金髪紅眼の後輩が彼女になりました!(ただし、彼女の正体は地上最強の人妖とする)

チョーカー

天王けあき

「賀茂あすか……あの男、正道翔を打ち上げた理由。私を助けるためでしたか?」

「そうね、けあき。あのまま戦っていたら死んでいたのは貴方ね」

「――――くやしいなぁ。命が助かって嬉しいと思っているのが」

「貴方は強くなるわ。悔しいって思え続けれるなら……だめねぇ。私は、あんな化け物を戦いたいとも思えなくなってる。心が、負けても仕方ないと思っているから」

「でも、それは――――」

「ん?」

「いえ、なんでもありません」

(私は知っている。 貴方は、賀茂あすかが常に自分よりも強者と戦い、打ち倒してきたことを。 だったら――――精神が、その在り方を取り戻した時に、貴方なら……むしろ、貴方じゃないと……)

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「それで、どこか行きたい所は――――」 

「わぁ!?」

「え? どうした。急に頭を押さえて?」

「わ、私の頭に耳が生えてませんか?」

「そりゃ、生えてるぞ。ばっちり、ケモ耳ってやつが」

「あっ! み、見られた! せ、先輩に私の大切な部分を!」

「なんだったら、お尻から尻尾も――――」

「だ、ダメです。そんな女の子デリケートな部分を見たら!」

「今更、そんなに手を頭とお尻を抑えたって、戦ってる最中は常に見えていただろ?」

「うわぁ!? うわぁ!? み、見られてた。見られていた! せ、先輩に大切な部分を全部見られた! あ、明日から、どんな顔で接したらいいのか、わかりません!」

「いや、俺にもわからないよ! そんなに見せられない部分だったのか?」

「はい! だから、せ、責任を取ってくださいね!」

「責任ってどうするんだよ?」

「それは――――えっと? これから考えていきましょう」

「あぁ、これからな」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

 翌日の学校 翔のクラスにて

「あれ?」

「どうした? 翔、そんな変な声出して?」

「あぁ、阿久津か、おはよう。 ところで俺の席……なんか違わなくない?」

「んん? 何言ってるんだ? 別にいつも通りだろ?」

「そうか?(なんだか、朝来てみたら隣の席が空席になっているんだが……)」

「そんな事より、今日から転校生が来るみたいだぞ。どうやら、凄い美人らしいぜ」

「へぇ~ なるほどね。それで、みんな噂してるのか?」

「おう、なんでも綺麗な黒髪で、身長高めの美人さんで、腰に日本刀を帯びてて……」

「ん!? いや待て、日本刀?」

「あぁ、日本刀だぜ? 《《それがどうかしたのか》》?」

「お前……いや、みんな《《そうなのか》》?」

「おいおい、翔。やっぱり朝から変だぜ? 妙な物を食ったんじゃないか? おっ! 先生が来たみたいだぜ」

「いや、ちょっと……(行ったしまった。これは暗示ってやつか? それじゃ転校生の正体って……)」

 『キーン コーン カーン コーン』

「おはようございます」と賀茂先生は入って来た。

 そこ表情は、どことなくゲッソリとしているのは気のせいではないのだろう。

「えっと……それでは本日、転校生を紹介します」

「天王 けあきと言います。京都から着ました。皆さん、どうかよろしくお願いします」  

「――――っ!」

「それでは」とけあきは翔と隣の席についた。

「よろしくお願いしますね、翔くん。正道翔くん?」

「おい……先生が席の指定をする前に勝手に座るなよ」

「あら? これは察しがいい」

「手の込んだ事をする。やっぱり、あかりの事は諦めないのか?」

「さて、もしかしたら貴方の事を気に入って、追いかけて転向してきたのかもしれませんよ」

「そうかい。あいにくだけど……俺、彼女いるんだ、ごめんな?」

「これは簡単に振られてしまいましたね。別に私は愛人でもいいですよ」

「流石に冗談がきつ過ぎる。そんな甲斐ってやつは俺にはないよ」

「……? 何を勘違いしているのですか?」

「ん?」

「私の愛人になるなら、別に彼女の有無は気にしません」

「それは上級階級ジョーク?」

「えぇ、私は上級国民なので。ところで、賀茂先生が睨んでいますよ?」

「げっ!」

「えっと……君たち。初対面で仲が良いのは結構ですが、ちゃんと授業は聞いてくださいね」

「「は~い」」

「……返事のタイミングを合わせてくるなよ」

「あら、偶然ですよ。それとも運命かしら」

「君たち……廊下に立っておく? 今時、体罰はまずいから自主的に廊下に行ってくれると助かるのだけど?」

「「ごめんなさい!」」

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