天壌無窮の守人

兎月あぎ

エピローグ

あれからさらに数日後各々がいた場所に戻り様々な生活を送っている。そんな中、ノックはノスと初めて遭遇した海岸に来ていた。今や守人となったノックはこの世界をどうとでもすることが出来る、がそんな気はさらさらない。この世界が無くならないようにずっと見守り続けるだけである。地割れに飲まれた後のことを思い出す。




「ッ!!…ここは」
「目が覚めたか」
節々が痛む、顔を上げればとてつもなく遠いところに光がかすかに見える。世壊が始まるまで時間がない中この様な状況に陥るとは、などと考えているとノスが話しかけてきた。
「…ノック、お前はこの世界を守りたいと思うか」
「急になんだよ…そりゃ生まれた世界なんだ消えてほしくないに決まっているだろ」
ノスの方を見るすでに体は消え頭だけとなっていた。
「長い間苦痛を耐えきれる覚悟があるか」
「?、世界が終わる時そんな痛みとか来るのか…?別に覚悟は出来てるぞ」
「そうか、ノックおれの頭に手を置け」
「…?こうか」
ノックがノスの頭に手を置いた瞬間視界が真っ白に染まった。そして視界が徐々に晴れていくと…白い空間に居ることを確認して辺りを見回す。するとそこには目の前に破壊されたはずのゼロポイントが存在していた。
「なっ!?なんでだ、それにここは…?」
「それがオリジナルだ、今からお前には守人となってもらう。私がいなくなるからな、その座をお前に分けあたそう」
「へ?」
素っ頓狂な声を出す、それもそうだ。いきなり守人になれと言われたのだ、素っ頓狂な声を出すのも無理はない。
「これが最後の言葉だ。それをじっと見てろ、すべてがじきに分かる。後は頼んだぞノック」
そう言ってノスはとうとう消えてしまった。悲しみの余韻に浸る暇もなくそれは煌々と輝きまるで何かを訴えかけるかのように、押し付けるかのようにこちらへと近づいてきた。
「なっなんだよ…」
ゼロポイントのオリジナルと呼ばれたものを凝視し続ける。そして…いったいどれほどの時間がたったかはわからないが今まで何があったのか、そしてこれからどうすればいいのかはっきりと何故か分かっていた。
狂ってしまった時間の帯を縮めたりほかの世界線から流れてきたものを整理したり、壊れたプレート帯などをつなぎ合わしたりなど雑務ともいえるようなものもこなしてきた。しばらくは世界を保つために忙しい日々を過ごしていた。




新しく得た力を使って墓を創造する。墓標にはノストラダムスではなくノスと彫ってあった。隣にどっさりと座り込む。
「…ちゃんと墓は残すからな、ここからは日が昇るのが見える。綺麗な場所に建ててやったんだぞ?感謝しろよ?…ここから先お前の残したもんのせいでまだまだ忙しそうだ、次来るのはいつになるんだろうな?」
ノスは守人になった時点でもう輪廻転生の輪から外れてしまっている、転生体を探して会うなんてことも出来ない。それにノックは守人となってしまったためミリーや紫乃たちとは一緒に生きれなくなってしまった。
「さてこれからどうすっかな…ほかの世界を見るのも悪くねぇな…よし、行ってみっか!」
そうしてノックはその場を立ち、走り去って行った、朝日が昇り新たな一日を告げる、そこにはちいさなお墓とさざ波が残るだけとなった。

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