青も虹も黒
練習 (5/73)
 「69、70、71、72、72秒3!」
マネージャーがタイムを読み上げる。今は1000m×5本の4本目の600m過ぎたところだ。
先頭をトシが引っ張り、自分がトシの後ろつき、自分の後ろにタイガがついている。ここまでは予定通り走る事ができているが肺も足もかなりキツくなんとかついている状況だ。
「ファイトー。」
「ガンバー。」
短距離ブロックの声が聞こえる。声があるのとないのではきつい時の粘りが違う。声がある方が頑張れる。きついがなんとか粘る。トシと自分とタイガの3人の息遣いと足音が聞こえる。
「2分57、58、59、3分、3分1、3分1秒5!」
4本目を終え、レーンの内側に入ってペースを落とす。
「ごめん、抜けるね。」
前をジョグしているトシとタイガに声をかける。肺も足もいっぱいいっぱいだった。
4本目が始まる前の段階でかなり限界だった。
ゆっくり歩く。トシとタイガはジョグをしており、予定通りもう1本行くようだ。自分はバックストレートで100mの流しを入れることにし、300mのスタート地点の1レーンの内側に着いたところでもう少し息を整えることにした。
怪我をしていた分、体の疲労はなくて体は動いた。しかし、それでも少し体力の低下を感じた。だが、体力が戻れば今日のメニューなら5本いけるという手応えは掴んだ。
1レーンではタイガとトシが最後の5本目の1000mを走っている。
「ファイトー。」
2人ともキツい表情をしている。2人が400mを過ぎたところでトシが少しずつ遅れ始めた。やはりきついか。
それを見たあと、後ろから人が来ないことを確認し2レーンに入りそのまま100mの流しを入れる。スキップからの流れで走りに切り替え加速していく。疲労を感じるが、体の動きはいい。200mのスタート地点を過ぎたところでスピードを緩める。後ろから人が来ないことを確認しトラックの内側に入る。そして再び300mの地点に歩いて戻る。もう2本走ることにした。
戻る途中で5本目のラスト250mのタイガとすれ違う。
「ファイトー。」
表情はキツそうだが、いい動きだ。
少し遅れてトシが来る。
「ファイトー。」
トシもキツそうだ。
300mのスタート地点に着いたところで2人を見るとラスト50mほどにいる。走りを最後まで見届ける。
タイガが先にゴールをする。タイムが気になったが聞こえない。ゴール後も険しい表情で両膝に手をついて呼吸している。
トシがゴールする。トシも険しい表情で歩いている。2人を見届けた後、1本目と同じように流しを入れ300m地点に歩いて戻る。
「ファイトー。」
「ファイトー。」
トラックではまだ他のグループが走っている。
300m地点に近づくとタイガもやってきた。
「お疲れ。」
「お疲れ様です。」
「ラストどれくらいだった?」
高圧的にならないように、偉そうにならないように尋ねる。
「2分59です。ちょっと落ちたんですけど、ラストスパートで稼ぎました。」
「おー。」
しっかり3分ペースで5本まとめたのはさすがだと思った。
「冬余裕で14分台出るね。」
「14分台はいけると思います。」
タイガは青春スポーツアニメの主人公のような男だ。性格、話し方や話す言葉、色々な面でそんな雰囲気を感じ取れる。少し生意気な感じだが、練習には真面目に取り組む熱いハートを持っている。タイガのようなキャラで生きてみたいと思ったこともある。
2人で話しているとトシが来る。
「お疲れ。」
「お疲れ様です。」
「お疲れー。あーきつかった。」
  いつものポイント練習後のトシの状態だ。弱っている姿も男としてのトシの魅力を上げている。
「ラストどれくらい?」
「3分8秒。もう400過ぎたところで足動かなくなった。」
確かに3分ペースから落ちてはいるが、トシの自己ベストから考えるとだいぶ速い。トシも力をつけている。
「シュウはどうだった?」
トシに尋ねられ少しドキリとする。
「うーん。体力は落ちてるけど、逆に疲労は抜けて走れた感じ。」
「怪我明けなのに強いっす。」
「なんとか、」
褒められるのは嬉しいが、あまり得意ではない。
「足は大丈夫そう?」
話を変えようとしたところでトシが尋ねる。
「うん。もう違和感もない感じ。」
「おー。よかった。」
トシが安堵の表情と笑顔で反応する。
トシがその反応をしてくれことがこの上なく嬉しい。
「こっから、いい感じに上げて行きたい感じかな。」
歯切れの悪い感じになる。
3本目の流しに向かう。トシの先程の安堵の表情と笑顔の余韻が残っている。
高揚する気持ちで流しのスピードが速くなる。
マネージャーがタイムを読み上げる。今は1000m×5本の4本目の600m過ぎたところだ。
先頭をトシが引っ張り、自分がトシの後ろつき、自分の後ろにタイガがついている。ここまでは予定通り走る事ができているが肺も足もかなりキツくなんとかついている状況だ。
「ファイトー。」
「ガンバー。」
短距離ブロックの声が聞こえる。声があるのとないのではきつい時の粘りが違う。声がある方が頑張れる。きついがなんとか粘る。トシと自分とタイガの3人の息遣いと足音が聞こえる。
「2分57、58、59、3分、3分1、3分1秒5!」
4本目を終え、レーンの内側に入ってペースを落とす。
「ごめん、抜けるね。」
前をジョグしているトシとタイガに声をかける。肺も足もいっぱいいっぱいだった。
4本目が始まる前の段階でかなり限界だった。
ゆっくり歩く。トシとタイガはジョグをしており、予定通りもう1本行くようだ。自分はバックストレートで100mの流しを入れることにし、300mのスタート地点の1レーンの内側に着いたところでもう少し息を整えることにした。
怪我をしていた分、体の疲労はなくて体は動いた。しかし、それでも少し体力の低下を感じた。だが、体力が戻れば今日のメニューなら5本いけるという手応えは掴んだ。
1レーンではタイガとトシが最後の5本目の1000mを走っている。
「ファイトー。」
2人ともキツい表情をしている。2人が400mを過ぎたところでトシが少しずつ遅れ始めた。やはりきついか。
それを見たあと、後ろから人が来ないことを確認し2レーンに入りそのまま100mの流しを入れる。スキップからの流れで走りに切り替え加速していく。疲労を感じるが、体の動きはいい。200mのスタート地点を過ぎたところでスピードを緩める。後ろから人が来ないことを確認しトラックの内側に入る。そして再び300mの地点に歩いて戻る。もう2本走ることにした。
戻る途中で5本目のラスト250mのタイガとすれ違う。
「ファイトー。」
表情はキツそうだが、いい動きだ。
少し遅れてトシが来る。
「ファイトー。」
トシもキツそうだ。
300mのスタート地点に着いたところで2人を見るとラスト50mほどにいる。走りを最後まで見届ける。
タイガが先にゴールをする。タイムが気になったが聞こえない。ゴール後も険しい表情で両膝に手をついて呼吸している。
トシがゴールする。トシも険しい表情で歩いている。2人を見届けた後、1本目と同じように流しを入れ300m地点に歩いて戻る。
「ファイトー。」
「ファイトー。」
トラックではまだ他のグループが走っている。
300m地点に近づくとタイガもやってきた。
「お疲れ。」
「お疲れ様です。」
「ラストどれくらいだった?」
高圧的にならないように、偉そうにならないように尋ねる。
「2分59です。ちょっと落ちたんですけど、ラストスパートで稼ぎました。」
「おー。」
しっかり3分ペースで5本まとめたのはさすがだと思った。
「冬余裕で14分台出るね。」
「14分台はいけると思います。」
タイガは青春スポーツアニメの主人公のような男だ。性格、話し方や話す言葉、色々な面でそんな雰囲気を感じ取れる。少し生意気な感じだが、練習には真面目に取り組む熱いハートを持っている。タイガのようなキャラで生きてみたいと思ったこともある。
2人で話しているとトシが来る。
「お疲れ。」
「お疲れ様です。」
「お疲れー。あーきつかった。」
  いつものポイント練習後のトシの状態だ。弱っている姿も男としてのトシの魅力を上げている。
「ラストどれくらい?」
「3分8秒。もう400過ぎたところで足動かなくなった。」
確かに3分ペースから落ちてはいるが、トシの自己ベストから考えるとだいぶ速い。トシも力をつけている。
「シュウはどうだった?」
トシに尋ねられ少しドキリとする。
「うーん。体力は落ちてるけど、逆に疲労は抜けて走れた感じ。」
「怪我明けなのに強いっす。」
「なんとか、」
褒められるのは嬉しいが、あまり得意ではない。
「足は大丈夫そう?」
話を変えようとしたところでトシが尋ねる。
「うん。もう違和感もない感じ。」
「おー。よかった。」
トシが安堵の表情と笑顔で反応する。
トシがその反応をしてくれことがこの上なく嬉しい。
「こっから、いい感じに上げて行きたい感じかな。」
歯切れの悪い感じになる。
3本目の流しに向かう。トシの先程の安堵の表情と笑顔の余韻が残っている。
高揚する気持ちで流しのスピードが速くなる。
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