話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

グローバル中小企業

ノベルバユーザー590165

品質問題の対応


新規案件が少なくなった頃、今度は品質問題が連発するようになった。些細なものから重大な品質問題までいくつも案件が重なり始めた。そのほとんどがレベルの低い品質問題だったが、毎回報告書を作らなければならなかった。些細な案件でいえば、設備の部品が破損したとか、継手のエア漏れ程度のものもあった。納入後1年は保証期間という扱いだったこともあるが、顧客のレベルが低かったことも事実だ。さらに営業社員のレベルも低かった。例えば、センサーの故障や配管継手からのエア漏れ程度であれば、顧客の技術者が交換して対応すれば済む話だった。責任の区分によって後で費用のみを請求するといったやり方も取れたはずだ。ところが、トーマスと取引していた顧客にはクレーマーと思える態度をとる取引先が多かった。センサーの交換から継手のエア漏れまでトーマスに対応を要求してきた。山本にはこれが信じられなかった。
通常、量産ラインは24時間稼働の前提で設計されている(生産数量の増減によっては半日稼働のこともある)。24時間のフル稼働となれば、些細な問題対応をわざわざ取引先に要求して、何日間もその問題を放置することなどできない。つまり、問題が起きた瞬間に対応しなくてはならない。ところが、トーマスが取引する顧客のほとんどは何もしなかった。技術者をしていた山本に言わせれば、設備の面倒をみえないのならば、設備を購入する資格などなかった。量産設備は一般消費者向けの家電製品とは違って、維持するには一定レベルの技術力が必要だった。
トーマスの営業社員も何のフィルターもかけずに、顧客からの依頼をそのまま社内に展開するのだった。それを仕事だと勘違いしているかもしれないが、大きな視点で見るとそれはただの足の引っ張り合いだった。問題を無視しろということではなくて、トーマスおよび顧客の全体で考えた時に、顧客が即時に問題対応することが費用の面でも時間の面でも工数の面でも最適だったからだ。必要であれば、後で費用のみをトーマスに請求すればいい。ところが、そうはならない。手間暇かけて、時間をかけて、トーマスに対応をさせるのだった。

「グローバル中小企業」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「現代ドラマ」の人気作品

コメント

コメントを書く