客観的恋愛曖昧論

白山小梅

交わる時1

 何度も唇を吸われ、ゆっくり舌が絡みつく。そうしながらも匠の手は二葉のスカートの中に入り込み、足を広げさせる。

「ねぇ……ご飯食べないの?」

 二葉は恥ずかしくなって、話を逸らすように尋ねる。しかし匠は二葉の足の間に体を滑り込ませると、太腿を優しく撫でていく。

「うん、後でいい。今は二葉がいい……」
「……それって私はお腹が空く……んっ……」

 あの日と同じ、匠さんにキスをされると何も考えられなくなる。キスの気持ち良さを教えてくれたのは匠さんだったけど、不思議と他の人としても気持ち良くはならなかった。

 やっぱり匠さんが上手なのかなぁ……。

「あのね……匠さん……」
「ん?」
「私……かなり……その……してないの。もうほぼ処女みたいなもので……」

 恥ずかしくて顔を押さえた二葉だったが、匠はお構いなしに彼女の服を脱がせていく。あっという間に裸にされても、匠の執拗なまでのキスと愛撫は繰り返され、二葉の体は快感の波にさらわれていく。

 二葉の体がソファに落ちていくと、匠はニヤッと笑い、大きく上下する二葉の胸の尖端を舌で攻める。

「まだ挿れてないんだけどなぁ……。俺ね、二葉の気持ち良い場所をちゃんと覚えてるから……もっともっと気持ち良くしてあげる。なんてったって俺たち相性バッチリだったしね」

 二葉はうっとりとした表情で匠の首に腕を回し、引き寄せるように匠にキスをする。

 どうしよう……。足りない……。匠さんがもっと欲しい……私こんなに欲張りだった?

「二葉?」
「……匠さんと一つになりたい……」

 こんなこと恥ずかしいはずなのに、止められない。匠さんが好き。本当は初めて会った時から惹かれてた。でも慎吾と別れていなかったし、自分で自制したんだ。

「二葉ってば……そんなこと言うと、一回じゃ終わらなくて、いつまでも夕飯お預けになるよ」

 二葉は首を横に振ると、匠の頬に手を添える。

「……いいの、やっと匠さんと巡り会えたんだもん……」

 匠は嬉しそうに微笑み、二葉の胸に顔を埋めた。

「二葉……あの日からずっと、こうなる日を思い描いてたよ……君の心も体も全部俺のものにしたかった……」
「うん……私も……。旅先の出会いなんて続くはずがないって思い込んでいたのかもしれない……。匠さんはこんなに素敵な人なのにね……もったいないことしちゃった……」

 二葉が笑うと、匠はキスを繰り返す。そして嬉しそうに笑う。

「なんか長い片思いが実ったみたいな感じ。やっぱり二葉は二葉だった……」
「……どういうこと?」
「離れたって、何回でも君に恋をするってこと。俺には二葉がピッタリ合うんだ」
「……なんて素敵な殺し文句かしら……なんか昇天しちゃいそう……」
「……それなら違う意味で昇天しちゃおうか……」
「えっ……」

 匠に唇を塞がれ、彼の指が二葉の敏感の部分を弄ぶと、二葉は震えるほどの快楽に身を堕とした。


 
 

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