巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第三章 世界の果てと見えない未来図。

世界の夜明けと共に(10)

「ケーちゃんさっ! なんで下向いてんの。指ひらいてこめかみ
押さえるのも変でしょ。なんつった? ロザンの考えるヒトだ」

 なぜかこちらがぼうっとする姿を気にした永依がツッコんだ。

 だがしかし瞬間的に気づいたおかしさ。ロザンじゃねぇからと
ツッコミ返すかすべきでないか。永依のロザンは彫刻家で……。

 そんなはずもない。オーギュスト・ロダンが近代彫刻の父だ。

「エーちゃんさぁ。ずっと考え事していたから悪いんだけどね。
でもちげぇから。ロザンお笑い芸人じゃん。考える人はロダン」

 カウンター席で右拳を上下に振りまわす。視線が集まったよ。


「えぇー。クイズの神様うじ……そっかーロザン。吉本じゃん」

「アッハッハ」おバカに笑う永依だ。いつものことで仕方ない。

 そんなことよりなんだっけ? モニタに視線を移すと閣下だ。

 質疑応答中だけど真面目な表情だった。『いまはいえねぇよ』
ニヒルな口調だ。どこかの国が派遣した白人記者に応じている。

 ダンジョンの創造者が神かどうか現時点では考えなくていい。
進化したウサギの獣人がココ。求められる役割もいまは無視だ。

 ダンジョンの創造者が使えるのは超絶した科学かな。魔法かも
判断つかない。エレベータ瞬間創造とか脳内音声も送受信する。


 そんな圧倒的で得体のしれない存在。近づくために調査する。

 それも世界で同時だ。攻略を進めることで検証が可能になる。

 停滞した世界が変化するきっかけにも繋がったダンジョン……
明確な目的は善悪じゃないよ。新たな未来を無事に迎えること。

 それすなわち人類が変化しないこと。状況の問題なんだろう。

 これでも相乗効果だ……閣下の説明。新三国同盟だったっけ。

 過去の敗戦に繋がった三国同盟はイタリアとドイツと日本だ。
第二次世界大戦の枢軸になる原型。強大国に対する軍事同盟だ。


 ダンジョン創造者も認めた。義兄弟の契りが交わされた瞬間。

 ダンジョン外に介入したこと。人類と世界の命運を願う三人に
即応すること。正しいか否か関係ないよ。強い願いに共鳴した。

 そういえばと状況を振り返る。永依とココによる以前の闘いも
同じ意味だろう。まっすぐすぎる永依には一切悪意もなかった。

 厳密に独自のルール解釈を順守した。隙をつく形で勝利する。
きっとそうだ。願いの内容とか想いの強さがすべてなんだろう。

 ダンジョンが求めるもの。それをなんとなく理解させられた。

 あながち完全に間違っているわけでもなさそうで当面はいい。


 一人でなにもできなくても……すこし前の総理大臣の考えだ。
あまり褒められた考えじゃない。苦笑しながら静かに決意する。

 言葉の引用元は著名な戦国大名による『三子教訓状』なんだ。
兄弟や一族の内紛を退ける教えだ。下剋上その思考を阻止する。

 新三国同盟が始まる新しい世界でそれなりに闘いも変化する。
昔から地球に限られた資源。それを奪いあうだけの人類なんだ。

 そこに新しく誕生したダンジョンだ。現時点で唯一無二になる
技能を授かった。だがしかし有効に働くかの実証はこれからだ。

 ダンジョン攻略を進めることで見えるものがあり検証できる。


 しばらくは動静を見守るだけで仕方がない。自分勝手な判断は
迷惑にも繋がる。これから三本の矢でダンジョン攻略を進める。

 ゆっくり一歩ずつでも前進することで新しい世界を開拓する。

 もしかすると三人だけでなく各所に人が増える可能性もある。
もしも可能ならハーレムと呼ばれないために……男性メンバー。

 加入してもらう……想像だけで大問題。発生でひどい頭痛だ。


「ねぇねぇケーちゃんさ。爺ちゃんがオッケーしたらダンジョン
入れんの?」永依のおねだりはいつものことでココまで追随だ。

「ほんとうに許されるならダンジョンに入りたいから嬉しいな」

 確かにダンジョンが発生した揺れは1月23日の日没だった。
なにも理解せずに勢いだけで靭公園に近づき入口まで到着する。

 ココに出逢う前は永依が勝手にライバル視して羨んだはずだ。
雑魚のモンスターを出現するごとに倒しながら奥まで進んだよ。

 ドン突きの部屋に誘われた。ココが眠るだけで階層主は不在。
改めて階層主を討伐することだ。新たな階層まで進んでみよう。


 きっと始まりのダンジョンを攻略すれば新たな謎も誕生する。
その位置で見えるなにかに思考を巡らせて検証が始まるだろう。

 もちろん世界はひろい。そもそも時間は有限。危険性もある。
それでも一歩ずつ前進するしか方法はない。未来が拓かれない。

 気分だけはゴールドラッシュに挑む西部開拓時代の侵略者だ。

 ダンジョンは未知の場所。モンスターの蔓延るフロンティア。

 守るべき対象に護られて進むんだ。そんな未来も悪くないさ。

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