episode　１　入籍は突然に

いろいろ補足説明したかったのだが、蒼空が何も言わない以上、私が勝手に口を出すわけにいかない。

否定しない私を見て、おばさんはキラキラと瞳を輝かせて足早にと近寄ってきたかと思うと、がっしりと私の両手を包み込んだ。

「由華ちゃんっ！」

「はいいっ！」

「最高だわっ！」

「はいいっ？」

なんのこっちゃ、と思わず突っ込みそうになるのを堪え、固まった笑顔のまま目を大きく見開いておばさんを見つめ返す。

「蒼空が突然切らない子を連れてきて結婚すると言ってきたときには、頭おかしくなったんじゃないかと思ったの。名前聞いて納得したわ。ゆか、と呼べるからだなって」

そういえばさっきもそんなこと言っていたけれど、いったいどういう意味なんだろう。

「今まで蒼空が付き合ってきた女の子は全部、ゆかって名前か、どことなく由華ちゃんに似てる子ばかりだったわ。それでも本物の由華ちゃんじゃないから、結果的にはいつも泣かれちゃて」

それってつまり……。

「初恋の由華ちゃんをこんな年になるまで拗らせてるなんて、正直気持ち悪いなと思ってたけど、まさかこんなことになるなんて思いもしなかったわ。蒼空。ようやく初恋が実ってよかったわね！本当はこうなることを心の底から望んでたんでしょう？」

とんでもない暴露話を聞かされて、なんだか猛烈に恥ずかしくなってしまう。

てっきり逃げられたのを隠すため、突拍子もない話を振ってきたのだと思っていたが、おばさんの言うことが本当なら、まさか本当に蒼空自身がこの結婚を望んでいるということ？