巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第二章 社会と現実はさほど甘くない。

バニーちゃんと一緒(7)

 カウンターに並べられた料理の数々が熱々で美味しそうだね。
バイキング形式に選べるらしいからお箸と皿を手にして悩んだ。

「閣下から指示だよ。しばらくはダンジョンもお預けだってさ」
 攻略に燃える二人に伝えてもどこかきょとんとした顔なんだ。

「理由あるなら仕方ないさ。ダンジョン攻略はいつかの目標だ。
ウサギから人間みたいに進化した。ほんとうの理由がしりたい」


「ケーちゃんさ。いまのココちゃんは覚えることばっかじゃん。
ダンジョン攻略は後回しなんだよね。ぜんぜん問題ないっしょ」

 ココとの同居を始めてから永依の意識まで感化されたらしい。
距離も近い二人だ。疑似姉妹感覚で家族に見えないこともない。

 危険性を考慮すればダンジョンの攻略を急ぐ理由もないんだ。

 世界的な規模で意思統一が必要だろう。自衛隊なら精鋭部隊に
任せるのが正しい。ただの民間人が深入りすべき問題じゃない。

 迷宮生まれのココだ。その近くで暮らす限りは否応なく事件に
巻きこまれる。それも間違いなく現実に発生する未来の予測だ。


 この大騒動の中心は『始まりの迷宮』だろう。これだけ近くに
誕生した。政治と軍事の最前線も同意義に扱われる場所なんだ。

 行動制限されても守られる現実的なメリットが測りしれない。

 この靭公園を内包する大阪市西区は戒厳令下の第一迷宮都市。
地方都市大阪に存在していながら『世界の中心』変じた空間だ。

 現実として映画タイトルじみた愛を叫ぶのには相応しくない。
遥かな後世まで歴史の中心として語られる地域になるだけの話。

「みんなも朝早いねぇ。わたしなんかテレビのお仕事以外じゃぁ
ずっと寝てるよ。美貌の維持には長時間の睡眠がいるんだよね」


 朝からテンション高いコーキさんの身づくろいは揺るがない。
背後はあくび姿の英雄さん。目線は虚ろで動作まで緩慢だった。

「ネーちゃんたち本業の実務かな? 5階の事務所は夜遅くまで
バタバタしてたよね」呆れ交じりになるが心配する意味もある。


「取り急ぎココも永依と同じ学園。編入させるための手続き中」
 テーブル席に座る英雄さんがこちらを見つめて手短に伝えた。

「書類だけどうにか誤魔化せても学力と見た目。問題ですよね」
 二人の意思を優先させたい。だがしかし人と異なる姿のココ。

 屹立する右耳は白い。垂れた左の黒耳と異色のオッドアイだ。
美少女すぎる外見は目立つ依然。問題が隠しようもない美貌だ。

 双眸はサングラスで誤魔化せるとしても屹立する白い右耳だ。
帽子も無理だろう。素肌の透明感も日本人では通用しないよね。


「ケージくん。想像豊かにすればいい」なぜか英雄さんが語る。

「人間は理知的な生き物。たとえば見た目が人間じゃなくてもね
親しくなければすれ違うぐらいの相手に無頓着なものだからさ」

 立ち上がるのと同時。舞台俳優みたいな挙動と語り口調だね。

「驚きはしても声をかけることも稀だろうね。コスプレイヤーに
扱われるんだ。信じたくないあり得ないことなどは存在しない。
それが現実社会で埋没するための必須行動らしい。理念になる」

 ほんと小劇団の舞台俳優じゃないかと想像させる動作だった。
おかしな台詞には言葉もでない。だがしかし女王様は鋭いのだ。

「あんたは賢いけどバカよ。ホラ吹きも大概にしておきなさい」


「なんとなくのニュアンスで伝わるけれど根本的に認識違いよ。
自分に無益なものは面倒くさいから干渉しないのが人間なんだ。
大阪は特殊で魔境なんだろうが東京も人間の距離は遠いからさ」

 コーキさんの語り口調にその場の全員圧倒されて息をのんだ。
高校時代に右脚を切断した経験則から秘めた意味を理解できた。

「人間は当事者意識がない限り見えないものにはフタを……ああ
見えていてもしらない。ないものとして扱い関わらないからね」

 コーキさんも同感したらしく足りない言葉を補足してくれる。

「そう。それが意識としても人間の本質を正しく捉える言葉ね。
良し悪しとか無頓着じゃない。根本の問題は面倒くさいだけよ」


 おかしな方向に展開する話題だ。内容の理解ができないためか
無言で永依と目線だけあわせるココがなにかを伝えようとした。

「自分は生まれたばかりでなんもしらない。わからないからさ」

「すこしでも自分にできることを増やすために勉強したいんだ」
 ココが一瞬言葉を区切ってから本心のまま言葉を紡ぎだした。

「学ぶことに積極的なココだ。傍にいることでおバカな永依まで
熱中できる新しいなにかの対象を見つけられるかもしれないね」

 永依を引きあいにしながらも笑える方向に話題転換を試みる。


「ホントに良い子たちねぇ。他者をおもいやる謙虚さなんか……
そうプレゼントだわ。ファッションショー開催しましょうよ!」

 突如としてコーキさんが叫んだ言葉を誰も理解できなかった。
フィッシュオンで迎える未来図は非現実であり不条理すぎる……

コメント

コメントを書く

「現代ドラマ」の人気作品

書籍化作品