巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第二章 社会と現実はさほど甘くない。

バニーちゃんと一緒(8)

 事態の急転する夕暮れ時。隊本部まで出向いたコーキさん。

 担当部署にお願いしたらしい。自衛官が見るだけで重そうな
段ボールを無言で店に運びこんだ。それをただ見守るだけだ。

「質問いいですかコーキさん? わけわかんないんですけど。
ファッションショーってなにします」悩みながら問いかけた。

 あれやこれやと指図しているコーキさん相手に先陣だった。

「あらケージくん。ちゃんと準備してから説明する予定なのに
仕方ないか。もちろんそれぞれに似あうお洋服を選ぶだけよ」


「それぞれですか? ココと永依。オレにフィッシュ三人?」
 なんとなく不穏な空気だ。否応なしに巻きこまれるのかな。

 永依はお嬢さま育ちの中学生。ウサ耳少女ココにも喜ばしい
提案かもしれない。近所と仕事で服装にこだわりがない自分。

 量販店の激安品を破れる寸前まで着古して捨てるぐらいだ。

 フィッシュオンのサクラちゃんや亮くんには嬉しいのかな。
制約や強いこだわりのあるカナメ先輩は嫌がるかもしれない。

 おかしくなければいいからさと喜びそうだけど分からない。


「まず永依ちゃんとココちゃんよね。控室でコーディネータと
メイクの専門家が待機してるわ。すべてお任せでもオッケー」

 コーキさんが再び現れると二人の腕をつかんだまま消えた。

 残りの全員ただ待機を余儀なくされた。無言でカウンターに
座ると誰も話すこともなく待つだけだ。再出現と同時に絶叫。

「永依ちゃん可愛い!」立ちあがると同時のサクラちゃんだ。

 ギャルメイクが想像できない。清楚な純白ドレスに包まれて
ウイッグを被るお嬢さま。あまりのちがいに見とれたぐらい。

 実際そうなんだけど誰が見ても深窓の令嬢にしか見えない。
隣のココは真逆。アクティブなGジャンにローライズデニム。


「おぉ。ココすっげぇ」普段と真逆の印象。格好良さが際立ち
エロさもない勇ましさと無邪気さだ。無意識に立ちあがった。

「ヴァージョンや色違い。複数用意したからしばらく平気ね」

 勝ち誇るようなコーキさん。お礼したいぐらいに感謝するが
両腕をつかまれた。及び腰のままで控室まで連れていかれる。

 突如放りこまれた控室は年齢や性別が不詳な三人組がいた。
無理やり着衣をはぎ取られると着せ替えられて化粧もされる。

 一言もだせずに成り行き任せだ。気づけば解放されていた。
「へぇ。ケージでも着飾って髪型なんか整えるとそれなりだ」


 なぜだろう英雄さんに値踏みされたよ。散々な物言いだね。
喜んでいいのかな女性陣がはやし立てる。それなりの評価だ。

 ほとんど他者評価など気にしたこともないが素直に嬉しい。
サクラちゃんも普段とちがう甘ロリ服だ。着替えを繰り返す。

 カナメ先輩は長い金髪ウイッグにマーメイドドレスが華麗。
双眸を爛々と輝かせるコーキさん。抱きつかれ苦笑してるよ。

 最後着替えさせられた男装美女の亮くん……再びの驚愕だ。


「当家の執事たるもの。このくらいできなくてどうします?」
コスプレ姿も見事だ。セバスチャン・ミカエリスが出現した。

「御意ご人様」執事服と黒ネクタイも本物にしか見えない。
水嶋ヒロが主演の映画ヴァージョンじゃないアニメ版に近い。

 見事な立ち姿に永依やココも驚愕の表情だよ。硬直してる。

「ケーちゃんすげぇ! マジもんだ。リアルの黒執事じゃん」
 ほんとうに永依は素直だ。微笑みながら本心赴くまま叫ぶ。

「うん。亮さんって体幹まで整う瘦身。高い身長にスーツ姿も
映えるんだよね。原作漫画の黒執事そのものにしか見えない」


 正面から見つめていると悪魔じゃないのかよと疑うぐらい。
「ありがとうございます」黒執事が綺麗に腰ごと頭を下げた。

「つい勢いで調子に乗っちゃったわ。だけど良いものばっかり
見られたわ。十分満喫できた。みんなで良かったありがとう」

 コーキさんもかなりの無謀だと理解しながら笑ってるよね。

 おそらくは八桁以上の金銭が発生したファッションショー。
それでも遊びの延長にすぎない。心から満足した笑顔だった。


 ほぼ無理やり巻きこまれた。苦笑しながらも納得できたのは
雰囲気じゃない。みんな笑顔でいるから素晴らしいし嬉しい。

 平凡か別にして良い意味で日常を満喫できる一日だったよ。

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