巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第二章 社会と現実はさほど甘くない。

バニーちゃんと一緒(!4)

「ほんとケージ君ってさ。昔っからまったく変わらないよねぇ。
運が悪くても強烈に引きは強い……これが主人公属性なんだよ」

 いかにも納得できないと嘆いて自称魔法使いさんがつぶやく。

「ぶっつけ本番で実践が素晴らしいよ。同じ状況の初代宇宙世紀
主人公も退避の学生だ。輸送中の白いモビルスーツに遭遇した。
マニュアルだけでも敵を倒すんだよ。なし崩しのメイン操縦者」

 かなりメジャーなアニメと強引にこじつける英雄さんだった。

「それはアニメで全部噓っぱちだ。それより二人が心配で……」
 つぶやくと左右に稼働しているLEDが機械の男声で応じる。


『ご安心くださいケージさま。現時点で英田永依さんのスマホと
同期終了です……なおGPS連動中。拉致情報と照らしあわせて
目標体の行動を想定中……予測最優力の逃走ルート。西側海上』

 自称魔法使いは人工知能にハッキング能力を付与したらしい。
そんなこと可能かとツッコミどころだらけでも詳しくしらない。

「つまり?」英雄さんが双眸を爛々と輝かせて車両を見つめる。

『現在中央大通りを西方向進行中……まもなく九条駅通過予定』

「おぉっさすがケージ。主人公属性は無敵だ。ご都合主義全開」
 maleの説明。英雄さんまで高笑いしてこちらをからかう。


「なんで全員危機感ないのかな。そんな落ちつける状況です?」
 こちらはいつも通りだよ……お父さんは心配性の気分だった。

「いやいやいや。状況がシミュレーションじゃなくて即実践だ。
主人公のケージが行動を始めるとなんとか収束するのもお約束。
さぁいよいよケージの出番だ……あとは合言葉を叫ぶだけさ!」

「なんて強引な展開だよ……昔から英雄さんの屁理屈。合言葉?
もしかしたら最強ロボ。三位一体のあれですかねクロース……」

「ちょっと待てケージ。そっちじゃねぇ。クロスしてねぇだろ。
当時は関西地区だけ裏番組。マイナーだが宇宙一の戦国将軍!」

 英雄さんが伝えるヒント。いろいろ考えてようやく理解する。


「あぁっ。ネーちゃんに布教された時の異邦人……あれの本編は
未視聴ですよ。えぇっ! まさか伝説のオープニングテーマ?」

『正解ですケージさま。おおきく絶叫して最後に僕の名前……』
 なぜか人工知能から申し訳なさそうに同情されるのも哀しい。

 あわてながらも車いすを引きよせる。本体のスマホはスーツの
上衣ポケットに放りこんだ。諦めて大声で叫ぶと同時の着席だ。

「あぁチクショーめっ! もうどーなってもいいや。合身GO!
ジョーカー2000緊急発進せよっ!」きっと顔色も真っ赤だ。

『了解!』男女の機械音声が響くと同時、新たな衝撃をうける。


 CIVICの右前扉が150度に開け放たれる。同時にシート
下から台座用レールが延伸する。同時に座る車いすが半回転して
バックしながらレールに導かれた。気づけば運転席に早変わり。

 また逆回転で前方に戻される。同時にシートの上から下向けに
ベルト二本で自動固定された。なぜか驚愕しているだけなんだ。

 その瞬間に周囲から異口同音の歓声が轟いた。びっくりだよ。
『ターボ&スーパーチャージャーON。ロケットスタートGO』

 ほぼ強制的に乗車させられた漆黒のCIVIC……ジョーカー
2000。四輪がキュルキュルと異音を奏でながら急加速する。


 CIVICが発進してからホンダカーズ。全員による喝采だ。

「自称魔法使いさん……ご協力本当にありがとうございました。
あなたがAIを強制的に仮想空間ネット世界で進化させたので」

 先刻の対応とは打って変わり真面目な表情の英田英雄だった。
傍らの白衣女性にも感謝を述べているプログラム開発責任者だ。

「いえいえ。ケージ君の本体は昔から興味の対象でした。今回も
強引に割りこむ形でしたがであえたことで興味もわきましたよ」

 こちらも先刻の対応とはまったくちがい至極真面目な表情だ。


「あなたが実は世界でも著名な……それもケージの悪運と引き。
この変化で訪れる新世界。相乗効果で発展すればそれも良しか」

「そうですね。どちらにせよケージ君が台風の目で間違いない」

 ジョーカー2000が消えた方角を見つめる二人。その発言に
真意は伺えない。だがしかし微塵も心配していないのは確実だ。

 唐突に巻きこまれた主人公。果たして二人の美少女を救えるか
判断できる人間はいない。ただ神の采配だけが状況を支配する。

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