死の床に、エッセイの価値を、教わった。

越庭 風姿【 人は悩む。人は得る。創作で。】

アリとキリギリス

 子どものころ、アリを観察するのが好きだった。

 地面を見ると、いつでも小さなアリを見つけることができた。

 ときどき、大きな葉っぱなど自分の体の何倍もあるものをせっせと運ぶ。

 子どもはいじわるで、その荷物を取り上げてしまったり、水をかけたりする。

 アリを手の平に乗せてみると、全速力で腕を登ってくる。

 いつもアリは一生懸命働いているイメージである。

 絵本や童話でアリがでてくると、働き者で善のキャラクターになる。

 有名な「アリとキリギリス」のお話は、最近のバージョンだとアリとキリギリスをあまり批判しないようだ。

 昔はキリギリスが冬にエサをアリに分けてもらおうとすると、拒否されて飢え死にする話だった。

 それが分けてあげてみんなハッピーになっていた。

 アリのようなキャラクターは、日本人の国民性からすると理想的なキャラのような気がする。

 しかし、キリギリスのような芸術家肌のキャラも許すようになった。

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