金髪紅眼の後輩が彼女になりました!(ただし、彼女の正体は地上最強の人妖とする)

チョーカー

架空の現実 翔は蝶の夢を見るのか?

「けあき!? なんだ? 誰と戦っているんだ?」

「待ってください、翔先輩」

「確かに、違和感がある(――――少なくとも、駆けだそうとする俺の足が止まるくらいには)」

「何を言っているんですか?」

「そうか、わかったぞ! あかり……明る過ぎるんだ。月が隠れた今、高速で戦っている姿を遠くから見えるはずなんてなんいんだ!」

「だから、翔先輩! さっきから、何を1人で言っているんです?」

「なっ! あかり、見えていないのか? けあきが戦っている――――いや」

(あかりが見えていないのなら……おかしいのは俺の方。あかりなら悪霊の影響を受けない! ……はず)

「あかり! 俺は何らかの攻撃を受けている。払えるか?」

「え? 私が認識できない攻撃ですか? 可能性があるとすれば、この世界に――――」

「あかり? どこに!? ――――っ! 足を掴まれた。砂浜の下に何かが潜んでいる!」

(クソっ! 何度蹴っても離さない。それにこのパワーは―――アイツだ! 死神の! 温泉の時と同等に――――)

「掴んで引き込む。 コイツ、そう言う能力か!」

 だが、そこで翔の思考は止まる。 そんな能力を相手にどうする?

 水面下ならば、水中戦として動いて攻撃を仕掛けれる。

(だが、砂浜の下? 地面に埋め込まれたら――――死? 逃げれない!?)

「誰か! あかりッ! けあきっ! ――――いや、この助けを呼ぶなら賀茂先生か?」

 どうして、賀茂先生に助けを呼ぶことを選択したのか?

 通常なら除外する選択肢。 なんせ、この場に到着していない人物だ。

 それは死の直前に訪れる『比類なき神々しい瞬間』を呼ばれる脳の活性化。

 凡人が天才を凌駕すると言われる思考のひらめき。それが、この場に――――

「呼んでくれてありがとう翔くん、ようやく結界の中に入れました」

「――――っ! 賀茂先生? 登場と同時に地面を殴って――――ぐわッ!? 周辺を吹き飛ばした!?」

「ダメージは与えました。でも、本体には逃げられましたね」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「夢の世界!? ここがそうだって言うんですか!」

「はい、その通りです。正確には翔くんの夢と同調する系の化け物が相手と言う事ですね」

「そんな――――いや、心当たりはある」

「ですよね。これが現実なら、人妖の神である鳥羽あかりが貴方を守護します。しかし、その効力が発揮されていないのは――――あなたと人妖が近くにいるように見えて、その実は遠くにいるからですね」

「なるほど(通りで、そもそも今が夏なんて違和感があった)」

「要するに、今回の敵は『13日の金曜日』と見せかけた『エルム街の悪夢』だったわけですよ」

「ん? 映画のタイトルですよね」

「え? まさか、翔くん……両名作を見ていない何てことはないですよね?」

「見てませんよ? でも、そのシリーズは観てますよ」

「よかった、そりゃそうですよね。いくら高校生と言ってもジェイソンとフレディに触れてない事なんて――――」 

「はい、その『フレディvsジェイソン』は観てますよ。あと『ジェイソンX』」

「どうして、その2つを! 私は、遠い未来に宇宙で戦闘をするジェイソンを観たかったわけじゃありません!」

「お、落ち着いてくださいよ……それで、どうして先生だけ大丈夫なんですか?」

「はい?」

「あかりやけあきは自由に行動できなくなっている。それは、ここが俺の夢だから。じゃ先生だけ自由に動けるのはどうしてなんですか?」

「それは――――まぁ、翔くんが起きての楽しみね」

「……寝ている俺に何かしている?」

「さて、それはどうでしょうか? そんな事よりも翔くん」

「来ましたね。アイツ――――なっ!」

 翔は驚きの声を上げざる得なかった。 驚くべき、その光景は――――

「アイツ! あの死神……何体も増えてやがる! 全部で8体っ!?」

「いいえ、違います。冷静になってくだいね。この怪物の特徴は『足を引っ張る』です」

「――――っ! つまり、9体目! 本体は地面の下に隠れてる!」

「ご名答! その能力が分かれば、対処は容易いのです―――― 天羽々斬《あめのはばきり》」

「せ、切断!? 剣で地面を切り裂いた!?」

「そして、本体はアレです、正道翔くん! 貴方が決着をつけなさい! 私は――――残りの8体を滅ぼします!」

「わかりました!」と翔は飛び降りた。 切断された大地の下へ。

 そこにいる死神。 彼は、自分の隠れていた地面――――存在していた空間、その物を切り裂かれるとは思っていなかったのだろう。

 逃げるも、戦うも選択肢から薄れていたのだろう。

 しかし、飛び込んでくる翔を認識したらしく――――攻撃を開始してくる。 


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