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グローバル中小企業

ノベルバユーザー590165

無駄な工数と社内政治


いくつか活動テーマを持っていた山本だったが、前職で経験していたほどの刺激はなかった。仕事がそれほど忙しくなかったこともあるが、仕事の内容自体も退屈なものが多かった。退屈な毎日の始まりは、メールボックスのチェックとスケジュール管理ツールの確認だった。営業部門からの新しい引き合いに対して、技術的な回答や概算見積もりの回答をするのが山本の仕事だった。
 受注した物件については、数ヶ月の単位で仕事をすることになるが、山本が直接実務をするわけではなかったので、実際やっていた仕事と言えば、問い合わせ窓口の役割ぐらいだった。あとは雑務のフォローぐらいだ。マネージャー職といっても、こんな地味な仕事が多いのだった。
 設計グループ内の業務状況を考慮して、営業部門からくる中身のない問い合わせはできるだけ断るようにしていた。あるいは山本が処理をしていた。複数の営業社員からの問い合わせが重なることもあったが、全体的に会社の業務量を考えると暇な方だろう。大勢いる営業社員の相手を一人でやっていた山本がそう感じるのだから、各営業社員はもっと暇だったはずだ。
 営業からの問い合わせがなければ、新しい活動への取り組みをやっていた。それは例えば、流行りのIT関連をどのように社内設備に導入するかの検討であったり、社内の生産性改善のための業務見直しであったり、新しいツールやシステムの導入検討だった。

 会社全体としては、「無駄なことに時間を割かずに効率よく仕事を進める」という方針であったが、営業社員との仕事のやり取りは多くの面で無駄そのものに思えた。全く受注につながりそうにない案件に対して執着する営業社員もいた。多くの問い合わせをすることで、社内の無駄な工数を発生させていることもそうであるし、社内で互いの批判をするような政治活動も無駄だった。中身のないメールを大勢に配信する社員もいたし、打ち合わせを好む人物も大勢いた。打ち合わせという名の仕事の押し付けにさえ思えた。ドキュメントに整理されていない情報を、ひたすら口頭で相手に説明することで仕事をしたつもりになっているが、はっきり言って仕事のやり方が間違いだった。わざわざ打ち合わせで説明しないといけないということは、非効率そのものに思えた。
 事前に内容をまとめて展開しておけば、不明点だけ打ち合わせで質問すれば済む。ところが、ほとんどの社員は「対面式できちんと説明する」というやり方だった。こう言うと聞こえはいいかもしれないが、人によってはただ自分が楽をしたいだけで仕事を押し付けているだけだった。例えば、 顧客との打ち合わせに設計者が参加する場合、営業部門は後で社内に説明する手間が省ける。議事録も何も作らないし、顧客と設計者が直接やり取りすれば、営業社員は何もしなくて済む。また、打ち合わせに金田を同席させたうえで山本に仕事を依頼することで、断りにくい状況を演出する者もいた。わざわざ社長が出席するレベルの打ち合わせでないにもかかわらずだ。要するに、ただの「社内政治」だった。

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