episode　２　新婚生活は蜂蜜みたいに

漢字(ふ今、この瞬間から夫婦です。

そう言われても大した実感があるわけではない。

けれどおばさんの喜びようを目の当たりにすると、大きく何かが変わったのだということだけはわかった。

『月城家の嫁』となった私と、もっとたくさんの時間を取りたいと嘆いてはいたけれど、列車の時間が押し迫り、おばさんは渋々自宅に戻ることになった。

「ごめんね由華ちゃん。疲れたでしょ？」

そういって蒼空は私の肩をそっと抱き寄せる。

「ううん。そんなことないよ。おばさんがあんなに喜んでくれて、なんだか私も嬉しかったから」

笑顔でそう返したけれど……。

私の頭の中は、これからのことでいっぱいになっていた。

一年後のことじゃない。

これから、今から、この後のことだ。

婚姻届けを提出した私達は夫婦となったわけだけど、これからどうするのだろう。

昨日は結婚式の二次会の後ホテルに泊まったわけだが、今日はどうなっちゃうの？

私には私の、蒼空には蒼空の自宅があるわけで。

昨晩だって本当は外泊する予定ではなかったから、急遽杏にいろいろと用意してもらった。

ということは、今日はこのまま解散ということになるのだろうか？

実質上の新婚初夜だというのに、どうして私はこんなにモヤモヤしてしまってるんだろう。
りがな)