巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第三章 世界の果てと見えない未来図。

世界の夜明けと共に(5)

「ケーちゃんっ! いっぱいもらっちまったよー。アッハッハ」

 かなり重く見える青のプラスティックコンテナ。細腕に抱える
永依が満面の笑みで宣言。その瞬間かごで謎の物体Xが蠢いた。

 うねうね突起のついた細い触手をよじらせる焦げ茶の体色だ。
掌に収まらない丸い頭部。胴体の下まで長い脚が八本も伸びる。

 そう日本人が大好きな無脊椎動物である。正式名はマダコだ。

 背後のココは無言で嫌そうな顔。腕に二匹の魚をぶら下げる。
詳しくない人間も理解できる魚種。左が1mを超える太刀魚だ。

 右は70cmぐらいあるのかな? このサイズはメジロだね。


 ブリは出世魚としても有名だ。だがしかしなんでこうなった?

 また話はすこし遡り……敵は拘束済みの状況で一段落したよ。
現在はカナメ先輩と鈴音さんから各所に状況報告の最中なんだ。

 離れた位置に座るサクラちゃん。意識が戻らない母の対応だ。
厚手のシートに寝かせて傍らで心配する表情。静かな見守りだ。

 朝日が昇るまでの時間に余裕もある。公共交通機関も不通だ。

 だがしかし中央市場もますます清栄……ここは本場と呼ばれて
水産物と青果が扱われている。堤防には関係者だけがたたずむ。

 自動小銃の弾が飛び交う事態から収束までほんの一瞬だった。
幸いなことにケガ人はいない。警察手帳の提示で騒ぎも収束だ。


 そこから先がおかしい。髪を下したココと永依の姿だ。市場の
関係者と漁師を生業にするオッサンたちが驚きながら絶賛した。

 二人の外見は他と比べようもない美少女だ。しかも強かった。

 いきなり魚臭い市場に出現した美少女だ。アイドル扱いされて
卸の競りと仲卸から青果売り場。かなり連れまわされたらしい。

 しかも高値で売れない『規格外品』半端ものだ。直に渡されて
「持ってけドロボー!」叫びながら箱ごとくれたと永依も笑う。

 ルアー釣りが趣味のカナメ先輩から教えられていても驚いた。

 メーターを超える太刀魚は『ドラゴン』。釣り師の憧れだよ。
だがしかしタコはちいさくても高くないか? ……抜群に旨い。


 高級なイタ飯や日本料理店の食材は難しいけど定番粉もの……
大阪たこ焼き。冷凍じゃない国産ものはあり得ない高級品だよ。

 ココの手に余るメジロも寒ブリとは呼べないサイズだけどさ。
明石海峡のジギング船釣り。釣り師が喜ぶのはメジロと太刀魚。

 高級品で……しかも旬が真冬じゃん。頭を抱えるだけなんだ。

「ココ。前に喜んで食べたじゃん? タコ焼きの具がそれだよ」
 苦笑しながら人差し指で青いカゴを示すとココもビックリだ。

「えぇっ? こんなのふぁふぁトロトロ。タコ焼きじゃないよ」
 うねうねとした触手が気色悪いのだろう。ココは顔を背ける。


「んっと。そのタコをゆでると真っ赤になる。吸盤のついた足と
胴体も細切れにしてからメリケン粉とさ……帰って作ろうか?」

 あきれながらも笑って伝える。ウサ耳少女の双眸が輝いたよ。

「うぉっ? ケーちゃんの手作りタコ焼きなんてすげぇじゃん。
ぜってぇ旨いんだ。間違いなしだよココちゃん。楽しみだよね」

「おぉ。あれ確かにモンスター。心臓よりかなり美味しいんだ」

 なぜか目の前で美少女たちがタコ焼きパーティー? おかしな
話題に盛り上がる姿だ。妙にハブられる形になるのも謎だけど。

 確かに中高生の女子なんてもの。若い男に未知の領域である。


「ケージくん。とりあえず船舶は湾内の移動を制限。待機命令で
母船を発見できたら夜明け頃かな。自衛隊の増援もあるからね」

 スマホを収めながらこちらに走る鈴音さんが笑顔で報告する。
「こっちもほとんど片づいたわよ。あとサクラとココちゃんね」

 遅れて政府高官をふくめた関係者の一同。状況説明まで終えた
カナメ先輩である。良し悪しは別にして事情聴取も必須だろう。

「ココちゃん。サクラもこっちにおいで」冷徹なカナメ先輩だ。
その姿も珍しい。だがしかしこの状況を招いたから仕方ないね。


「説明はかんたんでいい。手短に理解しやすく順番にお願いよ」
 そこから長い説明になる。ココがその姿を消した理由から……

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