金丸耕平の休日--伊勢老舗旅館編--

佐々木寄道

35話

「坊っちゃん、坊っちゃん、お食事の時間になりましたよ。」明治時代では珍しい割と裕福な家庭で育った仁村京一は階段の下からお手伝いに呼ばれていた。仁村「伊勢野…伊勢野助八」仁村は自分の部屋で助八の写真を眺めて呟いた。

一方、現代を走る猫がいた。西郷「彦!彦丸いるか?にやぁ」昨晩仁科と2人金丸を待ち続けて一晩が過ぎていた。昼間に林の中を走る西郷は仲間と思われる彦丸なる猫に呼びかけていた。彦丸「はい、旦那様!」黒猫の彦丸は答えた。人間の年齢で言うなら25歳くらいになる彦丸。西郷「んむ、あの二人は、何も知らんかった!おそらくにゃあ」彦丸「伊勢野様ではなかったのですか?」西郷「うむ、違ったし全く知らんかったようにゃ。」彦丸「旦那様の見間違えと言う事でしょうか?」西郷「うーむ、また探すにゃあ、とにかく今は過去井戸にむかうにやぁ」彦丸「はっ!二見輿玉神社ですね!」西郷「にゃあ」

仁科「今日はなにしていたんだ?」倉科「おいおい、なんだよいきなり。」仁科は倉科を呼び出していた。サンセット伊勢の屋上に…仁科「最近なんか変なんだ…先生も行方不明だし…それに、それに倉科おまえ…おまえだよな?あれ、おまえだよな?」少し悲しげにうつむきながら問いかける仁科がいた。倉科「なんだよ。だから、なんなんだよ?」仁科「蛇の抜け殻だよ。あれ、お前のだろ?」倉科「うっ!?」仁科「たまたま、聞いたんだよ。それでピンと来たんだ。お前昔から変な趣味あったよな?あの頃はあまり気にしなかったけど…蛇の抜け殻持っているの隠すようにしまっていたよな。たまたまポケットから落ちたのを俺が見たときに…」倉科「だったらなんなんだよ…」仁科「倉科!倉科…」仁科はなにかを悲しむように話し出した。仁科「倉科…昔から俺はおまえを追いかけていたんだ!その大きな背中を…いつだってお前は俺の先を歩いてくれてたんだ!だから…だから俺は負けじと、勉強も学校も頑張れたんだ、なのになんで!なんでお前なんだよ!!!グッ」仁科は叫んだ、涙をグッと出しながら叫んだ。倉科「フッ!相変わらずだな仁科」倉科はそんな仁科をあざ笑うように話し始めた。倉科「俺がなんで警察に入ったか教えてやるよ。死ぬ前にな、仁科」「まっ!まさか…お前」「そうだよ、そのまさかだよ。殺しができるからだよ。警察に入ってトップに入れば何人殺せると思う?想像しただけで興奮したよ仁科、まっ今じゃ実現まで至っているぞ、隠れながら殺しが出来る感覚お前にわかるか仁科。なぁニ、シ、ナ、」仁科「お前…お前!何考えてるんだ!倉科…倉科嘘だと言ってくれよ!嘘だって言えよ!!!」仁科は倉科の胸ぐらを掴んで泣きながら叫んだ。

ドンッ!!!
サイレンサー付きのピストルの玉は仁科の脇腹を撃ち抜いた。

倉科「うるせえよ餓鬼!」仁科「グワッ倉科…倉科…お前グッ」倉科「フッ、たまらんなぁ、わざわざお前から来てくれるなんて仁科。伊勢神宮でお前に会った時も思ったよ。探さずに済んだなって。お前だけだったんだよ、俺のポッケに蛇の抜け殻があるの知ってたのは。サンセット伊勢でお前と金丸を殺すのをミスった俺は、夫婦を殺ったよ。翌朝気付いたら大切な蛇の抜け殻が無かったんだよ。まさかとは思ったが現場にな。」仁科「グッ…お前!」


アマテラス「金丸さん…金丸さん!聞こえますか!」金丸「ぐわぁぁぁあ!んっ!?」金丸は意識が朦朧としながらも金丸の中から声がするような、いもしない誰かが話しかけている事に気付いた。アマテラス「あぁ、落ち着いて聞いて下さい。私はアマテラス、タケルの父であります。訳あって今はそちらには行けません、しかし、あなたにはこうやって話しかける事に成功しました。おそらくタケルの血が何かのきっかけになった可能性はあります。しかし、今はそれどころでは無いのです。仁科くんがもうすぐ死にます。」金丸「仁科くんがっ!?死ぬ?」アマテラス「はい、仁科くんは倉科という殺人鬼に気付いて、自ら近づいて行きました。その結果、彼は打たれる羽目に合いました。サンセット伊勢の屋上で、彼は今、殺人鬼と闘っています。」金丸「なっ!なんだって!!!」金丸はベッドから起き上がった。イザナギ「どうした!金丸殿!?」ミコ「あっ!」田村麻呂「!?」叫びながら起き上がる金丸に一同ビックリしている。
金丸「なんで!なんでだ!!」アマテラス「金丸さん!ミコに現世に!そして金丸さん!タケルの血がある今ならあなたは飛べるでしょう!すぐにサンセット伊勢の屋上に向かって下さい。あなた以外に彼を救う事はできません。急いで!急いで彼を助けないと」金丸は有無いわぬ内に自分についている酸素マスクを外した。金丸「ミコちゃん!グッ…」叫ぶと同時に痛みが金丸の全身を走った。ミコ「?」イザナギ「何しとる!金丸殿?」金丸「話しは全て聞いていました。しかしこちらの話しは伝える時間はありません。」イザナギ「なんじゃと!?」金丸「友人の命が狙われています。ミコちゃん!僕の世界に返してくれ!!頼む!」ミコは金丸の表情を察した。ミコ「頑張ってね!」ミコはそれだけを言って金丸の背中を押した。

金丸は二見輿玉神社に現れた。そして、金丸は走り出した。金丸(急げ!たしか方角はあっちだ。ハァハァハァ、アマテラスって神様じゃないのか?飛べるってなんだよ…今はそれどころじゃない、屋上に向かうんだ。)走り出した金丸の全身は怒りと焦りで熱くなっている。血管に流れる血からいつになく熱があるのがわかる。その熱は湯気を出し、金丸にゴールドの覇気をまとわせていた。金丸(急げ、ハァハァハァ)サンセット伊勢まで走ったら1時間以上はかかる距離である。

金丸「倉科ぁぁああ!!!」金丸は叫んだ!すると無意識にいつの間にか金丸は飛んでいた。上空にスーパーサイヤ人のような金丸がいた。

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