巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第三章 世界の果てと見えない未来図。

世界の夜明けと共に(6)

「エーの友達に相談されたから手伝った」ココの説明は一瞬だ。
 それで終わりかとこちらも躊躇う。ココに隠し事はできない。

 ココにとって人間の社会で頼れる唯一無二的な存在の永依だ。
同居でお世話になる身上でも永依は別だ。絶対領域なんだろう。

「ほんとうにゴメンナサイ。ココちゃん以外にお願いできない。
そんな状況だった。わたしが悪いです」真珠の涙をうかべる姿。

 サクラちゃんは誰から見ても絶対に成人男性は想像できない。

「謝罪はいいからさ。簡潔で分かりやすい説明だけでいいのよ」
 偽りのない本心と理解している。それでも困るカナメ先輩だ。

「はい。母が大陸奥地。少数民族の出身なんです。食うに困って
スカウトされたからスパイ活動……日本語学んですぐに送られて
父と出会ったんだ。結婚から放置されていた。それが突然……」

 あぁなるほどなと腑に落ちた。送りこんだ大陸の考えとしても
『いつかなにかの』役に立つ可能性もある。そんなスパイ活動。

 その子供がダンジョンの中心になる人物の知己に……なった。


「なるほど母を助けたい一心よね。ココが了解して捕らえられた
振りだったのね。あぁピアスの一件まで軽く理解していたから」

 右の人差し指で口端に触れながらカナメ先輩が相好を崩した。

 つまり……救援ありき。その前提で誘拐されたお芝居だろう。
想定外は増援だ。極寒期にホバークラフト船で海軍歩兵が合流。

 翌日大陸から派遣された部隊は……精鋭じゃなくて助かった。

 ホバークラフトで外海まで逃走。本艦と合流して東シナ海……
海自や保安庁に露見しない理由は……もしかしたら原潜投入か?

 だがしかし大陸の潜水艦は騒音で発見されやすく性能も悪い。
そもそも侵入したホバークラフトも旧式でこちらが驚いたから。


「つまり国家が全面的に関与していない。外交ルートを確認だ」
 閃くつぶやきだ。カナメ先輩もスマホを手に即座に応対する。

「ケージが推察した状況かもね。これから閣下にも相談するわ。
結論まで適当にしてね」いい捨てるとカナメ先輩が走り去った。

「それでサクラちゃんはこれからどうする。これまでどおり?」
 なんとなく気になっただけでかなり真面目な問いになったよ。

「そうですね。これからは母も一人にできません。お店の近くに
お部屋探します」サクラちゃんらしい。生真面目な即答だった。

「そだね。美里さんとか鈴音さんなら一緒に考えてくれるよね」
 こちらに頭を下げて微笑むのがサクラちゃん。真面目だよね。


 その瞬間なんだ。それまでは真っ暗だったはるか先の水平線。

 一本の白線が走ると同時だ。海と空の狭間からゆっくりとした
スピードなんだ。光源が顔を見せてちょっとずつ目立ち始める。

 厳かな夜明けだった。美しさに感動しながら見つめる女性陣。
隣でバイストン・ウェルに召喚されないかと本気で考えるんだ。

 有名アニメ監督が創作した『海と陸の狭間にあり輪廻する魂の
休息と修練の地』生体エネルギー。それが原動力とされる場所。

 ジョーカーにも満足できずオーラマシンに乗りたい気分だよ。
真実は……フェラリオの一族に会いたいだけかもしれないけど。

 誰も言葉を発することのない沈黙。ただ時間だけが経過する。


 しばらくしてからカナメ先輩が走りよると同時に語り始めた。

「困った事態になりそうね。怒り心頭の閣下が直談判するって。
主席を相手しながらステゴロだとかバカみたいだけど本気なの」

 その場の全員なぜか戦慄した。美しい日の出を眺める感動から
大国間の戦争まで起こりかねない。そんな状況に変化したんだ。

「閣下って直情タイプなんだけど本音は絶対に見せないからさ」
 事実を語りながら内心でイメージする。平和を愛する閣下だ。

 ルール無用で戦争を望むはずもない。きっと目的は別にある。


「今回は相手の落ち度。明確な証拠もあるから言い訳も無用よ。
今後のダンジョン探索も優位になる。勝算あるからブラッフ?」

 国家を担う公安調査官である。カナメ先輩なりの見解だった。

 閣下にしても国際情勢で優位に立つなら多少の無茶はやるね。
それが駆け引き。手段の一つとして外交面でかなり有利になる。

 勝負を始める前に勝つ。それが理想だと教えてくれた閣下だ。
その教訓を糧にした永依がココを騙した。それが始まりだった。

 なにが起こるか未来は誰も分からない。ただ流されるだけだ。

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