巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第一章 始まりが雨でなく運命?

始まりの迷宮で邂逅(15)

「アッハッハ。なんて喜ばしい提案っしょー。ココちゃんっ!」
 大声で笑う永依がおかしいよ。珍しく満面の笑顔なんだよね。

「一緒に選ぼうよー。いまから兵隊さんたちミリメシってやつ?
うんまいパック飯いっぱいあっから食べさせてくれるってさ!」

 聴こえたココも即行だ。無表情のままテーブル席に近よった。

 入口から離れたテーブル席だ。なぜかミリメシが並んでいる。
陸上自衛隊の採用から改良された戦闘糧食だ。それのⅡ型だよ。


「ココちゃんお肉好きだったよね。焼き鳥かな。かも肉じゃが?
ポークソーセージに生姜焼きだ。角煮もあるよーあとカレー?」

「つまり鶏か豚だよな。ボリューミーな牛なら理想的だけどさ」
 決めかねて悩むココだった。見かねた自衛官が傍で助言する。

「自分食べやすさ優先です。ボリューミーでカレー好きですよ」
 男が抱えるパッケージ。迷わずに両掌でうけとるココだった。

「おかずは炭焼きチキン。ウインナーカレーだね。ご飯が二つ」
 背中から抱きついた永依。耳元に顔を寄せて中身を説明する。

「二人分なら丁度いいよな」伝えられたココも納得した表情だ。


「なんでこうなる」現実は哀しい。離れた位置から頭を抱えた。

 なぜか目前に初老の男性。幹部自衛官と若い女性警察官僚だ。
正面に座る相手と『名刺』交換する最中。状況おかしくないか?

……どうしてこうなる? このあと面談や企業説明会じゃない。
ダンジョンの入口に繋がる階段室の手前。間違いなしの現実だ。


 すこし話は遡る……ふてくされるココ放置で永依が即応した。
意識を失くしてから倒れたままの自衛官とスーツ姿の警察官だ。

 細い腕で永依が抱え起こすと額や首筋にそのまま活をいれる。

 意識が戻るとギャルの腕に挟まる状態だ。目前にいた美少女に
打ちのめされる。感情も赴くままでおバカ娘のファンになった。

 永依に崇拝の視線だ。見つめながら身体を確認しているのだ。
おかしくない。ラブ抜きで性質の悪いコメディにしか見えない。


 こちらの三人は建屋の出入口と階段扉から最も離れた中央だ。
黒スーツの女性がパイプ椅子と折り畳みテーブルまで設置した。

 初老男性の対面席に着座する。ほんのすこしだけど緊張した。

「それで……なんだったか。最近すこしだけ物忘れで……我々も
君たちと敵対とか事を構えたい訳じゃない。まずは自己紹介だ」

 まぁそれもそうかな。一般的な社会人として常識なんだろう。

「陸上自衛隊では二等陸佐だ。信太山駐屯地の司令補佐。兼務で
大阪地方協力本部次長になる役職」きちんと制帽に正装だった。


 合同庁舎の訪問時に見かける幹部職員。意識して正解だった。

「城……佳二くんだったかな? すこし調査させてもらったよ。
悪い意味じゃなく義足が目立つから有名だった。問題のない人物
評価だ。わたしは葛城蓮司」聴いた内容に驚かされて即応する。

「恥すかしい事実もないし構いません。陸自の葛城二佐ですか」

「次が私ですね。内閣府の国家公安警察官。正式に所属している
調査機関ですが階級は警視になりますね。名前が……姫宮美里」


 うつむいて頬を染める姿。疑問を抱くとオタク属性の閃きだ。
「ミサトさんと葛城二佐って……まさか別姓の親子だったり?」

「同時に名乗ると……気がつかれるとおもいました。残念ですが
関係ありません。それにアニメと現実を同一次元で語られますと
なんですかね。社会人としてどうかとは伝えさせてもらいます」

「おぉっ名前がミサトさん。それもクール属性でツンデレだよ」
 早くもオタ度は全開。引き気味の美里とガン無視する葛城だ。


「くだらない話はさておきますが。あなたたちってダンジョンで
なにやりました? すこし前からですが脳内で理解不能な音声が
聴こえています。この場所も始まりの迷宮と確認されましたよ」

 興奮状態だ。こちらに左差し指を突きつける美里さんだった。

「えっとですねぇ。最初からすべて説明すればいいんですかね。
理解できるかな。自分たちは隠すところなんてなんにもないし」

 伝えた言葉が不可解で美里も判断できない。葛城に丸投げだ。
「私だけでなく葛城二佐も同時に拝聴します。端的な事実だけ」


 瞬時に脳内で思考をめぐらせる。これもプレゼンテーションを
意識するだけだ。伝える順序に問題ない。実際確認済みで混乱は
回避できる。『事実だけ端的に』それが基本だから間違いない。

「そうですね。まずダンジョンって一体なんだとおもいます?」
 だがしかし最初に意識する。これが究極にして至高の問題だ。

 その初手だった。完全に悪手だろうと嘆くことになる言葉だ。

 伝え方と聴く側。想像と認識がちがいすぎると判断できない。

――「人生諦めが肝心」そんな言葉もある。とらえ方だろうか。
前に進むだけだ。いつかは未来も変えられる。信じるだけだ――

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