天壌無窮の守人

兎月あぎ

第五幕 二話 鋼翼の不死蝶

広い通路の最奥にたたずむその人物は、街中でであった藍紫色の振袖を着た女性だった。しかしよく見ると街中で出会った時と一部違う箇所がある。帯の部分はレールの様なものに変わっており後ろから見ると蝶の様な形をしており、振袖の中へと滑り込むような構造となっている。
女性がカツーンと踵で地面を叩く、そして一拍を置いて話し出す。
「またあったなぁ、さっきはありがとなぁ助けてくれて。でもな?あんたらの目的はこの先にあるもんやろ?私はここを守らんといかんのや、だから…全力で相手させてもらうで…」
そう言い女性はすっと両腕を前に抱える、とそこでノックがポンと手を叩き指を指す。
「思い出した!その喋り方、てめぇライトマシンガンだな!?いっつも俺を挑発してもてあそびやがって、俺は覚えてるからな!」
ノックの声を聞いた彼女は目を閉じていても分かるぐらいに少し驚いたような反応を見せ、小声で何かをつぶやいた。
「その声…ノックか、なんでそんな奴と一緒に…まぁいい…」
「あ?なんだって!?」
そうノックが大声で聞き返すが返答は無かった、その代わり再び指先がこちらに向けられ
「別にあんたに恨みはないけどそっちにいるんなら蜂の巣にするで!」
大量の実弾が飛んでくる。遮蔽物の無い長い廊下、跳弾を巧みに操り四方八方から弾が襲い掛かる。防ぐ術は…見つからないと思った瞬間。
「どらああああああああああ!」
とんでもない声量でノックが叫ぶ。その叫びには力が乗っており弾の軌道を狂わし地に落とさせる。
「ノス!今の内に出口まで逃げるぞ!」
「あ、ああ!」
急いで駆け出す二人に叫びでひるんでいた彼女ライトマシンガンはすぐに体勢を立て直す。そして狙いを定め再び弾をばらまき始める、発射された弾は最初は壁にぶつかっていくだけだったが徐々にその軌道を変え二人を狙う軌道へと移り変わっていく。
「うおおおおおおおおお!?」
「ッ!?」
なんとかギリギリの所で避けることができ、そのまま曲がり角へと滑り込む。息を整え相手の素性を知っているであろうノックにどんな相手か問うことにした。
「ノック、お前知り合いなんだろう?何か知ってることは無いか…?」
「あー、あいつの名前はだな『ライトマシンガン』、付いてる異名は『鋼鉄の不死蝶』だ。第3世代でも1,2を争うほどの再生能力を持ってる上に盲目のはずなのに正確に射撃を対象に大量にぶち込んでくるんだ、狭い場所では一番戦っちゃいけない相手だな。移動したり避けたりする際にヒラヒラ舞う姿から蝶なんて名前が付いてるが俺からしたら死神のローブに見えるね、俺はあいつ嫌いだ!」
「そ、そうか…って危なっ!?」
離れている二人の近くにまでなんと銃弾が飛んでくる。跳弾を使って狙いを定めてきているようだ、改めて相手の技術の高さに感服すると同時に恐怖を覚える。すぐさまその場から移動しより奥へと逃げ込むするとピタッと銃声が止み代わりにコンコンと恐らくブーツの踵で鳴らしているのだろうか、しかしこちらに歩いてくる様子はない。
ひとまずどう相手取るか考える。
盲目ながらも正確に狙ってくるのは非常に脅威である、また遮蔽物の無い直線の通路で戦わなければならない。あの銃弾の雨あられの中を突き進んでいくのは正気ではない。またノックの力を一度使ってしまっているため慎重にならざるを得ない。
「それにしてもあいつ前会った時より射撃が長くなかったか…?前はあんなにずっとは撃ってなかったぞ一体何をしたんだ?」
とノックは疑問を口にしていた。
「そうなのか…?だとしたら何かしらの仕掛けがあるんだろうがこの状況では顔なんて出しようが無いからな…それに、盲目であるはずなのにあの射撃能力をどう対処するかが問題だ」
すると彼女の声が響く
「降参して投降するならはよ出てき!うちも無駄に戦うのは好きやないんや、どうするん?はよ決めい!」
それに対してノックが大声で返す
「ばーか!誰が降参なんかするか!」
「ちょっ!?」『アホだな』
次の瞬間また大量の銃弾が跳弾により徐々にこちらへと向かってくる。迫りくる銃弾を避けつつ外を見る、外は猛吹雪、一度外に出て外側から侵入するのも考えたが非常に危険だろう、以前解決策が見つからないまま時間だけが過ぎるのであった。

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