狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
それぞれの覚悟④
そればかりか、その後撮影された超音波画像により、妊娠周期が七週と判明し、妊娠したことを美桜がじっくり実感する間もなく、医師から衝撃的な事実を告げられてしまう羽目になる。
「ここに腫瘍のような黒い影があるのが気になりますね。おそらく良性の卵巣腫瘍だと思われるのですが。不明瞭なため、一度、骨盤腔MRI検査を実施してみましょうか」
「え? そんな検査しても大丈夫なんですか?」
「ええ、心配ないですよ。妊娠初期の三ヶ月までの胎児は、様々な刺激に対して感受性が高いんです。ですから、この時期の胎児には危険性はありません。医学的にも検証されていますのでご安心ください」
「……そ、そうですか」
「ええ。それに仮に卵巣腫瘍でも、良性なら、妊娠四ヶ月頃になれば腹腔鏡手術が可能ですしーー」
思いがけないことが発覚し、樹里のことを思い悩んでいるような心境ではなくなってしまう。
その後も医師の説明は続いたが、ショックの余り、耳に入っても右から左に素通りしていくだけだ。
傍に控えて一緒に医師の説明に耳を傾けていた樹里のお陰で、入院の手続きも、これからの検査の日程の調整も終えることができた。
それから樹里には、尊には妊娠のことも検査のことも『折を見て自分で話したいので、黙っておいてください』そう言ってお願いしてある。
もしも検査の結果、悪性の腫瘍だと判明したら、開腹手術が必要になる。
その場合リスクを伴うらしい。
そうなったら、最悪、赤ちゃんは諦めないといけない場合もあるのだという。
もし仮に、子宮を全摘することになってしまったら、もう二度と赤ちゃんなんて産めなくなってしまう。
妊娠したことで、いずれ美桜の元から離れようとする尊のことを繋ぎとめることができると思っていたのに。まさかこんなことになるなんてーー。
妊娠発覚からの腫瘍の発覚により、一時は頭が真っ白になった美桜だったが。
ーーメソメソしてたら幸せが逃げていくだけだ。こういうときこそしっかりしなきゃ。
沈みそうになる気持ちをなんとか奮い立たせて、検査結果がいいものであるよう祈るしかなかった。
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