死の床に、エッセイの価値を、教わった。

越庭 風姿【 人は悩む。人は得る。創作で。】

糧を捨て海に沈む

 海なし県では、船といえば沼や池のボートくらいである。

 昔は川に渡し舟があったらしい。

 近所の川では、昔小さな船で荷物を運んでいたらしい。

「糧を棄て船を沈む」

 という言葉がある。

 史記と太平記で用いられている言葉だ。

 兵糧を捨てて、生きて帰らない覚悟で戦うことである。

「乗る船が沈む」

 というと、大きな会社が倒産して、あたかも豪華客船が乗員乗客を巻き込んで沈む様子をイメージする。

 自分も勤めていた会社が潰れた経験があるが、まさに乗っていた船もろとも皆海の藻屑になった。

 そのような緊急事態に遭遇したとき、人間の本質がでるものである。

 普段仕事を頑張っていた人が、何のために頑張るのかを問われる。

 他人の目をいつも意識していた人は、意識するものが突然消える。

 いい話ではないので、どうなったかは想像にお任せしよう。

 ところで、海で船が沈没するときにはどうしたらいいのだろう。

 調べてみると、損傷した部分、船の重心によって対処の仕方が違うそうである。

 船には浸水がある程度進むと自動的に外へ水を汲み出すシステムがある。

 だから、乗員は船が損傷したことをいち早く知ることができるはずである。

 いざというときには、素人判断せず落ち着いて避難することが大事だ浪である。


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