金丸耕平の休日--伊勢老舗旅館編--

佐々木寄道

30話

御年19歳になる杏は美人と可愛さを合わせ持っている。権平「杏!今日は久々の猪鍋だぞ、やったな」杏「大っきい、助兄もありがとう。お母さんも喜ぶよ。私もいっぱい取っちゃうんだからね。」助八「うん、権っ!俺は、1人で松茸探し行ってくるよ。」権平「わかった、んなら猪はここで、ぶった斬るか。また、明日だな助っ」そういうと権平は猪をぶった斬った。2人は背中に背負っている籠ののようなカバンに真っ二つになった猪を入れてバイバイした。お互いの狩りは夕暮れまで続いた。
助八「そろそろ帰るか。」
権平「杏、もう日が沈む。」杏「うん。」
夕暮れが過ぎ別々の狩りに出た二組は家に帰っていった。
助八「ただいまぁ!」母上「おかえりなさい、まぁ猪なんか背負って!やったじゃないの!」助八「んだよ!権平とやったんだ!珍しく上手くいった!」助八と権平がいかに山育ちといえども、相手は野生の猪、そう簡単にはいかないもんだ。母上「今日は猪鍋ね、今用意するよ。」助八「おっかぁ松茸とれなんだ。」母上「いいのよ、そんなのは。さっお風呂お風呂、汚れ落としなさい。釜は炊いてあるわよ。」助八「うん。」助八は少しうつ向きかげんで、釜があるお風呂の方へ向かった。助八の頬は汚れ、足は泥がついている。お風呂の釜は1人が入れる程度の広さに原始的な薪でお湯をはっている。母上「猪なんか久しぶりね。」遠くの方で喜ぶ母の声がする。助八はその声を聞くだけで喜びが溢れてくるのであった。お風呂に入る前に助八は身なりの汚れきった服を手で洗った。洗った物を外で干した。この時代には洗濯機という便利な機械は普通には無かった。
助八がお風呂から上がり、食卓につくとグツグツと煮えたぎる猪鍋が待っていた。囲炉裏に座る助八と母がいる。助八「おっかぁ、都が東京になるんだってさ、金さんが行ってたんだ!」母上「へぇ、金さんがね〜、」助八「んで退助っちゅうんだって、んーなんて行ったかなぁ、あっ、板垣退助!板垣退助が頭になるんだってさ。」母上「あらっ、そうなの。さっ、食べよ。」助八「うん。」助八は25歳になる、やたらと社会の動向が気になる年頃ではあった。

一夜明けて狩りに向かう助八と権平がいた。昨晩の猪鍋の感想を話し合っていた。助八「久しぶりの猪、美味かったー」権平「これでまた、今日も頑張れるな!」助八「うん!おっかぁ元気か?」助八は権平の母を心配していた。権平の母は病気に伏していたからだ。権平「うん、杏がみているし、なんかあったら直ぐ様おれが駆けつけるからな。昨日も猪鍋喜んでいたぞ。助っ!ありがとな!」助八と権平が話していると前から人が歩いてきた。
助八「京一!おはよー」権平「おっ仁村、昨日はどこ行ってたんだよ。」笑いながら権平は同級生に話しかける。
京一「やぁ!」京一は狐顔をしている。

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