まった訳ではないでしょう?」
わたくしにはどうしても納得がいかない。
『エバラバ』の縦ロールがどうだったのかは知らないが、現実の縦ロールは危害を加える程アリスを憎んでいる様には見えないし、犯罪行為に手を染める程愚かでもない。
そもそも、余程追い詰められでもしない限りこの様な―――教本の改竄が「ただの悪戯」では済まされない行為である事を縦ロールも理解している筈だ―――大それた事をしでかす度胸はないと思う。
「ねえ、アリス様の教本がプライセル様の魔力で〈魔術〉を発現したのだとしても、教本に術式を上書きしたのは別の人物という可能性はないのかしら」
「それは有り得ますね。実演の順序は無作為で行なっていたので、今回アリス嬢とプライセル嬢の順番が重なったのは全くの偶然です。教本に細工した人物が今回の実習でアリス嬢に危害を加えようとしたのだと仮定すると、偶々居合わせたプライセル嬢の〈火〉の魔力に教本が反応しただけで、それ以外の術式にも上書きしていたかもしれません。ただ……」
ウィルフリードは一度言葉を区切り、少し考え込む様な仕草をしてから言った。
「アリス嬢の教本が残っていたなら、上書きされたインクから「探知」の〈魔術〉で書いた者を特定する事も出来たのですが……教本は全て燃えてしまって、残ったのはこの灰だけです」
ウィルフリードが指し示す、卓上に置かれた小さな筒。
あぁ、これ何だろうとは思ってはいたのだけれど、灰だったのね。
でも、灰?
教本が燃えた後の、灰を?
灰を、態々集めて?
「灰を集めてどうするの?」
素朴な疑問が口を衝いた。
「殿下の〈魔術〉であれば或いは……復元出来るかもしれませんので」
ウィルフリードの物言いは少し歯切れの悪いものだった。
「迂闊な事を口にした」と思ったのかもしれない。
〈魔術〉の術式は王宮が公表したもの以外の使用を禁止されているが、王宮に勤める学者や王宮騎士団、王宮魔術士団など、それに該当しない者も居る。自ら編み出した術式を非公開にする事も許されているし、手の内を晒さない様「隠匿」の〈魔術〉で他者に術式を知られない様に隠していたりもする。
それらを統べる王室はその全てを掌握し、王室のみ紡ぐ事が許されるという術式も存在するらしい。勿論その〈魔術〉は極秘扱いだ。
まだ幼い頃、わたくしが隣国からの贈答品の壺を派手に壊してしまった時にクラウス様が〈魔術〉で元通りに直してくれた事があったが、今思うとあれもそういった類の〈魔術〉だったのだろう。
粉々になった物を、恰も時間を戻したかの様に罅ひとつ残さず修復する〈魔術〉など、並の魔力では発現させる事すら不可能だろうし公表されている〈光〉の魔術の術式の中にも存在しない。
〈光〉の術式の言語なのに、見た事もない様な文字列だった事は憶えている。
婚約者とはいえ、いずれ婚約を解消する相手に見せてしまってはいけないものなのの筈なのに………うっかりクラウス様、カワイイ!!
もしかしたら、わたくしが怒られると思って直してくれたのかもしれない。まぁ怒られるどころか侯爵家単位で沙汰が下るレベルでしたけれども。
クラウス様の優しさに、わたくしはその時見た事は墓まで持って行こうと心に誓ったのだった。
しかし可能性とはいえ、灰になってしまった物まで修復出来るかもしれないなんて。
「流石はクラウス様ね!!……でもわたくしにそんな話をしてしまっていいの?」
「うーん……口外はしないで下さいね」
「勿論ですわ!」
ウィルフリードもうっかり口を滑らせるなんて、こんな事でクラウス様の側近として大丈夫なのかしら。しっかりして欲しいものだわ。はーまったく。
「貴女は昔から殿下の話になると素直ですよね……普段からその位聞き分けが良いと助かるのですが」
「貴方は昔から一言多いわよね!」
半眼で溜息を吐くウィルフリードにカチンときて、結果ウィルフリードが会議に出かけるまでの四半刻もの間、わたくし達は言い合いをしていたのだった。
取っ組み合いの喧嘩にならなくて良かった。
そう問いかけるアリスの表情に怒りの色はない。エメラルドの瞳が、ただ悲しみだけを湛えている。
「どうしてですって?決まってるわ、貴女が目障りだったからよ」
アリスの視線の先、王宮の騎士達に拘束されたひとりの令嬢は忌々しげに言い放った。
縦ロールに巻いた金髪を振り乱して抵抗するが、それぞれ取り押さえられた両の腕はびくともしない。
〈魔術〉の教本に細工してアリスを傷付けようとした咎が暴かれ騎士達に捕らえられても尚、彼女はアリスを睨み、叩き付ける様に吠えた。
「貴女なんて嫌い、大嫌いよ!平民の癖に、わたくしが欲しいものを全部持ってる。〈魔術〉の才能もあって、王太子殿下からも、ヴァールブルク様からも贔屓されて……貴女なんて消えてしまえばと何時も思ってたわ!」
縦ロール令嬢は「大嫌いよ!!」と喚き散らしながら騎士達に連行されて行く。
「………彼女はどうなってしまうのですか?」
令嬢の姿を見送って、アリスは隣に立つウィルフリードに尋ねた。
縦ロール令嬢が犯人だと判明したのはウィルフリードの調査の結果だ。
「〈魔術〉を使って悪事を働くなど、あってはならない事です。最低でも爵位は剥奪、この王都に足を踏み入れる事は二度と無いでしょう」
「そんな……!」
ウィルフリードの言葉を聞いたアリスの瞳が哀しみに滲み、涙がほろりと零れ落ちた。
「貴女を傷付けた者の為にまで涙を流すのですか。……貴女は優しすぎます。貴女の能力は貴女の努力の結果です。あの様な僻みや嫉みで塗り固められた悪態など、聞き流してしまってもいいのに」
アリスを気遣わしげに見つめるウィルフリードに
「ちょっとそれは言い過ぎなのではないの!?努力したって出来ない人も居るのよぉっ!」
思わず叫んで、我に返った。
「な、何ですか、いきなり……」
〈魔術〉の準備室、応接卓子の向かい側で、会議の為に今回の出来事の概要を文書に纏めていたウィルフリードは、突然叫び出したわたくしにペンを走らせる手を止め、顔を上げて困惑した表情でわたくしを見た。
……しまった。
目の前にウィルフリード本人が居たので、つい。
『エバラバ』のワンシーンを思い出していたら、悪役令嬢の方に感情移入しすぎて現実を見失ってしまっていたわ。
『エバラバ』では声のみで一枚絵がチラッと出てきただけだったというのに何なのあの臨場感は。わたくしの想像力、凄すぎ…?
「あ。……あらごめんなさい?少し考え事を…ほほほ」
「しっかりして下さいよ」
ウィルフリードは呆れた様子で溜息をひとつ吐いて、榛色の瞳を再び卓上の書類へと戻す。
やがて作業を終えたらしいウィルフリードは、わたくしの発言記録も含め、書類を丸めて紐で結んで卓子の脇に寄せ、外套の内衣嚢から出した懐中時計に目をやってから、紅茶のカップを口に運んだ。
「貴女とギルバート殿にアリス嬢を医務室へと運んで貰っている間、プライセル嬢からもお話を伺ったのですが」
「縦ロールから?」
会議までまだ時間があったのだろうかウィルフリードが、カップをソーサーに戻して話し始める。
「たて……?プライセル嬢は『何も知らない』の一点張りでした。…ただ酷く狼狽えていて、少なくとも自分の魔力で〈魔術〉が発現した事には気付いていた様に思えます」
何やってるのよ縦ロール!
隠した所でどうせバレるのだから洗いざらい吐いてしまった方がいいのに、動揺し過ぎて余計に疑われているじゃあないの!
それとも『エバラバ』通り、本当に縦ロールが犯人なのだろうか。
歓迎会のダンスの練習以来、アリスに対して相変わらずツンツンはしているけれど「意地悪」から「ツンデレ」へと徐々に形態変化してきていると感じていたのに。
だからこそ、わたくしはこのイベントは起こらないのではないかと思っていた。
アリスの教本が炎を上げた時に演習場に居たのは、わたくしとアリスとウィルフリード、そしてアドルフ伯爵と、〈魔術〉の実演の為にアドルフ伯爵と共に居た縦ロールだ。
アドルフ伯爵は〈闇〉の適性があり〈火〉の魔術は使えないので、あの場で教本の〈魔術〉を発現させる事が出来たのはわたくしと同じ〈火〉の適性を持つ縦ロールしか居ない。
縦ロールの内なる悪役令嬢が暴れ出してしまったのだろうか……。
思えば主人公に直接危害を加えるだなんて、嫌味を言うばかりの『エリザベータ』なんかよりも縦ロールの方がずっと悪役令嬢しているのよね。
それなのにエンドロールのクレジットでは「令嬢A」「令嬢B」「令嬢C」の「令嬢A」だなんて不公平だわ。
ふと気付くと、ウィルフリードは呆れた様な咎める様な、微妙な表情でわたくしを見ていた。
「………何?」
「エリザベータ嬢。プライセル嬢の事を『縦ロール』などと呼んでいるのですか?」
「はっ!ついうっかり!」
脳内での「縦ロール」呼びが声に出てしまっていた様だ。
ウィルフリードは慌てるわたくしに「呆れてものも言えません……」と溜息を吐いた。
「あまり巫山戯た真似ばかりしていると恨まれますよ。次に燃えるのは貴女の教本なのかもしれないのですからね」
「まだ、たっ……プライセル様が犯人と決まった訳ではないでしょう?」
わたくしにはどうしても納得がいかない。
『エバラバ』の縦ロールがどうだったのかは知らないが、現実の縦ロールは危害を加える程アリスを憎んでいる様には見えないし、犯罪行為に手を染める程愚かでもない。
そもそも、余程追い詰められでもしない限りこの様な―――教本の改竄が「ただの悪戯」では済まされない行為である事を縦ロールも理解している筈だ―――大それた事をしでかす度胸はないと思う。
「ねえ、アリス様の教本がプライセル様の魔力で〈魔術〉を発現したのだとしても、教本に術式を上書きしたのは別の人物という可能性はないのかしら」
「それは有り得ますね。実演の順序は無作為で行なっていたので、今回アリス嬢とプライセル嬢の順番が重なったのは全くの偶然です。教本に細工した人物が今回の実習でアリス嬢に危害を加えようとしたのだと仮定すると、偶々居合わせたプライセル嬢の〈火〉の魔力に教本が反応しただけで、それ以外の術式にも上書きしていたかもしれません。ただ……」
ウィルフリードは一度言葉を区切り、少し考え込む様な仕草をしてから言った。
「アリス嬢の教本が残っていたなら、上書きされたインクから「探知」の〈魔術〉で書いた者を特定する事も出来たのですが……教本は全て燃えてしまって、残ったのはこの灰だけです」
ウィルフリードが指し示す、卓上に置かれた小さな筒。
あぁ、これ何だろうとは思ってはいたのだけれど、灰だったのね。
でも、灰?
教本が燃えた後の、灰を?
灰を、態々集めて?
「灰を集めてどうするの?」
素朴な疑問が口を衝いた。
「殿下の〈魔術〉であれば或いは……復元出来るかもしれませんので」
ウィルフリードの物言いは少し歯切れの悪いものだった。
「迂闊な事を口にした」と思ったのかもしれない。
〈魔術〉の術式は王宮が公表したもの以外の使用を禁止されているが、王宮に勤める学者や王宮騎士団、王宮魔術士団など、それに該当しない者も居る。自ら編み出した術式を非公開にする事も許されているし、手の内を晒さない様「隠匿」の〈魔術〉で他者に術式を知られない様に隠していたりもする。
それらを統べる王室はその全てを掌握し、王室のみ紡ぐ事が許されるという術式も存在するらしい。勿論その〈魔術〉は極秘扱いだ。
まだ幼い頃、わたくしが隣国からの贈答品の壺を派手に壊してしまった時にクラウス様が〈魔術〉で元通りに直してくれた事があったが、今思うとあれもそういった類の〈魔術〉だったのだろう。
粉々になった物を、恰も時間を戻したかの様に罅ひとつ残さず修復する〈魔術〉など、並の魔力では発現させる事すら不可能だろうし公表されている〈光〉の魔術の術式の中にも存在しない。
〈光〉の術式の言語なのに、見た事もない様な文字列だった事は憶えている。
婚約者とはいえ、いずれ婚約を解消する相手に見せてしまってはいけないものなのの筈なのに………うっかりクラウス様、カワイイ!!
もしかしたら、わたくしが怒られると思って直してくれたのかもしれない。まぁ怒られるどころか侯爵家単位で沙汰が下るレベルでしたけれども。
クラウス様の優しさに、わたくしはその時見た事は墓まで持って行こうと心に誓ったのだった。
しかし可能性とはいえ、灰になってしまった物まで修復出来るかもしれないなんて。
「流石はクラウス様ね!!……でもわたくしにそんな話をしてしまっていいの?」
「うーん……口外はしないで下さいね」
「勿論ですわ!」
ウィルフリードもうっかり口を滑らせるなんて、こんな事でクラウス様の側近として大丈夫なのかしら。しっかりして欲しいものだわ。はーまったく。
「貴女は昔から殿下の話になると素直ですよね……普段からその位聞き分けが良いと助かるのですが」
「貴方は昔から一言多いわよね!」
半眼で溜息を吐くウィルフリードにカチンときて、結果ウィルフリードが会議に出かけるまでの四半刻もの間、わたくし達は言い合いをしていたのだった。
取っ組み合いの喧嘩にならなくて良かった。
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