【異能な転生者】主人公が成長していく物語

ノベルバユーザー588811

第9話 アリシアのいる村

第9話 アリシアがいる村

しばらくは、村の生きている人の人数確認やケガ人の治療をしたり、お墓を作ったり、住む人がいれば壊れた家を修繕したり、荒らされた畑を総出で耕したり、魔物対策をしたり、残りの村人全員が、いろいろと忙しかった。

うちにも家族が一人増えたけど、うちにはテーブルが置いてある部屋と寝室は2つしかないから俺とアリシアが同じ部屋になった。

両親が使っていた広めの部屋を俺たちに譲り、俺たちは広い部屋にベットを2台おくことになった。

幸いに今までアリシアが使っていたベットは、無傷で残っていたし、タンスもあったので、アリシアの洋服を入れられた。

しかし着替えは、どうしようかと言う話になって、着替える時用に、アリシアの家からベットのシーツを持ってきて、天井に吊るして、部屋の真ん中にカーテンのようにした。

だから広い部屋がカーテンで半分になってしまった。

アリシアは夜になると泣いていることもある。

俺が目を覚ますと、大抵、アリシアは泣いている。

俺が目を覚ましたらアリシアのベットに行って手を握ってあげると、アリシアも気がついて、泣くのをやめて、俺の手を握り返してくれて、アリシアが寝付くことを待つこともあった。

時にはアリシアは泣きやむことはなく、俺が眠気にウトウトしているとアリシアがベットをポンポンと叩くことがあり、アリシアと一緒に寝ることもあった。

寝るだけだよ。

アリシアと寝ると、暖かくて、アリシアを守っていかなければって言う思いになる。

それは前世の記憶でライラに少し似ているから‥‥‥

時々は、父親と母親がアリシアのうちに行き、いろいろなものを持ち出してくる。

使えるものは使わないとね。

魔物の死体は、数人で動かして退けた、そしてアリシアの両親のお墓を作って、花をあげた。

アリシアの両親が入っているお墓に向かって、手を合わせる。



両親がいなくなったアリシアを家族に迎えて、4人で生活するようになって、以前よりも、家の中の雰囲気が明るくなって温かくなったような感じがした。

魔物が襲ってきてから、しばらくたつけどアリシアは気丈に振舞っている。

両親が一度に死んだんだから、当然だと思うけど、俺の両親がいなくなって殺されたら、俺だったら、今でも落ち込んでいると思う。

でも、女の子が家にいると本当に家の中が変わったように思えてしまうから不思議だ。

しかも兄弟じゃない女の子がいるわけだし。
だぶん、兄弟だったら、こうはいかないと思う。

やっぱり同年代の女の子がいるというのはいいもんだね。

でもアリシアは、俺に優しくなくて厳しいんだよね。

朝から「もう、朝よ、クリス、起きなさい」と言って布団を剥ぐんだよ。

同じ部屋に寝ているから、アリシアはさっさとカーテンの影に隠れてパジャマを脱いで、服を着て、俺のベットの横にきて、すぐに起こされることになった。

アリシアは寂さを、忙しさで紛らしているのかな?

その結果として、朝は早くから、たたき起こされるし、以前よりも畑仕事も多くなるし、1番、変わった事は、剣の練習が増えてキツクなったことかな。


あの時、アルベルトの意識が俺に流れ込んできて、覚醒してもクリスの肉体は13歳だから、貧弱だし筋肉も鍛えないと思うけど、朝には弱い。

でも、生きていくためには、体を鍛えないといけないし、アリシアを守れない。

そして目的は冒険者になること。

冒険者になっても、今の俺だったら、ケインよりも上手な冒険者になれるだろうと思う。

ただ、俺が能力を使う練習をしている時には、人に見られないようにしている。

前世のようなことは起こしたくもないし、言われたくもない。

うちの親だって、信用しないと言うわけじゃないけど、こんな突拍子もないことは信じられないと思う。

現実味がないんだよね。

前世の記憶があるなんて言った途端に、手のひら返されたらたまらない。

もう立ち直れないよ。

一度は経験したから、余計に不安になる。

受け継ぐのは能力だけだったらよかったけど、記憶まで受け継いでいるから、つらい。

アルベルトとして、何の魔法が使えたのかということも練習する必要がある。

だから山菜を取りに行くとか、川魚を取りにいくと言う口実で練習をしている。

アリシアがついてくると稽古ができない。

アリシアと練習するには、今でも棒だから。


俺は魔法で練習すればするほど、以前の感覚を取り戻しつつある。

しかし、前世のアルベルトの時でも使えなかった魔法が、今では使えるのは、どうしてなんだろう?

もちろん今は無詠唱で魔法を行使することをしている。

詠唱なんかしていたら、相手に使う魔法を教えることになるし、詠唱する間に相手は待ってくれない。

魔法を行使するときは戦闘しているんだから、 長ったらしい詠唱をしていては、負けてしまう。

村から出てわけじゃないから、今の世界が、どうなっているのか、わからない。

前にいたケインも剣士だったから、パーティーメンバーの魔法使いのことを聞いておくんだった。

その辺が情報がないから、困ったことに程度がわからない。

俺の魔法が、どの程度のレベルなのか?


もし呪文を唱えるんだったら、覚えたほうがいいかもしれない。

前世の記憶から詠唱する魔法は、詠唱をする速さと、間違いなく唱えるだけの技量がどんな時でも必要だった。

アクセントや魔法の言葉を間違えると発動しないんだよね。

でも俺は、基本的には詠唱なしで魔法を使っている。

魔法の言葉を詠唱するよりも俺は、どんな魔法を使うかイメージで判断している。

頭の中でイメージする事は明確に思い描くことができなければできないし、その力がないと使えない。

だから魔法を使うときに頭の中で明確にイメージすれば、するほど強い魔法を使えるし魔法の威力を高めることができる。

普通一般的に魔法を使うときには、魔力をイメージして、詠唱をするんだけど、俺の場合は、魔力を常にまとわせているので、詠唱で発動させることもなく、何の魔法を使うかでイメージ力が一瞬で働くから。

これも前世の鍛錬の賜物なんだけど、俺の場合は案外すんなり、それができたんだよね。

それを説明しろって、そんな難しいことできるわけないし、以前やってみたことがあるんだけど、どんなに説明しても無理だったんだよね。

人が理解できることには限界がある、それは俺の両親で良く、知っている、俺を化け物と言った両親だけど。

あまりにすごい魔法を見ただけで、俺のことを化け物扱いしていたから。

魔法を使える人は、練習をして使えるようになる人と、何かの切っ掛けで、使えるようになる人がいる。

つまり魔法が使える人でも、気が付かないで一生を終える人も少なくない。

魔法が使える人の方が圧倒的に少ないから、自分の才能に気が付かないこともある。

口でも説明できないことを、魔法を行使して説明するのも難しいものね。

15歳になったので、今までの訓練の成果で筋肉がずいぶんついてきたし、魔法の威力の向上も使いやすさも良くなってきた。

しかし前世の俺の力と比べると、まだまだだけどね。

魔法は、むやみやたらに使うことができないし、やはり発動条件というか、何を発動するのか、何をしたいのかと考えなければ、すごい魔法使いにはなれない。

魔法を使うイメージ、発動させるイメージが大切だ。

しかし魔法を使うためには、すごい集中が必要だし、集中すればするほど研ぎ澄まされた魔法になるからだ。
しかし、ただ、集中すればいいわけじゃない。
基礎訓練が必要だ。

何よりも家族やアリシアを守るためには力が必要だしね。

それは以前、魔物が襲ってきたときに、あまりにも強く実感したんだよね。

だから以前の、前世の状態を、まず目指して魔法を高めることが第一歩だと思っていて努力しているんだよ。

目的があると言う事はいいよね。

でも、ときにはダラダラ、ごろごろしたいと思う時もあるし、怠けたいと思う時もあるけど。

魔法は、魔力というか、マソを集めたり、練り上げていくのが基本。

火魔法もあれば、水魔法、土魔法、風魔法、特殊な魔法で空間魔法、飛行魔法なども色々あるけど、俺の場合は、全属性使えて、それだけじゃなく、全てを融合させた魔法を使えるけど、前世では、ある王国で王様直属の魔法遣い組織をして弟子も1000人ぐらいいる組織に所属していたんだけど、戦争が起きた。

どんなに大魔法使いで、強い魔法を使っていたって人を殺すようなことに使うことに疑問があったし、それに巻き込まれるのも嫌だったしね。

俺は守りたい人を、守れる人になりたい!

そう思うようになったんだよね。

でも前世では戦乱の時に、敵前逃亡もできないし、魔力を使い果たして、強い人に殺されたんじゃなくて、自国の兵士に毒矢を打たれて、知り合いの人に剣で殺された。

おれは、自分が死んでいく床の冷たさを今でも覚えている。

意識が薄れていきながら、無限に広がる空間に引きずり込まれる感じが、死だ。
その怖さったらない。怖いというよりも恐ろしい。

虚無の世界

無限に広がる黒い空間
.
でも、前世の時は、アルベルトとして魔法師団のトップまで上り詰めて、お姫様と結婚が決まっていた。


俺が死ぬ間際に味わったことがある。

それは死ぬ瞬間に起きたことだ。

ライラと 一緒にいたくて、もし生まれ変わることができたら‥‥‥と思ってしまったことだけど、意識を失っていきながら、真っ暗闇に引き摺り込まれるような感覚を味わった。

その感覚に恐怖のようなイメージを持ってしまった。

意識を失いながら、虚無に引き摺り込まれる感覚‥‥‥

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