巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第二章 社会と現実はさほど甘くない。

バニーちゃんと一緒(2)

「分かりやすい説明ならフィッシュのみんなは男女が逆なんだ」

「お腕みたいに綺麗なお胸……だけど。つくりものってこと?」
 永依の視線はカナメ先輩だ。スレンダーな体にくぎ付け状態。

「エーちゃんさぁ確かにそうなんだけど。論点がそこじゃねぇ」
 おバカさにあきれた。左掌で顔を押えながら華麗なツッコミ。


 カナメ先輩からトランスジェンダーの問題をしばし黙考する。
正式には性転換症で日本語の訳ならトランスセクシュアリズム。

 身体と精神の性別が異なる人でその総称だ。状況から少数派に
扱われる。同一性障がいと呼ばれて適合手術を要する人の定義。

 あくまでも持論になるけれど人間が複数に別れて争う社会だ。
一夫一妻制を確立するために仕方ないが病気や障がいじゃない。

 趣味や性癖でもない多数派に属さないだけでは定義も難しい。


「本物に見えるかな? 女は秘密がつきものだから……すべて。
ケージと見せあった仲だけどね。最近とんと無沙汰してるから」

「えぇっ!?」からかい気分のカナメ先輩に永依はマジ反応だ。

「カナメ先輩も冗談はその辺で永依おバカだから本気にするよ」

「あらケージそれ大間違い。永依ちゃんも立派にオンナだから」

「カナメ先輩からかうばっかだからさ永依もホンキにすんなよ」

「でもケーちゃん仲良すぎるっしょ」永依が顔を歪めて嘆いた。

「んーと汗まみれの部活後お互い裸になって」伝えた瞬間だ……


 妙な空気を一蹴するようにボカロ音声が轟く。もちろん着信は
交換したばかり。警察庁のキャリア官僚である美里さんだった。

「こんにちは佳二です。なにか伝え忘れたことがありました?」

「いえ別件です。このあと時間ありません?」真面目な声色だ。


「構いませんよ。うちのビルにあるカフェでモーニング中です」

「了解です。これから向かいますのでゆっくりお待ちください」
 お願い口調には疑問を抱くが問題ないだろう。軽く了承した。

「んっ。カナメさんちょい待ち」なぜか顔色が赤い永依だった。

「どしたの?」真面目な表情をカウンターから覗かせる要さん。

「それおかしくね? ゴスロリ服のサーちゃんは女の子じゃん」

「ん。あぁ見えてサクラちゃん成人男性よ。オトコの娘だから」

「なんで! どこどう見てもあーしよりは年下じゃないかっ?」

「えへっ」両掌で頬を抑えて微笑む姿は中学生の女の子だった。
確かに遺伝子の謎は深い。奥深さに思春期で悩んだこともある。


 おかしな方にこだわる永依だ。性別じゃなく年齢に驚愕した。
出逢った当初から距離が近いサクラとは軽いハグも頻繁なんだ。

 性別を軽く凌駕した友情かコミュニケーション能力の現れだ。
「異和感もない程に百合めいた」間柄に感じられるから不思議。

 正反対だけど先輩は肉体が同性でも外見上は異なる関係だね。

 世間とか常識とか正解とか? 特に意識しなければ問題ない。

 納得できないから当初は怒り口調だった永依もサクラを相手に
おバカな話で盛りあがる。どうでもよくなり気がつけば大爆笑。


 先輩と顔を見あわせてからどこかため息交じりにつぶやいた。
「このビル立ち退かないで済みそうです。お店どうなります?」

「ほんとはナイショだけど……あんたも今後は政府の関係者扱い
されるわね。うちの店も見張り役って扱い。実質的な楯かしら」

 カナメ先輩の表情からは本質的な裏面が垣間見えた気もする。

「迷惑かけるみたいでスミマセン。ココが爆弾で永依も地雷だ。
あの音声は世界中の人間に届けられた。欲しがる権力者が……」

「靭公園は政府直轄よ。かなりの範囲を治外法権で固められる」


 カランとベル音が鳴る。同時に顔を覗かせた女性は美里さん。

「お待たせしました佳二さん。ところでここってカフェバー……
えっ! なんでさっ? どこかに潜入捜査の大喜多先輩がっ?」

 開口一番おろか入店の前から喧しい絶叫に全員が驚きだった。

「あらあらあら。どこかで見たじゃない後輩ちゃん。頭でっかち
娘ちゃんもケージとしりあいなのね。楽しくて愉快な状況だわ」


「本日正午。内閣総理大臣による緊急事態宣言が発令されます」
 美里の強い言葉でカフェにいた全員が瞬時に硬直させられる。

 法務資格はいくつか所持する。メインの業務が不動産登記だ。
法律事務所とも若干連携する。関係ないよと逃げられないよね。


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