カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~
episode 1 入籍は突然に
赤みがかったボブの髪と、オレンジラメをベースにしたアイメイクが、目鼻立ちがはっきりしている杏によく似あう。
性格と容姿がぴったりな裏表のない彼女は、私が唯一何でも話せる友人でもある。
「有馬さんじゃないけど、最近溜め息増えてるよ?大丈夫なの?」
「うん……」
自分では意識していなかったけれど、無意識に漏れてしまっているんだろうか。
特に蒼空のことを考えているわけでもないというのに。
「ねぇ杏。明日の月城様と吉崎様の最終衣装合わせ、サポート入ってもらえない?」
吉崎様の衣装は既に決まっているものの、蒼空の衣装は吉崎様がいくつかピックアップしただけで、蒼空自身は袖を通すどころか見てもいない。
何とか最終の打ち合わせにだけは来ていただけるようにと吉崎様から伝えてもらい、最後の最後で蒼空に時間を作ってもらったというわけだ。
衣装合わせの時にだけ衣装部が採寸などしてサポートしてくれるわけだが、今回は打ち合わせから杏に入ってもらいたい。
なぜだかわからないけれど、一人での対応が不安なのだ。
「何時からだっけ?」
「14時から」
「その時間は……」
杏はパソコンでスケジュールを確認すると、「大丈夫よ。任せて」と快く引き受けてくれた。
本当であればこんなお願いはしないのだが、「ごめんね、ありがとう」と私は杏の好意に縋り甘えることにした。
翌日、蒼空と吉崎様が来られたのは、約束の時間の五分前だった。
杏は自分の顧客との打ち合わせ時間が変更になり、最初からはサポートに入れなくなってしまった。
「月城様、吉崎様、お待ちしておりました」
笑顔で二人を迎え入れると、蒼空は私の笑顔なんて霞んでしまうほどの眩しい笑顔を見せた。
「由華ちゃん、なかなか時間取れなくてごめんね。仕事が立て込んでて」
私に謝ることじゃないでしょ。
私はアンタの婚約者じゃないんだから。
そう突っ込みたくなるのを抑え、「最終調整に間に合ってよかったです」と笑顔を崩さずに言った。
蒼空が私に対してフランクに話しかけてくることに関しては、前回もそうだったしある程度は覚悟していた。
けれど……。
「由華ちゃんはどう思う?」
「由華ちゃんならどうする?」
「由華ちゃんが進めてくれるならそれでいいよ」
「由華ちゃん……由華ちゃん……」
吉崎様の前で平気で私の名前を連呼する蒼空の口を、両手で塞ぎたくなった。
あまりにもわざとらしく吉崎様から視線を外し、なのに私に微笑みながら名前を呼ぶ蒼空の態度を見ていると、このカップルの気持ちが完全に一方通行な気がしてならなかった。
性格と容姿がぴったりな裏表のない彼女は、私が唯一何でも話せる友人でもある。
「有馬さんじゃないけど、最近溜め息増えてるよ?大丈夫なの?」
「うん……」
自分では意識していなかったけれど、無意識に漏れてしまっているんだろうか。
特に蒼空のことを考えているわけでもないというのに。
「ねぇ杏。明日の月城様と吉崎様の最終衣装合わせ、サポート入ってもらえない?」
吉崎様の衣装は既に決まっているものの、蒼空の衣装は吉崎様がいくつかピックアップしただけで、蒼空自身は袖を通すどころか見てもいない。
何とか最終の打ち合わせにだけは来ていただけるようにと吉崎様から伝えてもらい、最後の最後で蒼空に時間を作ってもらったというわけだ。
衣装合わせの時にだけ衣装部が採寸などしてサポートしてくれるわけだが、今回は打ち合わせから杏に入ってもらいたい。
なぜだかわからないけれど、一人での対応が不安なのだ。
「何時からだっけ?」
「14時から」
「その時間は……」
杏はパソコンでスケジュールを確認すると、「大丈夫よ。任せて」と快く引き受けてくれた。
本当であればこんなお願いはしないのだが、「ごめんね、ありがとう」と私は杏の好意に縋り甘えることにした。
翌日、蒼空と吉崎様が来られたのは、約束の時間の五分前だった。
杏は自分の顧客との打ち合わせ時間が変更になり、最初からはサポートに入れなくなってしまった。
「月城様、吉崎様、お待ちしておりました」
笑顔で二人を迎え入れると、蒼空は私の笑顔なんて霞んでしまうほどの眩しい笑顔を見せた。
「由華ちゃん、なかなか時間取れなくてごめんね。仕事が立て込んでて」
私に謝ることじゃないでしょ。
私はアンタの婚約者じゃないんだから。
そう突っ込みたくなるのを抑え、「最終調整に間に合ってよかったです」と笑顔を崩さずに言った。
蒼空が私に対してフランクに話しかけてくることに関しては、前回もそうだったしある程度は覚悟していた。
けれど……。
「由華ちゃんはどう思う?」
「由華ちゃんならどうする?」
「由華ちゃんが進めてくれるならそれでいいよ」
「由華ちゃん……由華ちゃん……」
吉崎様の前で平気で私の名前を連呼する蒼空の口を、両手で塞ぎたくなった。
あまりにもわざとらしく吉崎様から視線を外し、なのに私に微笑みながら名前を呼ぶ蒼空の態度を見ていると、このカップルの気持ちが完全に一方通行な気がしてならなかった。
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